無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年02月21日(月) あ〜んあんあ、驚いた日記4

 パソコンクラッシュ、金曜日に業者が来てくれるとの連絡。
 説明書というものがいかに役に立たんかということである。

「TOHOシネマズトリアス久山」で、映画『ステップフォード・ワイフ』。
以前は「ヴァージンシネマズ」だったのが、去年から東宝系になった。『マトリックス・リローデッド』を見て以来だから、1年以上、見に来ていない。だって、遠いし、他に寄る所もないし。でも「天神東宝」ではこの映画やってないから、ここまで足を運ぶしかないのである。平日の夜だから仕方ないのかもしれないが、ただっ広い駐車場がガラ透き。他の映画館との差別化を図っているのは、THX、SRD-EX、DTS、SRDスナック付き、飲食テーブル、リクライニングシート設置のプレミアスクリーンなんだけれども、別に食ったり寝たりしたいわけじゃないのでたいした魅力ではない。今や通常料金の1800円という値段が普通の生活送ってる庶民にとってはもう大贅沢なのである。それを2400円というのはなんかもう庶民は映画見るなといってるようなものだ。……って久山でそれやってどうする(久山を知らない他地方の方へ。名前どおり、周りはただ山しかないとこです)。こんな商売の仕方して、存続していけるのかいな、と余計な心配。
でも、遠出までしたってのに、映画はおかなり寒い出来。『死の接吻』のアイラ・レヴィン原作だし、『ダーク・クリスタル』のフランク・オズ監督だし、と、ちょっと期待はしてたのだが、考えてみれば、オズ監督、『おつむて・ん・て・んクリニック』の人でもあったのだ。コメディの監督としてはまあ中の下くらい。「ステップフォードの女たちには秘密がある」ったって、どんな“秘密”かは物語の中盤で早々にバラされる。まあ、ラストまで持ってけるほどの謎でもないから、その判断は間違っちゃいないのだが、もともと原作のモチーフが「ウーマンリブに対抗する男たちの反逆」という、1960〜70年代にしか成立しないものだったので、それをウーマンリブ運動自体がお笑いになってしまった今、映画にしたところで、時代錯誤というよりもかなり悪趣味なものにしかならない。それをどうクリアするかがポイントだったと思うんだけれども、オズ監督が物語をコメディにシフトさせた結果、ミステリーなんだかSFなんだかコメディなんだか、どうにもどっちつかずのふやけた映画になってしまった。
ニコール・キッドマン、マシュー・ブロデリック、ベット・ミドラー、グレン・クローズ、クリストファー・ウォーケン(さらにはわれらがジョン・ロヴィッツも!)と、役者をこれだけ集めといて、持ち味を生かしきれているとは言い難い。つか、既成のイメージをなぞりすぎていて、かえってつまんなくなっているのである。知性派のキャリアウーマンだがケンのあるキッドマン、優柔不断の夫のブロデリック、ガサツで家事ひとつこなせない「殺したい女」なミドラー、上流志向で権威主義的なクローズ、そして正体がアレなウォーケン、どの役も以前、この人同じ役やってなかった? という印象なのである。これじゃただの“なぞり”で、パロディにも何にもなってないよ。
しげは見終わった後、「マシュー・ブロデリックって、グータロウさんに似てない? 顔じゃなくて雰囲気が」とか言ってたが、最後にはまあいい役になるけれど、途中はかなり軟弱だから、あまり誉め言葉になってないと思う。


 19日に発表された第55回ベルリン国際映画祭、最優秀作品賞の金熊賞は南アフリカ映画の『U−カルメン・イン・カエリージャ』(マーク・ドーンフォードメイ監督)が受賞。見ちゃいない映画については何ともコメントのしようはないけれども、少なくとも日本から出品された『隠し剣 鬼の爪』(山田洋次監督)が受賞するほどベルリン映画祭のレベルは低くなかろうと思っていたので、順当な結果かもしれない。いや、『隠し剣』もそれなりにいい映画じゃあるけれど、感情的かつ説明的な台詞が多すぎて、とても世界に出せるほどのものとは言えなかったので、落ちてくれてホッとしているくらいである。先年金熊賞を受賞した宮崎監督の『千と千尋』だって、いつものエコロジーに説教臭いところなど、決してよい出来だとは言えない面があったけれども、全体としては人間の本質を聖俗ともに包括的に描いていた点で現代ファンタジーとして十分評価に値したと思うし、そのあたりを「投げ」ちゃった『ハウル』の体たらくを見ると、やはりグランプリにはふさわしかったなと思うのである。なんかね、いまさらなこと言っちゃうけどね、映画の「完成度」って、たとえエンタテインメントであろうとそういう「人間」が描けててるってことなんだよ。半可通なオタクは「人間が描けてなくたっていいじゃないか」とかすぐ言い出すけど、「人間は描けてないけど面白い」作品なんて存在しない。そういうものです。
 『隠し剣』よりも気になるのは、落選したことでまた輸入が危ぶまれるんじゃないかと心配の『太陽』(アレクサンドル・ソクーロフ監督)だけれども、本気で日本が「民主主義の国」であると主張するのであるならば、どこかの会社、ちゃんと買い付けろよと言いたい。多分、昭和天皇を演じたイッセー尾形さんも、出演するに際しては極右翼に「命」狙われるくらいの覚悟はしてるはずだ。その意気に答えられないってんなら、日本の映画人は口が裂けても「映画に平和へのメッセージを込めた」なんて言うべきじゃないだろうよ。

2004年02月21日(土) 退院後のばたばた
2003年02月21日(金) しげ、テレビ出演!/『江戸川乱歩と少年探偵団』(堀江あき子編)/『クイーンフェニックス』上・下(横山光輝)
2002年02月21日(木) アホがアホを教育したってねえ/アニメ『七人のナナ』第7話/『鉄鋼無敵科学大魔號改』(唐沢なをき)ほか
2001年02月21日(水) 買い物ブギ/『ブギーポップは笑わない』第1巻(緒方剛志)ほか



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