無責任賛歌
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2004年11月03日(水) |
女になって出直せよ/『DEATH NOTE(デスノート)』4巻 |
こんな夢を見た(夢の話だからね。絶対に勘違いしないように)。
よしひと嬢が引っ越しすることになった。 それで私としげは、その手伝いに行くことになったのだが、その引っ越し先というのがとんでもないことに、総合アミューズメントパークになっているのである。しかもまだ建設途中で、あっちこっちに鉄パイプの骨組みが見えている。よしひとさん、なんてところに引っ越してんだ、と思ったが、手伝いに来た以上は逃げられない。しかも今日は肝心のよしひとさんが都合で来られないのだ。私としげだけで引っ越しは片付けなければならない。 覚悟を決めて入口から入ろうとしたのだが、受付でなんだかやたら身体中ぴかぴかとネオンみたいに光るコスチュームを付けたねーちゃんに、「ここは女の子しか入れません」と制止されてしまった。 「引っ越しの手伝いなんで入らないといけないんですよ」 「規則ですからダメです」 受付嬢はニベもない。そばで見ていたしげが「しかたないわね。えいっ!」と、急に魔法のステッキを振った。途端に私はハカセ(穂稀嬢)と身体と魂が入れ替わってしまった。思わず「ああ、オレ、ハカセになっちゃったよお!」と頭をかかえた(よく考えれば、頭をかかえなきゃなんないのは、身体を乗っ取られたハカセの方だと目覚めたあとで気付いた)。 けれどこれで一応、問題はクリアーできたので、パークの中に入る。よしひと嬢の引っ越し先は何階か上なので、そこまでエレベーターかエスカレーターで上っていかなければならないのだが、やたらでかいパークなのに、入口がすごく狭くて、大人一人すら通れない。ハカセになっていなければ、もとの私だと確実に詰まってしまうくらい狭いのである。エレベーターとは言うものの、水圧で押し上げるダスターシュートみたいな構造になっていて、一人しか乗れない。しげ、そそくさとその中に入り込んで横たわり、どうすりゃいいんだかとおろおろしている私を尻目に、「あんた、これの乗り方も知らないの? 遅れてるう!」と言って、水飛沫を上げながらシュイン、と軽やかな音を立てて、先に上って行ってしまった(ダスターシュートなのになぜ上に昇れるのだろうか)。 仕方なく私は横の狭くて細い鉄製の螺旋階段を、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』のしんちゃんのように、必死で昇るハメになってしまった。 7階まで昇って、体力が尽き、もうダメだ、これから先はエレベーターで行こう、とそこの階で降りた。実はちゃんとした普通の、20人くらいは軽く乗れる大きなエレベーターもあったのである(だったら最初からそのエレベーターを使えばいいじゃん)、 そこは帝国劇場のようなフロアで(つか内装はまんま帝劇で、当然舞台もあった)、森繁久彌のサインも売っていたのだが、もちろん今は引っ越しが優先されるので、そんなもんを買っているわけにはいかない。第一、今の私は身も心もハカセになっているので、モリシゲのサインなんぞ欲しくもないのである。 「遅れちゃう、遅れちゃう」と言いながら、エレベーターに乗りこもうとしたら、しげがそこから降りてきた。「あんたがあんまり遅いから、もう一回来てやったよ。さあ、あっちから昇ろう」と言って、別の場所に無理やり連れて行く。「あの、そのエレベーターで昇ればよいのでは?」とハカセ口調で反駁するが、しげは聞く耳持たない。「下りのエレベーターが昇ってくるの待つより、こっちのほうが早いよ」とむりやり私の手を引いていくのである。いつもの私ならともかく、今はハカセになっているので、私はしげに抗う力もないのだ。 と、客がやたら並んでいる行列に並ばされたのだが、それ、エレベーターに乗ろうとする行列じゃなくて、ウォータースライダーの並びだった。「これ、下に降りちゃうじゃん!」と慌てたが、時既に遅し。もう後ろにも人がたくさん並んでいて、どうにも逃げられない。