トンネルを抜けて、プラットホームの間に地下鉄が滑り込んできた。 駅名を告げるアナウンスとともに、私の前で自動ドアが左右に開いた。
目の前に開けた車内の乗客は、一人残らず女だった。
突如現れた異様な光景に、一瞬眼を瞠って立ち竦む私。
車内を埋めるのは女子高生から女子大生、OL、おばはんまでよりどりみどり。 スポーツ新聞を拡げた通勤スーツ姿のオヤジは勿論、野郎の影ひとつもなし。
「・・・・・・・・ああ、そうか、女性専用車両か」
わからんかもしれんから説明しとくと、その地下鉄には痴漢防止策かなんかとは思うが、電車の1両だけを平日の夜(通勤帰りの時間帯)のみ、女性客専用にしているんですよ。 いやあ、でも、結構その地下鉄使うんですが、女性専用車両がまんま使われているの初めて見たっつうか、遣う人やっぱりいるんだね。 しかし乗った私の感想としてはこの車両、安心するというよりも、
なんか不自然で落ち着かなかったです。はい。
色んな年齢層の、色んな格好をした女がその車両一両に凝縮されているのは、さすがに、充満するピンク色のオーラが見えましたよ。 山田風太郎御大の『伊賀忍法帖』や『柳生忍法帖』に、牢の中に大勢の女が入っててそん中に閉じこめられる男とゆーシチュエーションがありましたが、なんかそれを思い出しました。 んで、女だらけで思いだしたが、こないだ鍼の先生と仕事の話をしていたら、
「Mさんは、性格的に女の中では働けないねぇ」 としみじみと言い当てられてしまいました。 ・・・・・・・・・・そうかもしれん。 例えば、別に頼んでもいないのに何かやってくれて、お礼を言ったきりそのまま放っておくと、後で「何で私ばっかりやらなきゃなんないのよ!」とか、陰でブツブツ文句言ったりしたり、そんなに毎日ブツブツ愚痴を言うほど職場や仕事が嫌なら辞めればいいのに、なんで長々勤め続けるのか、とか、4年OLさんやってて毎日見ている会社の女の人達に結構多いそんな気持ちが、全然、まったく理解できないもんで。 そういうのに限って、
「私はこれだけ周囲に気を遣っているのよ!あんたたちに我慢しているのよ!」
とか思っているのはわかるんだが、逆にその癇に障らないようにとすごい気を遣うのは、私だけなのか? 先生が指摘するって事は、やっぱそういうのはうちの会社だけじゃないっつー事なんで、これからの身の振り方を考えるにあたり、いやに勉強になりました。 ・・・・・・・・・・・ええ。
そんな感じで今日も屈折している、素人さん経理地獄日記。 今日も今日とて残業していると、会社に忘れ物をしたとかで、5ヶ月前に辞めたパートのおばちゃんが現れる。このおばちゃん、外壁営業課(仮名)の前の経理担当、つまり私の前任者で、しかも経理のプロ。
神の遣いや!! アンタ、今の仕事に苦しみ悶える私を見かねた神が遣わしたんや!!!
って、よくよく考えりゃこのおばはんが、うちの課のあまりの忙しさに愛想尽かして辞めなければ、私がこの仕事をやることもなかったわけなんだが、そんなスに戻ってひねくれてしまっている場合ではない!! 今の窮地を打開できる方法を訊きまくれ、私!! ・・・・・・・・とばかりに、色んな処理の仕方をおばちゃんに付け焼き刃で教わったが、さて、どうなることやら。
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