無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年09月27日(土) のべつ差別/アニメ『妖獣都市』/『仮面ライダーSPIRITS』5巻(石ノ森章太郎・村枝賢一)

 昨26日、民主党の小沢一郎氏が、京都市で開かれたパーティーの挨拶で、小泉首相の自民党総裁再選を批判して、「日本人は(世界から)特殊学級扱いされている。ばかじゃないか」と発言したとか。
 詳しい経緯としては、小沢氏がまず、自民党橋本派の青木幹雄氏らが首相を支持したことについて、「看板政策の郵政民営化の法案が出てきたらぶっつぶす、と言っている人が『小泉支持』を打ち出すという、ばかげたことがまかり通っている」と批判した上で、「心配なのはそれを許している日本社会。ほかの国でこんなことは通用しない」として「特殊学級」発言となったということである。更に畳み掛けるように「特殊人間扱いされている」「本当にそうですよ」とも述べたんだと。
 記事は「障害児教育への偏見を助長する発言とも受け取れ、批判を招きそうだ」とあるが、こういうのを批判しなきゃいけないわけよ。これ、「言葉遣いが悪い」ってんじゃなくて、「特殊学級」を「差別されて当然のもの」って認識してるってことなんだから。決してこの場合の糾弾は「言葉狩り」にはならない。
 いやね、どうせまた、「そういうつもりはなかった」とか適当な言い訳をするんだろうとは思う。そりゃ、確かに「『つまはじき』という意味での比喩として適切ではない」という意味での言い訳は成り立ちはする。けれども、それで本人に「差別意識がなかった」ということにはならないんだから、誤魔化されちゃいけない。
 政治家としての力量をこの「失言」だけで測ろうなんてことは思っちゃいないが、「そういう失言はしなさそうに見える」小沢さんからこの手の発言が出たという事実は、結構重要だと思うのである。やっぱ政治家って、殆どが田舎おやじ(←これは差別語ではなくて批判をこめた悪口ね)の集団だってことがあからさまになったってことでね。


 なんかまあ、いろいろあちこちで囁かれてたようだけれど、マンガ家の西原理恵子さんとカメラマンの鴨志田穣さんが離婚されてしまったようである。
 マンガの中でギャグっぽく「リコン」をほのめかしてたことはあったけれど、これが現実になっちゃうと、シャレですまなくなっちゃったのかな、と淋しくなる。

 昔ながらの日本人のムラ意識がそうさせるのか、日本人は特に他人の冠婚葬祭についても何やかやと言いたい傾向があるようだ。ネットをちょっと散策してみたが、西原さんの離婚についても、同情から揶揄まで、様々な感想が書きこまれている。ヒトのことだからほっとけば、という気もするが(それを言い出しゃ、この日記も余計なこと書き連ねてるんだが)、西原さんが読んでないことがわかってるにも関わらず、「お節介」な道学者めいた説教を書く人間も結構いるのである。赤の他人が自分の勝手なイメージを相手に押しつけて、喜んだり泣いたり怒ったりするのだから、いったんそういうのを意識し始めれば。たまったものではあるまい。「有名税」と言ってしまえばそれまでだが、私的に結婚・離婚一つするにしても、「世間の眼」というヤツを気にしなきゃならないのはツライところであろう。
 テレビで芸能人の離婚記者会見が報道されることがあるが、昔はたいてい涙・涙の愁嘆場となるのが常であった。ところが最近は意外に「せいせいした」って感じの夫婦や、「ちょっと結婚してみただけだから別れるのもフツー」みたいな感じでニコヤカに離婚する夫婦もたまにいる。実家が床屋なもんで、そんな様子を見ながら、悪態ついてるお客さんとかも見かけるんだが、これがもう、本気で怒ってたりするのである。
 「離婚するってのに、なんであんなにサバサバしてるんだ」。
 そんなの当人同士の勝手やん、と心の中で思いながら、こちらもその様子を見ながら苦笑してしまうのだが、なんかもうこと結婚・離婚に関する限り、「ヒトゴトにできない」人ってのは多いのだね。実は私もそういうお節介な人間なんで、つい西原さんの離婚に関しても勝手に胸を痛めてしまうのである。