しかたなく、しげと一緒にウォータースライダーに乗ったのだが、しげ、ずぶ濡れになりなから「きゃははははは」と笑って喜んでいる。要するにこいつ、遊びたかっただけなのだ。 「どうするんですか、ずぶ濡れになっちゃったじゃないですか!」とやはりハカセ口調の私がしげに文句を言うと、しげ、「だいじょーぶ。ちゃんと乾かすところあるから」と言って、また別のフロアにま連れて行く。 そこはいくつものエスカレーターが風船のようにつやつややとしたオブジェと明滅するネオンに囲まれた幻想的な空間で、しげはその一つに乗れと言うのである。私が躊躇していると、しげ、嬉しそうに「怖いの?」と問いかけてくる。もちろん、今の私はハカセなので、怖くて仕方がないのだ。しかし、このまま立ち往生しているわけにもいかない。よく見るとエスカレーターの隣にはあのダスターシュートがまたあって、しげはまたそれに乗ってサッサと昇って行きそうな気配なのである。 意を決して、エスカレーターに乗りこんだ途端、四方のオブジェがゆらゆらと揺れながら私に迫ってきた。 「イマカラ、アナタヲ、ケンエキシマス」 どこかから、無機質な機械音のアナウンスが聞こえてくる。それと同時にプシューッ!と音がして、なんだかねばねばした液体が全身に浴びせかけられる。身体を乾かすどころか、余計に濡らしているじゃないか、と思ったが、どうやらこれは消毒液らしい。なんか病気持ってたのかハカセのからだ。 ともかくそのあとようやく身体を乾かしてもらえた。そのままエスカレーターを昇っていくと温風が吹くのと同時にでっかい羽毛が迫って来て、私のからだを優しく撫でてくれたのである。ようやく頂上が見えてきて、例のネオンのコスプレのねーちゃんたちが出口付近に並んでいて、「いらっしゃいませ〜!」とニコヤカに迎えてくれる。 やれやれ、これでやっと降りられる、とホッとしていると、ねーちゃんの一人が突然、「はい、見事にカップル成立でーす!」と言って、手に持った鐘をガランガランと打ち鳴らした。 「え?」と思う間もなく、私の(ハカセの)からだはポン、と投げ出されて、ベッドだかイスだかよくわかんない、プラスチックの器のようなものの中に放り込まれた。ハッと気付くと、隣には禿げた中年のオヤジがニヤニヤしながらこっちを見つめているのである(男子禁制じゃなかったのかよ)。どこかで見た顔だ、と思ったら作家の田中芳樹にそっくりなのだ。 「かかかか、かっぷるせいりつって、どどどど、どういうことですか?!」と目をシロクロさせている私にお構いなく、田中芳樹もどきは私に熱い視線を向けてくる。いや、今確かに私はハカセの身体の中に入っているからオンナになっているのだけれども、心はやはり私でオトコなのであって、カップルなんぞとんでもないのであって、と言いたいのだが、身体が震えて声も出ない。回りのねーちゃんは、「どうしたんですか? ここは“そういうところ”なんですよ?」と私を責め立てる。ふと向こうを見ると、しげもやはり中年のオヤジに迫られてるんだけれど、それがなんかいい雰囲気になっていて、まんざらでもない顔をしているのである。 アンニャロメと思った瞬間、ようやく身体が動いて、私は外に飛び出した。よく見るとそこは野球ドームで、あちこちに出口がある。引っ越しの手伝いはどこへやら、私はほうほうの体で、そこから逃げ出したのであった。
この夢には続きがあって、実はこの場所、よしひとさんの引っ越し先でもなんでもないのであった。道理でよしひとさんの姿が見えなかったわけである(それ以前に、アミューズメントパークに引っ越しするわけがない)。 翌日、今度はホントによしひとさんの引っ越し先にしげと出かけていったのだが(夢のフシギなところで、しげがあの後中年オヤジとどうなったかについては、私は全然気にしていない)、そこはまだ骨組みだけで、まだ家自体、建ってはいなかった。ジャングルジムのような鉄骨の横の敷地では、水道がまだ完備されていないのか、地面から水が幾筋も噴水のように吹き出ている。 そのへんの石に座って鼻歌なんぞ歌っていたよしひと嬢を見つけて、私は昨日のいきさつを逐一語って聞かせた。「ふーん、そんなおもしろいことがあったんだ」と、よしひと嬢はまるで他人事である。 おもむろによしひと嬢がつぶやいた。 