あふりかくじらノート
あふりかくじら



 ショナの夜。

この国に住む人々の多くはショナという人々。
今、ラジオからニュースが流れている。
独特の言葉にも、ずいぶん耳慣れてきた。

わたしはいまのところこの人たちが好きだし、
この言葉も好きだ。
だから覚えようと努力してみている。
感じようと、努力してみている。


いつの日か、
ここが懐かしくてたまらなくなる日が来るのだろうと、
いままでそうして生きてきた自分を振り返りながらおもう。

すごく静かで、虫の声が聞こえる。

今夜、このひとの写真をみて
そんな自分を想像して胸が締め付けられるようになった。

いつも、去る自分。
ひとつところにとどまらない、
たったひとりだけの、自分の生き方。

すこし負けそうになる夜もあるけれど。

2006年05月13日(土)



 月夜のジンバブエ。

まぶしい月夜。

朝と夜は、とても冷え込む。
でも、寒さの中ではいちばん感覚が研ぎ澄まされる。

多くのことに草臥れ、あまりにもたくさんのことを抱え込みすぎる自分に嫌気が差し、それでもそれは誰かとシェアできるものでなくて、自分で何とかするしかないとなると、ただひとりで静かにソファに沈んでいるだけ。

月夜を帰る、自分ひとりだけの世界。
ほんとうに、ひとりだけの。

2006年05月10日(水)



 いいお天気ですし。

お外に出ました。土曜日。
ハラレは良い天気。ほんと、秋晴れ。けっこう日差しは強いけど。
ゴールデンウィークは関係ないけれども、今週末はなかなかに面白い。ショナ語のレッスンはお休み。明日は楽しみな予定がある。

停電に備えてつまらないロウソクなどではなく、香りのするようなきれいな色のおしゃれなキャンドルを購入。ひとつ一米ドル程度。(20万ジンバブエドル)

ドライブにお勧めの曲、募集。

昨日は、今の仕事の前々前任者(正確には「前任者」ではないのだが、ともかく同じポジションにいた方)からメールの返信を頂戴し感激した。この方はとても尊敬できる女性だと思うし、いつか連絡を取りたいと思っていた。
たまたま、アフリカ研究以外の共通の知り合いがいたというすてきな事実もあったし。
オフィスの中に残っている彼女の資料とか報告書や何かが、わたしの味方であり、孤独を癒してくれるものだった。その書類を手に取ると、ひとりじゃないと思えた。この仕事はけっこう孤独なところがあるから、そういうときの支えになってくれる。それは、遠くにいる仲間であり、先人なのである。

一方、しばらくメールが来ないだーりんに国際電話。
相変わらず、とても忙しくしているらしい。黄金週間も関係ないのか。それでも、ほんの二、三分の電話でこんなに甘い気持ちになれるってのは、幸せなんだろうね。それならもう少しがんばれる、と思う。

やりたいことは数限りなくあれど、あわてず焦らず、がいちばんだな。
とりあえず、今年いちばんのビッグプロジェクトが進行中。


2006年05月06日(土)



 ショナ語を学ぶ、その気持ち。

不真面目な生徒なのだけれど、家でまともに勉強しないのだけれど、忘れっぽいのだけれど、語学の専門家であるプロの先生に習うショナ語は、楽しくて仕方がありません。面白くて仕方がありません。

そして、会うひと会うひと、会話の先生になってくれるから、実践できる。


いつか、『ゼンゼレへの手紙』を読んでから、わたしはジンバブエを好きになりました。そして、とうとう暮らすことができました。


だからこれからもきっと、ジンバブエに関わっていくと思うのです。そして、この言語も、好きでいると思うのです。ショナ語。


そうして、少しずつジンバブエの娘になれるといい。
zvakanaka!


これが他の誰でもない、わたし自身の関わり方。

2006年05月05日(金)



 気温が下がり、夜香木。

朝、ひんやりする。
出かけるとき、一瞬冬のにおいがする。


冬が来る。
この時期が、いちばんわたしの身体と心に染み入ってくる。
冬の、はじまり。


ハラレにやってきた日の、ホテルとか(庭のうつくしいホテルだった)その辺に満ちていたあの少し気温の低い空気の感じが、わたしだけをそのころに連れていく。ひとりで時空を一瞬戻り、そして何事もなかったようにそれを心に秘め、歩き出す。


気持ちが静かになってくる。


夜、帰るとき、ヴィレッジ(に住んでいる)の花咲き乱れる庭が闇に包まれ、夜だけ匂いたつ花に気づく。
闇のなかの、深い香り。

太陽の光の中ではふれることのできない、深く静かで、艶やかな香りなのである。

2006年05月04日(木)



 ミルキー・ウェイ・ハラレ。

すごい星空。
なんというか、肉眼で見える星はすべて見えてるんじゃないかと思うくらい、知らない星座ばかり。(もともと知っている星座などほとんどないが)

天の川がうつくしく。
あちらからこちらへ流れる。銀河系というところに住んでいるんだなって思うと、この地球の生命のものすごい偶然に気づき、思わず大きく息を吸ってはくのである。

ハラレの夜。

このところ、停電が多い。ほとんど毎日、一時間から数時間のあいだ、夜に計画停電がある。節電のためだ。電気はそれでも、外国から買っている割合のほうが少ないらしいが。


そして、ハラレの夜。
ミルキー・ウェイ。

このなかの、他でもない地球という星にいると思うと、いつまでもこの星空を見ていたい。怖くて怖くてたまらないのだけど。




2006年05月02日(火)
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