あふりかくじらノート
あふりかくじら



 恋するくじらのありかた。

そろそろ小笠原もざとうくじらの季節で、
きっとあの青い深い海のなかで
静かでおおきなブルーの底で、
くじらは歌をうたうのだろう。
水面から、天へむかって跳ね上がるのだろう。
白いしぶき、おおきな黒い身体に
ブルーがしみこんでいる。

ひとりの人間として、
わたしひとりの生き方を大切にする。
そしたら、
誰かを好きでいることが
こんなにも幸せだったことに気づく。
生きることが楽しくなった。

誰かが、どこかで生きていると
感じる幸せ。
そのちいさな安心感の感触。
友だちも、恋したひとも、尊敬するひとも。

グラン・ブルーの残像。
くじらのしっぽの記憶。

2004年01月31日(土)



 臨時OLといえど。

「フリーランス」と名乗っている。
フリーランスで活動しているからなのだが、
それだけでずいぶん気持ちがしゃきんとする。
勝手に責任感も感じる。

誰かに会う。
たとえば、同性で同年代の友だち。
おしゃべりして、たくさん笑って
たくさんシェアする。

そうしてパワーをもらうと、
色んなものがめぐってくる。
電話をもらったり、いい言葉にあったり。

しゃきんとした気持ちが、
良い方向に進む。

OL生活に一ヶ月ほど戻ることになったが、
それはそれで、以前とだいぶ違う感覚。


2004年01月30日(金)



 淡水パールのハート型。

天然石ビーズ・アクセサリー。
淡水パールとマザー・オブ・パール、
スワロフスキー・ビーズ。
陽だまりのサロンで、つなげてきらきらした
白い連鎖。

最近は、日々の時間が少しずつ
活発になってきている。
そういう流れのとき、いろんなひとに会い、
いろんな人から、すこし流れをかえるような
電話をもらったりする。

だから夕べ、わたしの師匠に
すこし似たひとにあった。
あのひとのようなひとが、この世界に
存在したという事実を知り、
これほどうれしいことはなかった。

連鎖するビーズ。
白い連なり。

2004年01月28日(水)



 クリエイティブ・ライフのすすめ。

昼間、大好きだった元上司から電話。
彼女はいま、幸せいっぱいの奥様。
わたしもそれだけで幸せな気分になった。

こうやって、誰かとつながっているということは
どこかの世界とつながっていくということ。
そしてそれは、無限大。

夕べ、ひとにあった。
代官山のおしゃれなカフェで、
まるいテーブルを囲んで、
また未知なるまっさらな方向へ
世界を拡散させた。

それだけで、いまのわたしはすすんでいける。
物事のかけらは、やがてより合わさる。
きらめくビーズのしずくのように。

2004年01月27日(火)



 ミルンズ・コートの記憶。

その古い建物のわたしの部屋には
ちいさくて細長い窓があった。
窓枠の白いペンキがすこしはげていて、
あけるときは力が要った。

エディンバラは天気も悪いけれど、
ときに晴れた日は、ここぞというばかりに
太陽が降り注ぐ。

わたしは毎日、この窓を開けた。
世界とわたしをつなぐ、
空間を連結させるもの。

2004年01月25日(日)



 しあわせと思うしあわせ。

夕べ、お世話になっている先輩とその教え子さんと
三人で赤ワインをのんだ。

みんなアフリカ研究者。
アフリカが好きということかな。
アフリカ研究者がアフリカ好きとは
限らないけれど、とにかく何らかの共通項は
とても楽しくて、その共通項探しを勉強会の
イベント<ミニ・シンポジウム>にするために、
わくわくしながら話しあった。

なんだか話は今度やる宴会のネタになってきて、
テーマを出してみんなにアフリカ・エピソードを
語ってもらおうなんていうことに。
愛とか酒とかいうテーマもとびだす。
すごく、深そう。

愛と恋のちがいってなんだろう。
すくなくとも、「兄弟愛」とはいうけど
「兄弟恋」とはいわないね。

そして、
こういう楽しい時間とか、女の子の友だちに電話して
愛と恋のちがいについて語るとか、
ともだちにメールしてあったかい返事をもらうこととか、
大好きなひとに恋してることとか、
じぶんのことを大切にしようとおもったこととか、
小さなしあわせのかけらがたくさんあることを
思い出すことができたみたい。

それならそれで、いいんだよね。
わたしはまだ、やっていける。


2004年01月24日(土)



 大事なこと。

わたしは
わたしと向き合うのが怖くて逃げて
孤独と向き合うのが怖くて逃げて
言い訳ばかりしてる

でも
自分の孤独は自分のものだから
誰かをつきあわせるのはまちがってる
それは
孤独を分かち合うとはいえないこと

淋しくても 
たいせつなことを
たったひとつだけ考えるようにしたら
とても楽になった

いくつかのことが
<大好きに思う気持ち 大切な思い出
 小さな幸福 たくさんの幸せ
そして 自分のことがだいじだということ>
とてもすなおに
受け止められるようになった