「で、あなたはけいちんさんなの? ハカセなの? どっち?」 私はハッと気付いた。私は未だにハカセの身体の中にいたのだ。 「どっちって……。どっちなんでしょう?」 私にも私が私なのかハカセなのか分からなくなっていた。ふと、背後に気配を感じて後ろを振り向くと、ジャングルジムの上に、誰かが座っている。確かに知っている顔なのだが、誰だか分からない。鴉丸嬢でもなければカトウ君でもない。男か女かすら、判然としないのである。 “誰か”は、ホースを持っていた。怒っているような、無表情のような、どっちともつかない顔で、ホースの口を私に向ける。水流がほとばしり、私を打った。 「やめて、やめて」 水流は止まらない。私の全身が滝に包まれた。しげもよしひと嬢も、にやにやと笑うばかりで私を助けてはくれない。バチがあたったのだ、という顔つきで、私を嘲笑っているのだ。 ばち? 何のばちか? ハカセのからだを乗っ取ってしまったこと? でもそれは、そもそもしげのやらかしたことじゃないか! しかしその私の反論はしげには届かなかった。私の身体は水流の中で、とうの昔に消え去ってしまっていたからである。
そこでようやく目覚めた。 夢はたいてい見た直後に忘れちゃうのだが、これは知った顔がたくさん出たせいもあったのか、珍しくも鮮明に覚えていた。 オチはなんだかホラーっぽくなってしまったが、目が覚めてふと気になったのは私の魂がハカセの身体に入っていた間、ハカセの魂はどこに行っていたのか、ということである。それを想像すると、ハカセが気の毒でならない。つか、シツレイ千万な夢見るよなあ、オレも。
全体集合の練習日ではないのだけれども、朝からカラダの空いてる者を集めての公演の練習。 香椎のジャスコの屋上駐車場で、加藤くん、細川嬢、よしひと嬢と合流。人がいないのはいいけれど、風は強いわ雨はときおりパラつくわでめっちゃ寒い。初めは外で演技してもらって様子を見るつもりだったのだけれど、しげも加藤くんも「たまらんごつなって」(^o^)、車の中に避難、本読み中心の練習になった。 しげの「セリフが上ずる」クセはかなり治ってはきているのだけど、それでもまだ喋りが「普通の人」っぽくない。こないだの練習の日に見学者の方が来られたとき、しげはずいぶん恐縮して、たどたどしく控え目に喋っていたのだが、例えばあんな感じで演技をしてくれればいいのである。それが興奮するとヤンキー口調になったり広島ヤクザ風になったりするので、かなり細かく修正を入れてかねばならないのである。一つカンを掴んでくれれば、かなりいい線まで行くとは思うのだが。 細川嬢は、かなり詳しく照明プランを立てて来てくれていた。会場のアクロスに提出する見取り図のほかに、脚本に合わせた各画面ごとの照明設定図を十数枚、照明の位置から色合いから考案して描いて来てくれていたのである。脚本段階ではとてもそこまで計算に入れてはいられなかったので(つか、色弱で色彩感覚がないので、設定のしようがないのである)、実にありがたい。 演劇関係者でも、こういう一見地味に思える裏方の仕事をいやがる人もいたりするのだが、細川嬢、「いえ、おもしろいです」と言ってくれる。なんだか今回の公演はホントにいい子が集まってるなあ。 細川嬢は午前中で引き上げて、あとは3時ごろまで練習と打ち合わせ。 加藤くんは、先日脚本を改訂して付け足した部分の覚えがまだまだ。「明後日までに覚えといてね♪」とダメ出しする。 加藤くんは、先日、見学者の方に誉められた途端に演技の固さがひょいと取れたので、どうやら誉められて伸びるタイプのようだ。ところが私は、男は滅多に誉めない(なんか男が男を誉めるのに抵抗あるのよ)。加藤くんにしてみれば相性の悪い演出家、というより、努力の芽を摘むよくない演出家ということになろう。そのことは申し訳ないと思っているので、あまりキツイことは言わないように気をつけようと心に決めちゃいたのだが、つい口が滑ってしまうのである。でもよしひと嬢の寸鉄ヒトを刺すヒトコトには敵わないからなあ(^o^)。
帰宅した途端にしげは爆睡。今日もよしひと嬢から「しげさんって、けいちんさんの日記読むといつも寝てるみたいなんだけど」と言われていたが、ホントに寝てばかりいるのである。でもお握り作ってやって、「食うか?」と声をかけると、そのときだけ起きて食って、また寝るのである。これで家事なんぞできるわけないわなあ(T∇T)。
