頭の上は、柔らかい日差しが いっぱいあふれていた。
今日は、入学式。
そう
それは、校長先生の話を 上の空で聞いている時だった。
かすかなそして、不確かな予感に胸が波立のを感じながら
私は、斜め前を見たのです。
奈々がいる。
激しく嫌な予感が横切る。
あのデカイ肩の肉は、絶対私が知っている松岡奈々。
背中からボッコリはみだしている肉とか、椅子から大幅にはみ出している
尻のデカさ具合は、まさしく松岡奈々に決まってる。
この事を誰かに 知らしめたくて しょうがない私は、
興奮と動揺とときめきを隠しつつ 視線を美華子に向けたのです。
美華子は、もうちゃっかりイケメンとなんかイイ事しちゃってるし、
たね子も同じく、イケメンとクネクネへんな事してんもん。
何しでかしてくれてんの、あんた達??
あれ、見てごらんよ。
奈々が、いるんだってばよ!!
私は、心の中でそう叫んだけど、美華子たちには聞こえないみたい。
まだまだ、エスパー・あみになるには厳しいよ。
私は、奈々から目をはなさなかった。
今年一番、はなさなかった。
何だろう!?
この胸の締め付けられるような気分。
自分の胸の小さな変調の理由をつきとめようとしていると、
奈々がこっちを見た。
うろたえた。
だってさ、奈々じゃないんだもん。
顔が違う。
癖が違う。
ホクロが違う。
何たって、毛の生え方が違ってたよ。
まぁ〜何つーの?
後姿がよく似ている別人って言うんですか?
よく考えたら、あり得ないデブって言うんですか?
更によく考えたら、奈々がいる訳ないのですよ、高校が違うんですから。
何を勘違いしてやがる私ってばよ。
こんな事を心の中で、
考え乱れ狂っていると、入学式が勝手に終っていたのです。
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