自分の人生を生きることは
あまりに孤独だから
その自分にまっすぐ向き合って
いちばんたいせつって思えるようになること

すごくちからと勇気がいる

でも
そうすればいつか
誰か大切なひとにも
やさしくなれるんじゃないだろうか

2004年01月22日(木)



 伝えたいことば。

天国に行ってしまったあのひとへ
伝えたいことばがたくさんあるのに
伝えられないから、わたしはあるとき
それを小さなメモ帳に書き綴った。
あんなに突然あえなくなってしまって
それでも暗く哀しくなるといやだから、
それはとびきり明るいオレンジ色で
太陽の絵がついているものだった。

生きていても、あふれんばかりのことばを
伝えられないことだってある。
大切なひとをどれだけ大好きでも、
上手にそれを伝えることなんて
ほんとうにむずかしい。
どれだけ大好きでも、同じ角度と同じ温度で
100%つながりあうことなど、きわめて不可能に近い。
そういうのって、すこし哀しい。
伝えたくても、伝え切れなくて終わってしまうことの
なんと多いことか。
それでもわたしは、思いつづける。

せめてわたしは、大好きな気持ちや伝えたいことを
ほんの少しずつでもことばにして書いていくことで
救われようとしている。
あわよくば、ほかの誰かも救えるかもしれないと思っている。

わたしの中で最後に残ることは、書くことだろう。

2004年01月19日(月)



 音楽の即効性に無防備。

何故か図書館では静かなBGMが
流れているというのは、ときに良くない。

たまらなく静かな午後に魅惑の無料空間を満喫し、
渇望している精神状態を癒すために、
活字中毒気味のわたしは子どもみたいに無防備で
宙を浮遊している。

そんなときに、あんな懐かしい曲が頭の上から
急降下してきて自分の過去を直撃してしまうと、
いっぺんに動揺して硬直してしまう。

音楽はずるい。
二度と会えないひととか、終わってしまった恋とか
昔住んでいたアパートの気だるい空気なんかを
無作為に攻撃してよみがえらせてしまうなんて。
わたしの断りもなく、脳に入ってきて。

それでもその痛みはけっこう甘美で、
わたしはそれを小説にしてしまおうと
開き直ることもある。

2004年01月16日(金)



 有機栽培のくじら。

コンビニ弁当食べて生きていたら
死んでも三日くらい身体が腐らない
なんてことは思わないけれど、それでも
最近は食べ物のことも良く考えるし、
身体につけるもの、たとえば石鹸とか
シャンプーとか化粧水とかについて
できるだけ添加物の少なそうなものを
選ぼうとしているみたいだ。

化粧品についての本を読んだけれど、
やはり食べ物と比較すると格段に化学薬品の添加物に
対する意識が低いメーカーが多い。
消費者の意識も、低いということなのかもしれない。

それで、いつも某社のとてもうつくしい
ボトルに入った化粧水(3,500円)を使用していたが、
ちょっと志向を変えてできるだけ
「自然」そうなもの(600円)を選んで、天然クレイの
洗顔フォームの代わりに無添加石鹸を使用したら
それだけでずいぶん肌の調子が良い。

人間の細胞は、日々入れ替わっていくし、
一定期間が過ぎたらくじらは有機栽培に
なってしまうんではないか!?

ものを買うとき、ほんの一拍おくようになったら、
ずいぶん生活が明るくなった。

2004年01月15日(木)



 インプット・シーズン。

心の余裕が出てきたのかもしれないけれど、
さいきんは、手作りすること、ものを
大切につかうこと、味わうこと、
ていねいに料理を楽しむことのほかに、
活字中毒だけならまだしも
写真や映像、色合いなんかにも執拗に
反応するようになった。

スローライフ。スローフード。
こういうとき、すこしすると書き進む。

本日ちゃりんこから見た藍の空は、
すこしバミューダ・ブルーのビーズに似た
グラデーションをみせた。
もったいなくって、きょろきょろした。

2004年01月14日(水)



 魅惑のバミューダ・ブルー。

天然石とかスワロフスキーとかチェコビーズ。
あんまりよくわからないけど、わたしの心の中に
深く深く沈んでいった魅惑的なその色は、
いつか小笠原でみたうっとりするくらい
深くうつくしいブルー。

海の底のような色をしたそのビーズは
2.5センチくらいのしずくの形をしていて、
深い青が、傾けるとほんの少し緑色に光る。

わたしはこのガラスのかけらを一瞬で愛して
買ってしまった。
わたしには、どうやってアクセサリーをつくったらよいか
よくわからないのに。

2004年01月10日(土)
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