無責任賛歌
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2005年05月30日(月) |
体調振るわず/『げんしけんDVDボックス』2 |
朝から熱発して出勤できず。
グータロウ君が友達から『押井守DVDボックス』を借りた話を日記に書いている。 押井守ファンでも、アニメは好きだが実写映画はちょっと、と感じている人は多いと思うが、その点で言えば私は「どっちかと言うと実写の方が好きかな」という珍しい押井ファンであると言えよう。いや、そりゃ映画としての完成度で言えば『機動警察パトレイバー』や『攻殻機動隊』の方が上だろうし、押井守らしさが横溢している点では『天使のたまご』や『御先祖様万々歳』を挙げるのが妥当だろう。それらの傑作群に比べると、実写3作(『紅い眼鏡』『ケルベロス 地獄の番犬』『TALKING HEAD』)は観念的で映像としての魅力にも乏しく、“一般的には”一段劣って見えるのも仕方がないかもしれない。 けれど、アニメでは「絵」というフィルターがかかるために抑制され薄められてしまうが、押井守のナマな人間に対する欲望は、実写版ではかなりストレートな形で反映されていて、それが私なんぞには非常に面白いのだ。少なくとも『紅い眼鏡』の兵頭まこの、目を見張るほどに済み切った美しさを見るだけでもこれは価値があるのよ(笑)。
なんだか殆ど毎日酔っ払い批判をやらかしてて、全世界の愛飲家をテキに回しているようであるが、実際、酔っ払いの仕出かしたトラブルを書いていけば、毎日ネタに困ることもなく、立派に事件簿ができ上がっちゃうのである。 映画監督のオリバー・ストーンが、27日夜、酒を飲んで乗用車を運転、ロサンゼルスの路上を走っていたところを取り締まり中の警察官に停められた。その際、車内を調べたところ、薬物が見つかり、逮捕されたという(薬物の種類は未発表)。アチラの話だから、ストーン監督は保釈金1万5000ドル(約162万円)を支払ってすぐに釈放されたそうだけれど、それだけのカネをポンと出せる人間なら、サケをやろうがヤクをやろうがカネ積みゃ何とかなるって発想になってもおかしかないわな。監督の薬物所持での逮捕は、99年に継いで2度目だとか。 名声を馳せてはいるが、私はオリバー・ストーンという人を映画感得としてたいした人だとは思っていない。「社会派監督」という肩書きはクセモノで、題材がセンセーショナルな場合が多いので注目されることが多いが、かといってその演出力まで秀でているとは限らないからである。『プラトーン』を見た時に感じたことは、一般的な世評に反して「大味な描写だなあ」というものであって、監督が意図したらしい「ベトナム反戦」とやらは“映画の中からは”感じられなかった。リアルとか言われてたわりにはメロ入ってたしな。 だもんで、この人も私には「胡散臭い」監督の一人だったのだが、最近はサケやヤクに限らず、本職の映画の方でもいろいろと馬脚を表しつつあるようである。『アレキサンダー』はホモ描写ばかりが話題になって、映画自体は大コケしたようだが、根のない「社会派」が客に媚売ってりゃ、いつかは化けの皮がハゲて見捨てられるのも必然というものだろう。『アレキサンダー』はまだ見てないんだが。
DVDボックス『げんしけん』2。 5〜8話、及び、『くじびきアンバランス』2巻。 本編の方は、原作ベースながらオリジナル描写もかなり付け加えられていて、ドラマとしての厚みを増している。横手美智子脚本に期待してボックス買いまでしてるようなものなので、つまんなかったら涙がちょちょ切れるところだ。 1話限りで消えちゃった新入部員のエピソード、「空気読めねえ」ぶりがリアルでおかしい。いるんだよ、宴会で先輩を無視して一人勝手に食いもの食いまくるやつ。おれもだけどな(もちろん私の場合は空気が読めないのではなくて空気を無視しているのである。飲めねえって言ってるのにムリヤリ酒を押し付けてくる酔っ払いにはこっちだってそれなりに対抗するというものだ)。 予告編のナレーションで、咲姉さんがレイヤーを思いっきり貶しまくって(素で悪気なく言ってるという設定)、それに大野が「全国のレイヤーを敵に回しましたよ」と静かに突っ込むのがナイス。 『くじアン』は「大総集編」という体裁で、過去の対決を千尋が思い返す。もちろんシリーズそのものが存在してないので、総集編もへったくれもないのだが、横手美智子著の小説版『くじアン』とはシリーズ構成もエピソードも違っているらしい。できればそこんとこの整合性も合わせてほしかった気がするが。1巻に引き続き、全体的に作画演出を「イマイチヘタレ」レベルで抑えているのが見事。これ、あくまで本編劇中の「架空アニメ」なんで、斑目とかが「アレックスとの対決シーンはリキ入ってましたなあ」と批評するクライマックスの一部分を除いて、作画レベルをよくできないのである。予め「手抜きでいい」ことが約束されてるアニメなんて、スタッフは気は楽だったかもしれない(笑)。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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