ヒルカニヤの虎



 風向きが今、変わった

ウーマンラッシュアワーのANNがここ数回いい感じになってきた。緊張感がありながらもお互いへの尊重(おもしろがり)があること、これとても大事。相方の言動にはからずも爆笑してしまうタイプのコンビは今後も応援していきたいと思います。

…という話とはまったく別に村岡花子訳の「赤毛のアン」(昭和29年発行)を20年ぶりに発掘して読み返してしまったのですが、おもしろかった…(余韻)。たとえでなく感動で涙が止まらない。こんなおもしろい小説があっていいものか。子どものときはアンの目線でその境遇に心を痛め、大仰な言い回しを痛恥ずかしく思い、アンが巻き起こす事件に手に汗握るだけだった。でも今読むと全然違うのでびっくりする。アンの言動は困ったもんだけど微笑ましくまぶしい。昔はあんまり好きじゃなかったのになあ、アン。つまり自分の視線はもうマリラに近いんですよね。だからこそ小さな孤児の到来によって人生を生きなおしていくマリラとマシューが愛おしすぎて泣ける。出てくる大人たちは「大人」という役割だけ背負わされた書割ではなく、これまでをしっかり生きてきて、アンの登場後もこれからを変化しながら生きていく1人の人間であり、彼らのうち1人を主人公にしても物語は成立する。小説のお手本のようです。そしてこれはぜんぜん児童文学なんかではなく、大人のための人間賛歌だなあ。無料DLしてしまったKindle版の原著は移動時のためにとっておこう。

2014年05月02日(金)
初日 最新 目次 MAIL