ディズニーがアニメーションの老舗としての意地をかけて日本のテレビアニメに対抗すべく送り出したという専らの噂の『キム・ポッシブル』をディズニーチャンネルでようやく見る。 女子高生が正義のヒーローとしてマッド・サイエンティストの魔の手から平和を守る、という設定はありふれているけれど、これまでのディズニー制作のテレビシリーズ、例えば『リトル・マーメイド』だの『アラジン』だのと言った、毒にも薬にもならないような作品に比べると、かなり『バットマン』風というか『パワーパフガールズ』風な味付けがしてあって、なかなか「見られる」。キャラクターの絵柄もそれほどアメコミアメコミしてないので、拒否反応は起こらない。 今回のエピソードは、キムの親友、マヌケなロンが、ある発明のおかげで数学の天才少年になってしまって大騒動(実はホントに天才になってたのはペットのモグラのルーファス)、というお話。なんか『アルジャーノンに花束を』っぽいけれども、オチがちょっとひねってある。ディズニーがこういう“おちょくり”をするのは珍しい。なりふり構ってられないのかな(^o^)。主役のキムより、マッド・サイエンティストの助手のね〜ちゃんがせくしいでなかなかいいから、これから時々チェックしてみようと思う。DVDは3話収録の単品が1巻のみ発売中とか。 その後引き続きディズニーチャンネルで『メリー・ポピンズ』を再見。これ見たおかげで、「ディズニーはアニメより実写の方が出来がいい」と認識した記念の一本だけど、うっかり録画し損ねた。これもそのうちDVDを手に入れたい一本。
マンガ、大場つぐみ原作・小畑健漫画『DEATH NOTE(デスノート)』4巻。 第2のキラ・ミサの登場で、ライトとLの推理合戦がまた更に複雑化し、陳腐な表現ではあるけれども、まさに「息をも吐かせぬ展開」と形容するしかないくらいにハラハラドキドキの連続となった第4巻。短絡的に殺人を繰り返してきたライトが、ここにきて最も抹殺したいLとミサを殺せない、という皮肉な演出を作者が仕掛けてきたのが実に小気味いい。アタマが切れるが故にLはキラの魔の手から逃れ得ている反面、ミサは“愛”という名の愚かさに捕らわれているが故に“守られる”結果となった。こういう両極端な形での「絆」もあり得るのが人間界の不思議かつ面白いところ。 これだけ“濃い”マンガを読まされると、薄っぺらな「絆」しか描けていない最近の『ワンピース』とか、つまんなくて読めなくなっちゃうのである。……ああ、このマンガ、ホントに『“裏”ワンピース』になってるんだなあ。
マンガ、明日賀じゅん『ティム・バートン ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』。 ミュージカルシーンを絵にするのはかなり難しかったと思うし、決して成功しているとも言えないのだが、実に誠実に映画をコミカライズしようとしている姿勢は好感が持てる。けれど、正直、映画の面白さには遠く及ばない。 ティム・バートンの毒々しいイラストのまま、マンガに移し変えるのは日本の読者には拒絶反応があるだろうという判断での少女マンガ家さんの起用なのだろうけれど、それは結局バートンの“味”を殺すことになる。線は確かにキレイだけれど、マンガは映画と筋が同じだけの別モノなのだ。表紙のイラストは映画のポスターのものがそのまま使われていて本編の絵柄とは全然違うので、御注意。
2002年11月03日(日) 妻にはナイショ(^_^;)/映画『OUT』/『プリティフェイス』1巻(叶恭弘)ほか 2001年11月03日(土) 10000HIT!o(^▽^)o /映画『エボリューション』/『電脳なをさん4』(唐沢なをき)ほか 2000年11月03日(金) 文化の日スペシャル/映画『マン・オン・ザ・ムーン』ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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