無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年08月13日(金) 博多人のワルクチ

 カメを飼い始めてから、ネットで「カメの飼い方」を紹介しているサイトなんかも回るようになってしまったのだが(全く、ネットさまさまだ)、どこのサイトでも最重要事項として書いてあるのが、「カメを捨てないで下さい」……。
 父に聞いた話だが、御笠川にも捨てられたミドリガメがウヨウヨいるらしい。カメが好きで飼い始めたはいいものの、持て余して捨てる糞野郎が後を絶たないのだろう。もちろんそのせいでもともとの生態系も崩れてしまう。「命の大切さを教えるために、動物を飼うことも大切」とかほざいてる馬鹿親もいるが、そりゃ最後まで面倒を見る覚悟があってこその言葉だ。たいていの動物はすぐに病気になる。その途端に「命の大切さ」はどこへやら、病院にかけるとカネがかかるとばかりに放置し、死なせたりする例がどれだけあることか。
 母は生前、犬を飼っていたが、年を取って(たしか18歳か19歳くらいだったと思う)病気になって死ぬまでの間、何度も動物病院に連れて行き、湯水のようにおカネを使った。全部私の給料から出してたんだけど(⌒―⌒メ) ……いや、頼まれたら断れねえし。
 でもまあ、その程度のことはするのが普通である。ペットショップやホームセンターに通うようになって、動物を飼いに来る客を見てると、見るからにバカヅラしたガキが、さらに輪をかけたようなバカオヤと「カメ飼ってよう、飼って飼って飼って」「うるせえな、ちゃんと世話するか?」「するよう、するするする」「しなかったら捨てるけどいいか?」「いいよう、捨てても」とか会話してるのを聞くと、オマエらを簀巻きにして川に捨てたろか、という気になってしまう。……頼むから、最初から捨てること前提で動物飼うのはやめてくれ(T.T)。
 なんだかねえ、「かわいいから」だけで飼って飽きたから捨てるっていうんなら、椎名高志さんのマンガにあったように、「人間のしもべ、哀れで惨めな犬っころ」と名前をつけて飼い続ける方がよっぽどマシだと思うのである。
 しげは、「愛人二人と一緒に暮らしてるみたいなもんじゃん」と文句を付けるが、愛人がカメに勝てるか!
 盆休みの間は毎日、玄武と竜宮を洗面器に移し換えてベランダに出し、30分ほど日向ぼっこをさせているのだが(紫外線を浴びることでビタミンD3を体内で作り出し、甲羅を丈夫にする働きがあるのだそうな)、盆が明けると週に一度しかこれが出来なくなるのが現在の悩みである。


 夕方、父としげと寺を回って、そのあと父のマンションで迎え火。
 しげはこないだ買った浴衣を着ていったのだが、父はかわいいねとも見違えたねとも言わない。博多の人間は身内を一切誉めないものだが(それどころか貶しまくるし、誉める人間はウソツキ扱いされる)、もちろんそれは愛情がないからではない。極端な照れ屋であるか、見え透いたお世辞が大っ嫌いなのだと思って頂きたいが、あまりに悪し様に言うものだから(ゴクツブシとかバカアホマヌケは日常語である)、この人は本気で自分のムスコやヨメのことを嫌っているのだろうか、と他地方の人に錯覚されることもしばしばなのである。でも私に言わせれば、ヨソから博多に来ておきながら、その土地の風俗に文句をつける方がどうかしている。関西に行って、「どうしてコイツら関西弁ばかり喋ってるんだ」と文句つけるようなものだ。
 母は生前、父のことをもう人間のクズのように言っていた。私も「人間がイヤラシい」とか「女の腐ったの」とか「××××」とか、散々聞かされたものである。父もまた母のことを「所詮女はバカ」とか「ヒステリー」とか「××××」とか、フェミニストが聞いたら激怒するようなことを平気で喋っていた。夫婦喧嘩も日常茶飯事である。喧嘩の原因には、父の浮気もあったようだ。
 お互いの話を聞いていた人は、二人の言葉をマに受けて、この夫婦は仲が悪いのだ、と思いこんでいた人も結構いた。いつかリコンするんじゃないか、と思っていた人もいたようである。私も子供のころ、母に「そんなにイヤなら別れたら? ボクは気にせんよ」と水を向けてみたことがある。母の返事は「(別れると)商売に差し支えるからせんよ」というものであった。見栄だけでつらい夫婦関係を続けて行くこともなかろうに、と私は母の思考が理解できなかったが、今思えば、それも母の「照れ」であったのだ。
 父の浮気に腹を立てていなかったわけではない。「いやらしい」とか、悪口も全部本音だろう。母は、ウソはしょっちゅうついていたが、姑息なウソは大嫌いだった。けれど、夫婦の仲はそれだけで左右されるものではない。今日、父がしみじみと呟いていたのは、「お母さんは、『別れるくらいなら最初から結婚せん』って言いよったなあ」ということである。ケンカしていながら、最後はそのセリフで終わるのである。私にとっては、両親のような夫婦関係の方が、「サザエさん」的な夫婦より、よっぽど“普通の”夫婦らしい。
 頼むから、佐賀とか大分とか長崎とか熊本とか宮崎とか鹿児島とか、そういうド田舎から来といて博多人気質に文句つけるような野暮なことはやめてほしいのである。いや、福岡でも博多以外は全部田舎なんだけどね。……じゃあ、博多人が博多のことを都会だと思ってるかと言うと、全然そうは思っていないのである。なんだそんなの意味不明じゃないか、と文句つける人は永久に博多人の機微はわかんないから博多に来るな。

