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日々闇雲日記。

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2005年03月11日(金)
M、エートマンになる。

 いかん。このタイトル、おもっくそ歳がバレる。

 歳と言えば、某県の自治体が地元の観光ポスターに、池波正太郎御大の小説からの一文を引用したところ、文中に入っていた、

『年増』

 という一語に十数名の女性からクレームが入り、ポスターは撤去させられたそーな。
 ・・・・・・・・・何というか、私も別にピチピチギャル(死語)という訳ではありませんが、

「そーかぁ、つまりその人達は、自他共に認める年増なんだな」

 てな印象しか受けなかったんですが。
 たぶん「行かず後家」とか「おばはん」とかいう単語にも反応するんだろうが、誰も面と向かって言っている訳ではないんだから、そこまで気にしているなら逆に黙っていればいいのにな。
 ・・・・・・・・・・まあ、そんなんでも耳を傾けてくれる他人様が結構大勢いるってあたり、日本もまだまだ平和っちゅー事なんでしょうけれども。

 そんなこんなで、「小説書くからサボるけんね」と宣言してから、3月に入ってからペースがほんとにガタ落ちになっている日記ですが、実は暇を見て何日かに分けて書いているので、今回は長文モードということで。
 わたくし、金曜日、会社から半休を取って職安と市役所に行って来ました。
 や、まだ辞めてはおりませんが、退職を本気で意識した今にあたり、健康保険は任意継続と国民健康保険のどっちが安くて、失業保険は幾ら貰えるのか訊きに行ったわけでして。
 実は管理人、前の会社では勤務時間量の関係(在宅待遇)で最初から給付資格がなかったのに、人事のミスで雇用保険料を毎月払わされておりまして、辞めてからいつまで経っても離職票が来ないもんで、人事のねえちゃんに問い合わせた時に初めてその事が判明し、怒りの猪木面で怒鳴り込んだ居住地管轄と本社管轄の職安から(もちろん電車賃自腹)、

「雇用保険料を払っていた以上、それは給付されるはずです」

 と言質は取ったにも関わらず、本社を管轄しとる地域の職安から「契約書に書かれたオメエの勤務時間じゃ一銭も出せねえよ」と最終判定が下され、保険料も1ヶ月の煙草代にもならねえ額の払い戻しが行われただけとゆー、実に苦い過去を持っておりまして。
 ちなみにこの会社、倒産しただけあって、人事総務経理、非開発職部門の杜撰な仕事ぶりを幾度か他にも見せつけられているのだが、本題とズレるから割愛。
 ・・・・・・・・まあ、今度の仕事は普通の会社員なので、なんぼなんでもきちんと出るでしょうが、

「会社と役人の言うことは絶対に信用してはいけない」
「困ったときに国は助けてくれない」


 っつー事を心魂に徹して思い知らされた私としては、辞めた後の収支額がある程度わかるのはやはり安心しますし、これからのことも漠然としてではなく、突っ込んで考えられますのでね。
 まさか会社も、こんな事のために仕事休んだとは夢にも思っとらんだろうね。
 理由訊かれなくてよかったわー。

 で、職安で応対したいかにも「去年の春大学出ました。必死で丸暗記して公務員試験受かりました」ってな感じのメガネのぼっちゃんから、算出公式と給付率のランク表が書かれた紙を貰い、国民健康保険額も、府政バッシングでおっそろしくバカ丁寧な対応の役所のおばちゃんから大体のところを教えて貰い、辞めたら実際、社会保障と生活費その他必要経費込みで、だいたい幾ら掛かるのかも出してみましたとさ。
 喫茶店で職安のパンフ拡げながら、電卓のキーをぱちぱち叩き、
 
「えーとえーと、だからここに健康保険と国民年金と生命保険と家へ入れる生活費が入って」
「ネットがこの頃はもう光定額になっているはずで、携帯はだいたい毎月このぐらいで。・・・・・・・・・えーとえーと」

 と、うつろな目でぶつぶつと独り言を繰り返すエートマンになった管理人の姿は、さぞかし不気味だったらしく、両脇の客、10分後に揃って席を立ちましたね。
 んでその結果、割と長い期間、万一働かずともそれなりに暮らしていける(らしい)目算は立ったのですが、いつ出るのかとか、ある程度の正確な額が出るとかえって、

「・・・・・・・・・もうちっと、稼いでからの方がいいか?」

 とか、この期に及んで、ものすごく往生際の悪い事を思ってみたり。
 いやまぁ、サービス精神の欠片もなくこの話題を繰り返すあたり、実は本人もまだ結構迷っており、先日も身内に何度目かの辞める意思表示をしたところ、アドバイスというか説得というか心配をされまして。はい。
 曰く、