 西原さんのマンガは、たとえそれがギャグマンガであろうと、この人の体験してきた苦労って、並大抵のもんじゃないな、と感じさせるものがあった。こういう人には幸せになってもらいたいと、つい願ってしまうのだが、無情なことに現実ってのは、不幸な人間はずっと不幸のまま、というパターンが多い。
 マジメな人間、苦労人ほど不幸になるというのは、そこにすがり付いてくる人間が増えるからである。この人なら苦労は人一倍してるから、きっと心の痛みも分るだろうとか、優しくしてもらえるだろうとか、甘えたい人間が群がってくる。でもって、すがりつかれたほうが実際に優しくしてあげるもんだから、それ見たハイエナが次から次に来るのよ(T.T)。なんかねえ、麻雀で負けつづける西原さんのマンガ見てたときもねえ、みんないい人そうに西原さん描いてるけど(悪逆非道に描かれていても、マンガ表現になった時点で「いい人」にしか見えなくなるものだ)、こいつらただの寄生虫じゃん、とか思っていた。鴨志田さんがそうだったと思いたくはないが、明確に否定できるものでもない。引き受け過ぎて、もう疲れちゃったんだろう。
 そういう西原さんに対しても、ファンは「マンガ家」としての西原さんのイメージを求める。ここで西原さんは泣いたりはしない人だ。明るくふるまい、笑ってリコンの顛末もマンガにしちゃう人だ。そんなイメージを持ってる人は多くないか。私もそう思うし、そうあってほしいともつい思ってしまう。
 でも、西原さんの心の内なんて、ホントに分るはずもないことだ。たとえ西原さんのことを「思いやる」書きこみであっても、それが読者の勝手な「期待」である以上は、ただの「思いこみ」に過ぎない。西原さんにとってはかえって迷惑なことであろう。けれども、その迷惑に晒されずにいられるはずもないこともまた、一方の事実なのである。
 だからあえて、私は今、「西原さんのマンガが読みたい」と思う。離婚のことを書こうが書くまいが構わない。ただ、マンガが読みたい。西原さんのホームページには、「必ず帰って来ます」とメッセージが書いてある。そのことを信じたい。


 本日は休日出勤、しかも残業まであったので、帰宅は9時。
 同僚の中には連日帰宅が午前様、という方もいらっしゃるので、文句は言いたくはないけれど、ムダな仕事をカットして行かないと、本気で死人が出てもおかしくない。つか、毎年必ず過労による入院患者が出てる職場って、環境改善しようって気がハナからないってことにならんか。「休めるときに休む」ってアタリマエなことが非難されるようじゃ、仕事なんてやってられない、という気分が蔓延してくる。それでも去年までよりはちょっとは楽になったような気がするのは、一番アホだった上司がすっ飛んでったおかげかな。


 CSファミリー劇場で、マッドハウス特集、アニメ『妖獣都市』を見る。
 菊池秀行原作のモダンホラーアニメシリーズ第1作を川尻善昭監督が忠実に映像化。1987年劇場公開及びビデオ発売、ということだから、これももう17年も前のアニメなんだなあ。そんなに経つかよ(~_~;)。

 長く争ってきた、人間界と魔界。その抗争に終止符を打つべく、不可侵条約を締結しようという動きがあらわれる。その鍵となる人間界の霊能者ジュゼッペ・マイヤートを護衛する任務を与えられた“闇ガード”滝蓮三郎は、魔界から派遣された美女・麻紀絵とコンビを組む。条約締結を阻止しようと、次々に襲いかかってくる魔界の妖獣たち。そして、一瞬の油断を突かれて、マイヤートは魔界の女に取りこまれてしまう……!

