無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年08月19日(木) 香水は12年で熟成するか。……危険だってば。

 夕べから台風が上陸、朝は超突風。
 しげは鴉丸嬢のところで芝居の打ち合わせをしてたので、車で送ってもらえなかった。こういう時こそ役に立ってほしいのにのに。
 外に出た途端に風に吹き飛ばされて、車道にまで転げ出る。車が来てたら撥ねられてるところだった。いや、マジで命からがら。なんとかタクシーを捕まえて出勤したけど、運ちゃんも「今日は車が“浮く”なあ」と言っていた。こういう日は欠勤したいけど、そうも行かないのである。
 道路の方向版が風でぐるんぐるん回ってて、切れて飛んできゃしないかと気になって仕方なかった。


 トンガリさんは今日も欠勤で、平穏な一日。このままずっと出て来ないでくれると助かるんだけど、そうも行かないんだろうなあ。
 台風は昼を過ぎたころには九州を通りすぎる。今度のやつはスピードが速かったおかげで、電車の遅滞くらいで被害はすんだようである。でも、例年の状況から言えば、まだあと二つ、三つはデカイのが来るんだろなあ。子供のころは台風も楽しかったが、実家が水没したり、車がおシャカになったり、そんな経験をするともうゴメンだって気にしかならん。

 帰りはしげに迎えに来てもらって、食事は庄屋で。しげはステーキ丼に豚の角煮、私は冷やしうどん定食とミニトロロ丼。ミニと言いながら出て来たものを見ると軽く茶碗一杯分はあったので、食いすぎにならんように定食のエビ天をしげにやる。しげはまた、「いいと? いいと? ほんとにもらっていいと?」と鬱陶しいくらい念を押すが、これくらい貧乏性が抜けないのも心の病気だと思う。一文無しの貧乏は全く罪悪だ。
 ゲーセンに寄って、UFOキャッチャーで香水をゲット。しげ、「これで香水が二つに増えた」と喜んでいるが、その一つ目の香水というのは、私が結婚直後、“12年前に”買ってやったものである。「腐ってるから捨てろ」と言うのに、「使うのもったいないから」と言って、12年かけてチビチビと使っているのである。新しいの手に入れたんだから、前のは捨てろよ。そして今度のも“12年”かけて使わないように。


 帰宅して、掲示板を見ると、ヨナさんが「ご当地の踏み絵」というサイトを紹介してくれている。面白いので福岡県のをチェックしていると、しげが、「また博多自慢?」とウンザリした顔で文句をつけてきた。しげは私がしょっちゅう「博多はねえ」と言ってるのにムカツイているのである。別に威張ってるわけじゃなくて、自分とこの文化的な背景を説明してるだけなんだけどな。お国自慢とはチト違うのである。
 「お前はどうなんだよ、広島広島って威張ってないのかよ」と言い返したら、「当たり前やん、岡山とかと一緒にされたくない」というので、しげにもこの「踏み絵」をさせてみた。生まれは広島でも、しげは引っ越してあっちこっち移動してるので、「知らない」「分からない」という答えも多いのだが、答えるところはハッキリし過ぎてるくらいにぴしゃっと書いてるので、私よりよっぽどストレートに他県を差別してるのである。
 「山口は好きだが岡山はあまり好きではない」に対して「山口は九州。岡山は敵」とか、「中国・四国地方の中心であるという自負がある」に「なに当たり前のことを…」とか、「広島県人のくせに巨人に入団した二岡が許せない。当然、川口と江藤は嫌い」に「当然だ」とか、殆どヒトコトで切って捨ててるのである。なんか取りつくシマもないってのはこういうことだね。反論許さないっていうか。
 でも、山口は九州も要らないから、中国に返すよ(^o^)。


 今日読んだ本。
 戯曲、山元清多『心中天の網島』。
 マンガ、高橋しん『きみのカケラ』3巻。
 西森博之『道士郎でござる』1巻。


 映画、芸能界関係のニュースがなんだか腐るほど多い。ダラダラ書いても読みにくそうなので、ズラッと箇条書きで。

◎ 『十戒』『荒野の七人』『大脱走』などの映画音楽の作曲家、エルマー・バーンスタインが18日に死去、享年82。
 死因が不明、というのが気になる。私の世代にはハリウッド映画の音楽はもうこの人、というイメージだけれども、60年代の味わいを21世紀まで持続させてきたエネルギーは凄かったよなあと思う。映画黄金時代の音楽はこれで途絶えたと言ってもいい。

