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■ ビッグ・フィッシュ (映)
ビッグ・フィッシュ
君が大きすぎるんじゃない。 この町が小さすぎるんだ。
ホラ話のような自分の人生の話を、ずっと息子に語って聞かせる父親。 幼い頃は無邪気に信じていた息子も、大きくなるにつれ、そんな父が信用できなくなる。 父が嫌いなわけではない。ただ、嘘ではない、父の本当の人生を聞かせてほしかった。 何年も経ち、病に冒される父の元へ、久方ぶりに帰ってきた息子は、「作り話じゃない、本当の父さんの話を聞かせて欲しいんだ」と訴えるが、父は「これは本当の話だ」と、やっぱり出鱈目な話を語って聞かせる。 あまつさえ、「俺は自分の死に方を知っている。こんなことでは死なない。皆が驚くような死に方で、笑いながらこの世を去るんだ」と言う。 父に残された時間は少ない。息子は、自分から、父に語り聞かされた記憶を手がかりに、本当の『父』という欠片を拾い集めるが……。
ストーリーが二段構成になっていて、父のとんでもない『人生』と、現実の世界とが交差して進んでいく展開になっています。 きらびやかに、ファンタスティックに進む父の人生の映像と、ひたすら地味に進んでいく現実の映像。 そして、息のつまるような喜劇的で切ないラスト。 一人の男の人生と、彼の恋人と、彼の家族の物語。
初めてこれを見たのは、王の帰還を観た時の予告でした。 監督ティム・バートンということで、「おっ?」と思って注目したのですが、シザーハンズやナイトメア・ビフォア・クリスマスとは一風変わって、どちらかといえば幻想的な画面に、何だか珍しく思ったものです。 それで、映画は滅多に観ないのですが、これは観に行きました。 そして、鼻水が出るほど泣きました。 幸せで、切なくて、突き抜ける青空のように清々しい話でした。 すっごくオススメです。
最後に、とても印象に残ったこの文を。
――そして、幸せだけが残っていった。
2004年11月12日(金)
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