 懐かしのOVAの中でも、当時は出色の完成度で、第5回日本アニメ大賞オリジナルビデオソフト最優秀作品賞を受賞している。私も一見して驚嘆したものだったが、今見ても充分ハイレベルだ。CG映像に馴れちゃった若い人でも、これならファンになれるのではないかな。
 もっとも、アニメであっても相当グロで気持ち悪いホラーですからねー、特に、虫とか蜘蛛とかがキライな人にはリアル過ぎる蜘蛛女の動きが気持ち悪いかも。
 でも、ヒロインの麻紀絵がいいのよ麻紀絵が。アニメにおけるクール・ビューティの系譜は多々あれど、従来のアニメにおいてのそれは、やはりどこか「甘さ」のあるものであった(まあ、子供向けアニメがほとんどだったから、当然なんだけど)。そこにまあ、ナニでアレもしちゃう麻紀絵が登場したものだから……。しかも更にビックリしたのが声が『一休さん』の藤田淑子さんだったことだねえ。あのシーンなんか、延々とアノ声出し続けてるんですから、当時はもう充分にオトナになってはいましたけど、ちょっと「いいのか、おい、イメージ自ら壊してないか」とか思っちゃいましたね。まあ『パタリロ!』でもやってたんだけど(^_^;)。
 ……思い出したけど、当時から若い子に「これはいいぞ見ろ見ろ!」と奨めてたなあ。確かよしひと嬢にも奨めてた記憶があるが、彼女は大の蜘蛛嫌い。知ってて言ってたような気がするから、もしかして苛めてたんだろうか(^_^;)。当時はどうもすみません。


 マンガ、石ノ森章太郎原作・村枝賢一漫画『仮面ライダーSPIRITS』5巻(講談社/マガジンZKC・580円)。
 サブタイトルに“The Legend of Masked Riders”と付いてるのにやっと気付いた。注意力ないなあ(-_-;)。「ライダーズ」とちゃんと複数になってるのが嬉しいね。
 ページをめくると、石ノ森章太郎描くゼクロスの折り込みポスターが。このころになると、ライダー関連で石森さん自身が描くカラーイラストってのも少なくなってきてるだろうから、こういう付録は貴重だと思う。
 本編のマンガについて言えば、「新しい仮面ライダー」はこういうのがいいよなあ、と思っていた一巻の頃とはかなり印象が変わってきている。中江真司のナレーションが聞こえないのは仕方ないとしても(でも目次にあらすじ付けて、名調子風に書くとかのサービスがほしかったなあ)、各キャラクターのセリフ回しがどうしても「村枝賢一風」になってるのが違和感を増してきている。
 「滝はそんなひと昔前のマンガに出てくる不良みたいな頭悪いセリフマワシはしねーよー!」とかね。
 それでも話自体が面白いから、悪いとは言えないんだけれども、どうしても『555』と比較して、“懐かしの”仮面ライダーを期待しちゃうんで、見方が辛くなってしまうんである。ニードルの反乱とか、あんな噛ませ犬の陰謀なんてポシャることは初めからわかりきってるんだから、あまり引くもんじゃないとか思っちゃうのよ。フツーのマンガだったら、この程度のありがちパターンは気にならないんだけどね。やっぱ『仮面ライダー』にも結構思い入れあるのか、私。
 「ゼクロスとしての力が衰えながらも戦う」というのも、賛否は分かれるんじゃないかと思うが、若干の疑問符を付けつつも、私はこの設定を生かして、ボロボロになりながらも戦っていくゼクロスの姿を見ていきたいと思う。仮面ライダーもまた、他の石ノ森ヒーローと同じく、悲しみを背負って戦う姿こそが美しいと思うから。
 アニメ化企画も上がってはいると、あとがきの早瀬マサトさんの文にあるが、これはやっぱり早瀬さん自身も仰ってる通り、ちょっと無理だろうね。

2002年09月27日(金) トンデモさんがいっぱい/オペレッタ『マリツァ伯爵夫人』
2001年09月27日(木) 「檸檬」って書ける?/『BLACK JACK ILLUSTRATION MUSEUM』(手塚治虫)ほか
2000年09月27日(水) とろける膵臓と行きずりの恋と膝小僧と/『おもいでエマノン』(梶尾真治)



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