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日々闇雲日記。

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2005年01月17日(月)
うっかり八兵衛になった日

 ・・・・・・・・・私は今日。
 朝、コンビニで680円の買い物をして、レジで2千円札を払いました。
 その後車に入って財布を開けた途端、あるべきはずのお釣り札1000円がないことに気づき、慌てて買ったものを持ってコンビニに戻りました。
 恐る恐るレジのお姉さんに、
「あのー、これとこれ買って2千円払ったんですけど、今財布を見てみたら、お釣りが足りないように思うのですが」
 レジのおねえさんは、トチ狂ったとしか思えぬ客に気を遣いながら、しかしきっぱりと言いました。
「いいえ、頂いたのは確かに千円でした」
 私はその場は笑ってごまかし、首をひねりながらも車に入りました。
 そして車が発信し、コンビニから500メートルほど遠ざかった頃、私の頭でひらめくものがありました。
 私の払った2千円札に描かれていたのは、野口英世の顔だったことを。

 そして今持っていった買い物袋を、中身ごとコンビニに忘れてきたことを。

 ・・・・・・・・私は今日。
 本日納期の建築3DCGを、提出間際にパソコンの画面で見ながら、営業さんからの指示書と付き合わせて最終チェックをしていました。
 突然、指示書を見る私の顔が青ざめました。
 何故なら、営業さんからの指示書には、『CGを見せる向き:北西面』との文字が見えたからです。
 そして、目の前にある私が描いたCGはまさに南東面を向いておりました。
 私がその間違いに気づいたのが、定時ギリギリ5時半頃。
 仮に、そこからシベリア超特急並のスピードで建物の向きを書き直し、4種類のプラン画像を1枚ずつレンダリングし直し、さらにエクセルに貼り終えるという作業が終わったとしても、早くて2時間は過ぎている事でしょう。
 しかし私は今日に限って、1ヶ月ぶりに行きつけの鍼灸院に予約を入れていました。
 予約は7時からです。
 残業時間に鍼灸院までの移動時間である1時間を加算すると、絶対に間に合いません。
 私は、岸辺一徳ばりの冷酷な無表情で、決断をせざるを得ませんでした。

「私は何も見なかった。断じて北西面などという文字は見ていない」 

 そう自分に言い聞かせながら私は、そのまま南東の方角を向いたCGデータを営業さんに提出し、振り返らずに会社を後にしたのでありました。・・・・・・・・

 ・・・・・・・・・・私は今日。
 会社から帰ってくるなり、大急ぎで私服に着替えて駆けつけた鍼灸院で、いつものハリ全身コース1時間を決めて貰っていました。
 中国四千年の秘術で全身のツボを衝かれ、お灸でお腹と腰を温めて貰い、年末から溜まっていた眼と全身の疲れを一気にリセットです。
 そして施術が終わり、服を着ようと脱衣籠を見た私は、首をかしげました。
 脱いだはずの靴下が片方、どこかへ消えていたのです。
 辺りを探し始めた私に気づいた先生は一言、冷静に仰有いました。

「もしかして、最初から片方、穿いてこなかったんじゃない?」
 
 振り向いた私も、涼しい顔を取り繕って答えました。

「そうだと思います」

 先生は突っ込まず、むしろ笑顔で「全ては疲れのせい」という事にしてくださいました。
 その前で今日のアレやコレやが脳裏を走馬燈のようによぎりつつ、仕方なく薄ら笑いを浮かべた私は、思わず言うところでした。

 「先生。『うっかりが治るツボ』なんてあったら、ハリ打って頂けませんか?」

 ・・・・・・・・・おあとがよろしいようで。