◎ 鈴木清順監督『オペレッタ狸御殿』にCGで再現された美空ひばりが出演し、新曲『霊峰・快羅須山のララバイ』を披露する。
 出来の悪いものにしかならんと分かってて、なぜそんな馬鹿なことするかなあ。美空ひばりを心底馬鹿にしてなければできない暴挙だ。これが鈴木清順以外の監督がやるんだったら激怒するところだけれど、あの人、昔から狂ってるから、これは怒るに怒れないんである。

◎ 香取慎吾主演の『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』とのタイアップで、「キリン 伊賀忍茶」が今月24日から全国で発売。
 この脱力のネーミングがいいなあ。

◎ 『キューティハニー』の倖田來未が映画『80デイズ』(『80日間世界一周』のリメイク)の主題歌「イッツ・ア・スモール・ワールド」を歌うことになった。
 ……と聞いてびっくりしたんだけど、日本語版主題歌だけだって。スポーツ紙じゃ、随分大きく扱ってたけど、そんなに凄いニュースかあ? 海外進出したわけでもないのに。

◎ ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、19日、景品として配布したクマの縫いぐるみから、長さ6・75センチの縫い針が見つかったため、計8万7798個を全品回収することにした。
 なんだかホントにトラブルばっかりだな、USJ。大坂の呪いか何かが罹ってんじゃないかなあ。御払いしてもらった方がいいんじゃないかって思うぞ、マジで。5年先、潰れてないかなあ。福岡くんだりまでキャンペーンに来るヒマがあったら、態勢立て直しなよ。

◎ ニューズウィーク・コムの調査による、この夏の最悪映画ベスト5が発表。
 1.「キャットウーマン」
 2.「華氏911」
 3. "White Chicks"
 4.「リディック」
 5.「ヴァン・ヘルシング」
 どれも見たいヤツなんだけどなあ。スノッブなニューズウィークの発表だから、あまりアテにはならんけどね。でも、M.ナイト・シャマラン監督の『ヴィレッジ』が入ってないのはなぜ? 盗作疑惑なんかもあったのに。

◎ イギリスの数学者らがホラー映画の完璧度を数量化する方法を考案し、様々な作品に当てはめたところ、スタンリー・キューブリック監督『シャイニング』が世界一完璧なホラー映画、という結果になった。
 全然怖くなかったけどなあ、『シャイニング』。これだけでもこの計算がアテになんないってわかっちゃうね。もっとも、私が怖いと思ったホラー映画なんて一本もないんだけど。で、こういう芸術作品の「数値化」って、百年以上前に夏目漱石が『文学論』で試みて、「芸術が数値化なんてできるか! やるだけムダだった」と結論付けてんだよね。人間の心はコンピュータとはちゃうってば。

◎ 『ハムナプトラ』『ヴァン・ヘルシング』のスティーヴン・ソマーズ監督が、ボアロー&ナルスジャックの『犠牲者たち』の映画化権を獲得。
 『悪魔のような女』を越えられるか? という興味も、大味映画のソマーズ監督じゃ、あまり期待はできないな。M.ナイト・シャマランみたいに単に「意表を突くだけ」にならなきゃいいけどねえ。

◎ ネプチューンが司会の貧乏救済番組、『銭形金太郎』のゴールデンタイム昇格が決定。
 出演者にとっては、ゴールデンタイムの方が顔を売れるから嬉しいかも知れないけれど、番組自体はつまんなくなんないかな。深夜番組が昇格して面白くなった例ってあまりないし。この『銭金』、うちの劇団にも出演者のオファーがあったんだけど、確かに貧乏なヤツいるけど、「笑える貧乏」じゃないからねえ。ただ貧乏ってだけじゃ、なかなか選抜してはもらえないと思うのである。

 ……などでありました。

2003年08月19日(火) 懸賞つき日記(^o^)/『イリヤッド 入矢堂見聞録』3巻(東周斎雅楽・魚戸おさむ)
2002年08月19日(月) 偽善者の宴/『探偵学園Q』6巻(天樹征丸・さとうふみや)/『虹の子』(石ノ森章太郎)ほか
2001年08月19日(日) 毛が三本/『ふざけるな専業主婦』(石原里紗)ほか
2000年08月19日(土) 今日、彼氏彼女は相々傘であった/『占い師はお昼寝中』(倉知淳)ほか



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