 株券を売却するために、母の戸籍を取り寄せてみて判明したことであるが、母方のヒイヒイ爺さんの名前、「亀太郎」であった。わあ、まさか自分の先祖の名前をペットに付けていたとは(付けたのはしげだけど)。明治の初めか江戸のころの人だろうが、当然「デバガメ」事件よりは以前の生まれであろう。そうでなきゃ、ちょっと外聞の悪い名前だものなあ。もっとも、ムカシの人はそんな「名前が同じだから世間体が悪い」とか、特に気にしない人も多かったかもしれないが。世間サマを気にするような「中流以上の家庭」が増えていくのは、やはり戦後の風俗なのである。
 デバガメの語源(池田亀太郎という明治期の覗き魔の仇名)が世間から忘れられていったのも恐らくは戦後以降のことだろうが、「亀太郎」という名前が流行らなくなったのは、別に「デバガメ」を連想するからではなくて、単に動物の名前を流用すること習慣自体がなくなっていったためだろう。……ムカシは女の人でも「おクマさん」とか「おトラさん」とかいたのにねえ。

 父のマンションの近くのウェスタンの店で食事。
 しげは生ビールをジョッキで二杯、飲み干してしまったので、酒が抜けるまで運転できず。父のマンションで、しばらく夕涼みして帰る。その間、父は焼酎を飲みっぱなし。糖尿はどうなった(~_~;)。
 こないだまでは、8月いっぱいで仕事を引退すると言っていた父、姉のことが心配なのでやっぱりもう少し働く、と言い出す。もうちょっとだけ続くんじゃって言って20巻以上続いたマンガみたいだなあ(^_^;)。
 まあ、働けるのなら働けるだけ働いたらいいとは思うが、やめるのやめないので姉のほうが振り回されてやしないかと思うと、そちらのほうが心配なのである。


 今日読んだ本。
 マンガ、西原理恵子『サイバラ茸』3巻。


 いま、最もつまらないミステリーマンガの一つ、金成陽三郎原作、山口譲司作画の『ミステリー民俗学者 八雲樹』が、10月15日からテレビ朝日系金曜ナイトドラマ枠(金曜・午後11時15分)でテレビドラマ化。テレビ局って、ホントに企画力ないのな、とゲンナリしてしまうが、主役を聞いてまた頭を抱えた。なんとあの及川“ミッチー”光博である。連続ドラマの主演は初めてだとか。
 しげは「王子さま」のころからミッチーのファンである。「王子さま」と言われれば、「カレー」か「ミッチー」を連想する、というくらいの熱の入れようで、間違っても、テニスのうんたらかんたらではない。
 しかし、ついこないだ、しげに「もう『八雲』はつまんないというより、『マンガとしていかがなものか』と思うからから買うまいよ」と言われて、私も観念したところであった。それがまあなんという皮肉、これではマンガも帯がつくから買わねばならないではないか。いや、私は困ってないけど、しげは困るかなあ、と思って、「及川光博、『八雲』に出るけど、録画する?」と聞いてみた。即答で「うん」。
 「マンガは続き買う?」「うん」
 ……あれだけ嫌ってたのにこの豹変ぶりはなんだ。そんなにミッチーがいいか。私の亀好きを非難できた義理ではないだろう。でも、マンガならともかく、テレビであの既成の小説のトリックパクリまくりのドラマやるのって問題ないのかなあ。ファンの指摘が激しくなるだけど……と思ったけど、これまでにもやっぱりパクリまくりの『ケイゾク』や『トリック』が成立してるから、まあいいいのかもね。
 及川光博はもうすぐ公開される『IZO』(三池崇史監督の、岡田以蔵が現代に転生して悪を切りまくるという、まあなんちゅうか……ってな映画)にも出演するらしいけど、これも見に行くことになるんかねえ。

2003年08月13日(水) でもちょっとだけ長く書きました。/『雨天順延 テレビ消灯時間5』(ナンシー関)
2002年08月13日(火) オタクの血/『アンダンテ』2・3巻(小花美穂)/『魔王ダンテ 神略編』1巻(永井豪)
2001年08月13日(月) 代打日記
2000年08月13日(日) 盆がはよ来りゃはよ戻る/『明治快女伝』(森まゆみ)



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