かたほうだけのパンプス
敦香



 静寂ニューウェーブ


昨日の夜は、うるさかった。

友達やなんやら連れ込んでジャラジャラと麻雀をしているみたいで、カン高い笑い声や、ぼそぼそ反応する声が深夜遅くまで続いていたから。

隣は、低学年の小学生とまだおぼつかないけれども三輪車にやっと乗れるようになった幼児がいて、若い妻はツンとして周りに媚びない姿勢をとっている。

その夫は、くわえ煙草は投げ捨て、飴の包み紙を放り捨てるような男だ。

朝は、開け放した窓際で携帯電話で話している。何を話しているか内容はわからないが、電話の相手に対しての反応がいちいち建物に反響してこの地帯は男の舞台と化している。

私たち夫婦はその間、ずっと寝ていた。

昨日は昼はほどほどの暑さがあって、夜は虫が鳴き、涼しくなったから夏の暑さに立ち向かっていたころの緊張感がようやく身体から抜けて休息を取り戻せる夜だと思っていた。

でも、隣のざわつきが気になって緊張は完全にほどけなかった。

夫は、この家族について子供がいて教育上よくないなどといちいち否定的な視線で見ている。
私も全部は受け入れているわけではないけれども、この程度は普通の範疇だと思っている。

隣の家庭はそこそこ目立っている。

目立つようなスタイルをとっているわけではないけれども、このあたりの空気とちょっとかみ合っていない。

この地域は、町では穴場的なスポット。

友達が送ってくれるとへー、こんなところがあったなんて、静かでいいね〜と言われる。

ちょっと先にオートレース場があってレース開催日は、オートレースのバイクの音がこだましてとてもウルサイんだけれどもここの空気が落ち着いていてそれが静かだと感じるのだろうか。

この地域は、人口密度が低いのと、大きな通りからは奥まっているのと人と人の交流があまりない。
それは、あとからあとから他からの流入でこの地域住民は構成されている。

私たちも14年前、都会からの流入。

その頃は、きっと浮いた存在で目立っていたのだろう。

古くから居るものがこの地域の人であって後からやって来た人はこの土地からすればよそ者というくくりというのとは違う場所なんだ。

ここは、町の中心地の再開発のときに立ち退きの代替え地として入ってきたのが住民のおおかたがそう。

今になってここでの向き合い方を改めなくてはいけないのがこの歳になると面倒だ。


2014年09月03日(水)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加