あふりかくじらノート
あふりかくじら



 雨あがり。ホワイトチョコレート。

だって、雨が降って
それがあんなに大粒でやわらかかったら、
どうしてそれをかさで砕けるというのだろう。

なんでこのまちは、きらきらと重たく輝くのだろう。
雨。
雨あがり。

太陽が石の街に降り注ぎ、
もう何百年もそうしてきたように輝き、
そして風の湿度と感触が、あまりにあたりまえのように
自分の頬をなでるのだとしたら、どうしてわたしは
そのホワイトチョコレート色のかさを手にできるのか。

何故わたしはこの街につながっているのだろう。

青い海の底に、雨は降るのだろうか。

知っていた?
六月ももう終わろうとしている。


2001年06月30日(土)



 刹那。くじら。音。

懐かしさがいつもわたしのこころを苦しめたけれど、
いつのころからか、消えゆく哀しみとか
そういうものを知ったとき、現在の瞬間を
こころから幸福に思えるようになった。

音楽がきこえる。
街の空気を感じる。
空と海。

それらをうつくしいと思うようになった。
なくなることばかり、心配していないで。

そうしたら、生きるのが哀しくなったし、
幸福にもなった。

スカイ島という場所は、静かなところ。
荒荒しい景色と、やわらかい空気。
雨が降って、陽が射して、そして海が広がる。
山と丘を羊にみつめられながら自転車で走る。

ここの海にも、くじらは来るという。

わたしはただ、そうして生き延びているだけだけれど。

2001年06月17日(日)



 青いくじら。

足の先から頭のてっぺんまで
その青に浸っていく。

だって
生と死はいつでも隣り合わせで
生と死はいつでも表裏で
そして
生はいつでも死を含むから。

日常の山積になった知識の断片を
ひとつひとつ
片付けた。

エッセイが嵐のように終わったから。
たくさんのことが、こころを疲れさせたから。

宿命的なにせものの月明かりを感じて
島にいこうとおもいます。

これからわたしは、ますますくじらになる。

お願い。
詩ではないの。詩的ではないの。

これはただの、たましいの欠片たち。
そしてわたしは、強くなれたから。

2001年06月06日(水)
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