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■ 満月街灯。
まんまるいお月様が、頼りない街灯よりもずっと街を明るく静かに照らしていて、静かな気分で帰宅。ひとりになりたい。
くたびれることが多すぎて、どうもこのところのわたしは駄目だ。うまく自分の感情をコントロールできる人間がうらやましい。でも、感情を心の中で爆発させて、わたしは自分の人生のコマを進めてきたのだと思い返す。
しかし、月明かりをみてあのような曲を作ったドビュッシーはすごい。 "Claire de lune" 上品な降りをして、ほんとうは狂気じみたものを秘めているに違いないその旋律なのだ。海抜1,500メートルのハラレは、月に少し近いのか?
ハラレのジャカランダはいよいよ勢いを増し、道が紫色の絨毯を敷き詰めたかのようになる。花吹雪が、桜とは違って豪快だ。 それだけのことで、わたしはこの街を愛する。
お気に入りの映画『かもめ食堂』の小説版を、もう一度読み返す。 この静かなフィンランドの空気がたまらない。
ビジュアルな文章を書く、ということを言っていたのは向田邦子だ。彼女の、どのエッセイだったかしら。
取りとめのないことを考えながら、月灯りが照らす街を、夜も深まって花々の香りがいっそう濃く漂う庭の小道を歩きながら、ひとりの家に帰る。 自分ひとりだけの家。 なんと贅沢で幸せで、そしてシンプルなのだろう。
ほんとうは、彼と生きていくことができたらよいのだろうけれど、それを口に出してはこの夢が消えてしまいそうな気がする。 でも口に出すけれど。
わたしを救ってくれるものは、いったいなにかな。
2006年10月06日(金)
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