永遠の1/2
まりあ



 【私の闇2】魔法使い

彼と繋がっていた3年間
仕事から帰り道、車を運転しながら泣いて帰る事もあった。

仕事が夫の両親と同じと言うのは、酷な世界。
一から十までチェックされる。
遠くに住む兄嫁の卒のない行動と比べられ、
子供を比べられ、そのくせ、甘やかし手の負えない状態にし

私を追い詰める



家に帰って、隙を見て、彼に電話をかける。

独特のペースの話し方。
考え方。
笑い声。


深刻になって凹んでた私を、いとも簡単に
「ちっぽけな事だもの、気にするまい」
って気持ちにさせた。

それはまるで魔法使いみたいだった。


彼は、まるで自由な風
風に揺れる丘の上の一本の木
さらさら流れる小川

世間の常識にとらわれる事なく、飄々と、朗らかに
独特のテンポで生きていた。



ずっと、「こんな自分になりたい」と思い描いている自分があって
それには遠く及ばなくて自己嫌悪に陥ったりする事もある私だけれど
彼は、私のなりたい私を、一番よく理解してくれてたように思う。

時に、投げやりになる気持ちを、彼はいつでも立て直してくれた。
それはまさに「まりあ(聖母)」の姿だったかもしれない。
だから、彼がいた3年間。
私たち夫婦は、まったく喧嘩がなかった。
それは心が向き合っていなかったからかもしれないけれど・・・・・



そんなある時、ネットの知人のHPが荒らされた。
相手は悪質なネットストーカー。
その女性に恋するあまり、迷惑行為を繰り返していた。

素敵なサイトを作ってる知人をなんとか手助けしたい。
そんな気持ちでそのストーカーを何とかする事は出来ないかと思案した。

WEBの事に詳しい友人の手助けを得て、アクセス解析をたくさんつけ
ストーカーを追い詰めるサイトを有志で作った。

彼はそのサイトを見て、
「相手だって何か訳あってやってる事だろう。
許せない事だと思うけど、こんなに指紋をとりまくって調べ上げるみたいな事をしても、
多分、何も解決しない。
相手の行動が理由じゃなくて、相手の心が理由だろ」

それは常々わかっていた事で、北風と太陽の太陽にならないと
相手を変えることは出来ないと思っていただけに
彼が支持してくれる私は、ジャンヌダルクにでもなれた。


彼は言葉だけで私を無敵に変えてしまう、魔法使いだった。




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<ここからは現実の話>
一昨日はメールを出しすぎたかな、と思って昨日は控えた。
でも夜になって、
「こっちは雨が降ってるよ。私の実家は握りこぶし程の大きさの雪が降ってるって!
仕事終わったかな?ご飯食べたかな?余力があれば少し話したいけど、どう?」
と打ってみた。

携帯はなりそうにないので、諦めて違う事をしていたら・・・


30分後になった!

今終わった事。
雨の中、バイクで帰るのにゴミ袋を被って帰ったこと。
帰ってご飯が何もないので買出しに出た事。
今からご飯支度する事。

などなど

すごい饒舌になってる彼は、おしゃべりが止まらなくなった。

ご飯を作る事は結構楽しんでいる。
とにかく節約してる(この話しを聞いて電話かけなおし)
携帯で2ちゃんを見て、一人暮らしの話しを見て参考にしたり励まされたり。
どうせならポジティブに!

仕事の話。
熱くなってやってる事。
上司に嫌われている事。
でも、その上の上司とは、すんごい話し合って理解してくれてる事。
相変わらずアウトローだけど、心地いいけど、評価されたい気持ちもある事。

お米とがないと!と水をさしても、止まらない止まらない。

あああ。
ちゃんと私の位置、用意されてるじゃない。
愛だの恋だの、そんな枠を超えちゃってる彼だった。
元の「大真友」よき理解者として、欲してくれてる。


ただひとつ・・・。
最後の頃になって

「また話そう!迷惑じゃなかったら・・」と言った私に、彼は不機嫌な声を出した。
「だから・・。そういうの迷惑とか、言うのやめろって!」

「あのね。1年間さ、ずーっと自問自答の生活だったんだ。
迷惑でいなくなっちゃったのかなぁ、とか。何が悪かったんだろう?とか。
だから、やっぱり怖いんだよ。」


すると、ぽつりぽつりと濁しながら・・・。
連絡を取れなくなった訳を話してくれた。
でも、あまりに遠まわしで、言葉を選んで選んで選んで・・・・

連絡取りたくても連絡先がわからなくなる事もある。
取れるようになったとしても、こっちの立場が変ってしまってる以上
必死になって探し出して連絡しても、いいかと問えば、無理だろう。

そんな話しだった。


「私は事故で入院しちゃったのかな。とか、ばれたのかな、とか。
考えちゃったよ」といったら

ばれましたよ!見事に。って・・・・




私の思い過ぎしでなければ・・・。
あれだけ遠まわしに話していたのは、
離婚のきっかけになったのは、充分私のことがきっかけになったのかもしれない。
そうとはけっして言わないけれど。
「元からいろいろあったからねぇ」って。


今はもう、恋愛とかイヤなんだよね。
恋愛絡むと、人はダメだ。
嫉妬だの、ドロドロしちゃってさ。
もう、うんざりなんだよね。
自己を満たすことに必死になるのをみるのは、うんざりなんだよ。


眠くなった声でそういうので、

もう切ろう!なんかちょっとでも食べて、早く寝ないと明日が辛いよ。
と言う言葉をさえぎるように


そういう事です!
だから、迷惑とか思わないでくれい。
電話無理なときは無理って言うし。
こっちもこんな深く話す人ってそうそうないから、ありがたいしな。


充分です。ありがとう。
願ったりかなったりなのかもしれない。


神様、もう一度彼を返してくださってありがとう。
先はわからないけれど・・・。
この位置で、スタンスで、私の出来るベストを尽くして。

ポジティブに、朗らかに
彼の魔法は今も健在です。

2005年02月25日(金)
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