「今の小説を書ける確証があるなら、実際書き上がるまではいた方がいい。
 その間に、書き上げた後に何をやるのか考えて、十分準備してからにしろ」

 ・・・・・・・・まあその、「根拠のない自信」「自分に正直に前向きに」「情熱があれば何とかなる」とか、口当たりがいいだけの言葉で無責任にけしかける輩よりは、やっぱ家族ですから私の事をわかってますし、言うことの重みが全然違うんですが。
 てゆーかさ、合併の上での業務統合だから、会社自体が変わるんだよね。
 仕事も勤務地も職場の環境も、何もかも。
 去年だけで2度、業務内容が変わって、ど素人に引き継ぎ1週間で経理やらして買掛金と在庫差異出させるようなところ、しかも1年のうちに事業所が2回も移転するようなところ、この先何をやらされるか全然わからん。

 仕事覚えた端から、全部会社都合でリセットされてるし。去年からずっと。

 それが会社というものだとはわかっちゃーいるが、さすがにパラサイト社員を自称する私でも、自分の置かれている現状とこれからの自分というものを、ちょっと色々と真面目に考えてみたくなったわけですわ。
 小説も、自分の人生に落とし前っちゅー事で、結果はどうあれ書き上げたいしね。
 なんしろ眩暈がすることに、先週も1月分の物件売上分の伝票、いつの間にかごっそりなくなっとる事に気づいちまったし?
 業務統合までバックレちゃえ。アッハッハッハッハッ。アッヒャッヒャッヒャ。ウオッゲホゲホ。
 それぐらい思わなきゃやってらんねえよ。ホント。

 それでも身内からの貴重な意見を聞いて、
「ああ、そーゆー考え方もありだよなー」
 とか揺らいでしまったのが、相変わらず駄目なところと言いますか、さすが長年付き合ってるだけあって、本人も悩んでいたところを、まぁズバッと言い当てられてしまったのですね。
 感情や主観だけで人生の進退を決めてしまい、後で死ぬほど後悔するっちゅーパターンは、既に本人も何度か経験済みなもんで。
 会社生活が潮時で、適性として事務向きではないのはわかっちゃいるし、今やってる事の延長でやりたいこともないではない。やりたいこと、やらねばならない事も生意気にもある。
 それが何か別の職業を見つけることなのか、単に小説を書く事だとしても、すでに形になるかどうかわからん今、身の振り方が漠然とした今の状態で、収入ゼロにしてしまうのはあまりにも危険。

 勝手に会社辞めて書いた小説、本にならずと無一文。

 ・・・・・・・・・それはそれでまぁ、清々しさはあるか。
 辞めてしまって経済状態や社会的身分が覚束無い時、冷静な判断ができるかどうかも疑問で、金だけ消耗して「とにかく仕事を」って事になって、結局適当なところに転職して(しかもまた事務)何もかもが中途半端になってしまう、って可能性も(あんまり考えたくないけど)、あり得る。
 それでもなお性懲りもなく、小説とか文章でやっていくとか考えたとしたら、実は独学だった小説技法の勉強をやり直してもう少し量産できるようになりたいし、別の職種を目指すにしても、資格取ったり、何らかの学校に通うと思うんだよな。
 そういう事を考え出したら、まぁ、何にしても金は予想以上に掛かると思われるし、このまま辞めるとか言っちゃって、取り返し付かなくなるのは自分かなと。

 ・・・・・・・・・てなわけで。
 今、妥協案として考えているのは、とりあえず退職は最後の手段としておくびにも出さず、移転後の見通しを見ながら、派遣会社数社に登録して、もう少し時間の融通が利くところで、少しでも近場への就職を目指す所存。
 先月ぐらいからネット求人を眺めていても、事務なら割とすぐ見つかるだろーし。
 「辞めることはいつでも出来る」というのは今回試算してみてわかったので、それは最後の切り札に取っておく。

「今度探すときは正社員を探しなね」

 とも身内に言われたけど、何の正社員をやれと言うのだ?まさか事務?
 ・・・・・・・・・・正社員なんて、絶対に無理だと思うんだけど。

 ああ、なんか気持ち的にかなり楽になってきた。

 お昼に読む適当な本をちょうど読み尽くしてしまい、ここ10日ほど活字中毒が極限。
 んで本日、資料探しに行った図書館で夢枕獏編著の鬼にまつわるアンソロジー『鬼譚』を借りて、1日で読破してしまう(まあ半分以上は他の本で既読だったので、こんな早かったんだがね)。
 やっぱ『赤いろうそくと人魚』と『桜の森の満開の下』は名作やねえ。しみじみ。
 この悲しさと叙情性と怖さがわからん人とはわし、一緒にビール飲みたくないね。
 勢いが止まらず、前に日記で書いてた『転覆記』と、掲示板でりなさんが書かれていた宮部みゆきも『ブレイブ・ストーリー』上下巻で購入してみたが、つん読本にならずと読めるだろーか。
 小野不由美の『黒祠の島』もとっくのとーに読んじまったし、しかたがないので明日からは、つん読本の中から、根岸鎮衛の『耳嚢』上中下なんぞ引っ張り出して読むとします。