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■ 芝生のにおい。空をすべるくじら。
表通りは、あふれんばかりの幸福な笑顔の観光客でとてもにぎやかで、 それでも大学の中は、すこしだけ静かな陽射しに満ち溢れている。
土曜日。
青い空とそんな緩やかなときの流れのなかで、思考が浮遊するとき 大学のなか、静かにしずかに、フラットメイトに会った。
あした、ぎりしゃに、かえるって。
5年もこの街にいて、すっかり倦んでいて、ただただ 精神的な重圧が…論文、論文、論文。 「自分は何故ここにきたのか。」 彼女はしずかに微笑んだ。 じぶんには、できなかった。もう、この街を去るから。
もう、この街を去るから。
サンドイッチを買って、すこし歩いて、 とても広い芝生の上で食べた。彼女と一緒に、食べた。 まるで、わたしたちもたくさんのひとたちと同じくらい 幸福なふりをして。
それは、とびきりおいしいサンドイッチだった。
寝転がって、芝生のにおいが空をすうっとすべる 自分の身体にまとわりついた。
…ただ、それだけのこと。それだけの。
きょうは、土曜日。
2001年05月13日(日)
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