無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年07月27日(日) 揺れて揺れて揺れて/『のだめカンタービレ』1・2巻/『平成よっぱらい研究所 完全版』(二ノ宮知子)ほか

 昨26日、宮城県で、17時間の間に震度6の地震が三度連続した「トリプル大地震」が発生。
 テレビ見ててもやたらピンポンピンポンと音が鳴るんで、なんで同じニュースを緊急速報でしょっちゅう鳴らすんだと訝んでたんだけど、全部別の地震だったんだね。
 同じ日に震度6以上の地震が3回起きたのは史上初だそうで、90棟以上が全半壊、負傷者は400人を超える大惨事だというのに、案外報道は大人しい。政府の動きも緩慢だけど、阪神大震災の時には対策の遅れを指摘して、厳しく糾弾したマスコミも、今回は別に突っ込み入れる様子が見られない。ボランティアの動きも全然わからんが、あまり活動してないのではないか。
 なんだかねー、阪神とか東京、東海村が地震にあったんならともかく、宮城ならいいやってことなのかねー。だとしたら地方差別も甚だしいな。
 報道ってのはそれを見た我々が、事件との距離、自分の立場をいかに取るかって判断するための材料になるんだから、逆に言えば「マスコミが視聴者にどういう態度を取ってほしがってるか」ってことも提供することになるんである。「宮城なんてどうでもいい」なんて姿勢取ってると、あとで東京に何かあったとき、どんなに慌てても「東京なんてどうでもいい」って態度取られちゃうよ。そんときゃ大阪が「次の首都は大阪だ!」と喜ぶことになるんだろうね。


 『真夜中のカーボーイ』のジョン・シュレシンジャー監督が25日に死去。死因は公表されてない。享年77。
 死因がわかんない場合、たいていは隠したい場合が多いけど、まあ『カーボーイ』見てるとどうしてもアレかなと思ってしまいますね(^_^;)。私は監督の作品は『カーボーイ』一本しか見てないし、同時代に見ないとアレは面白くないんじゃないかと思ってるんで、そんなに思い入れはない。
 でも、こういう「問題意識」が全面に出ている映画の監督ってのは不遇を託つもので、シュレジンジャー監督のフィルモグラフィー見てても、近年はタイトル見ただけでいかにもサムそうな映画ばっかり撮っていってるのが侘しい。まあ邦題の付け方がマズいだけかもしれないけど。
 つまんないことだけど、いい加減で『カーボーイ』ってタイトル、『カウボーイ』に訂正して再公開してあげないかな。これも『カウボーイ』じゃ売れねえとかわけのわからんヘリクツこねて、映画に何の愛情もない広告代理店が勝手に作ったもののような気がしてならん。
 

 水に漬かっても何とか稼動していたしげの車、前には進めるがバックはできなくなってしまった。本格的に修理に出さねばどうにもならならいもののようである。
 「保険で賄えないみたいだったら新車買おうかなあ」と軽いことを言ってくれるが、そのカネ、どこから出るんだ(T∇T)。


 CSで時代劇専門チャンネルを見ていたら、『江戸を斬る 梓右近隠密帳』を流していた。し、し、しまった、気がつくのが遅すぎた。これやってると気づいてたら1話から全部録画しときたかったのに。主役の竹脇無我はどうでもいいが(^_^;)、由井正雪を演じた成田三樹夫と、丸橋忠弥の加東大介がもう絶品なのである。
 今日放送していたのは、14話「忠長卿謀叛」と15話「笹野権三誉れの仇討ち」。キャストもこの2話に限って見ただけでも超豪華。とてもこれがテレビだとは信じられない。当時は民放でもこれだけの力があったんだなあ。

【14話】
 梓右近(竹脇無我)
 奈美・お妙の方(松坂慶子)
 小夜(榊原るみ)
 金井半兵衛(川辺久造)
 林戸右衛門(伊吹聡太朗)
 がってん竹(高橋元太郎)
 のっそり松(浅若芳太郎)
 柳生十兵衛(若林 豪)
 由井正雪(成田三樹夫)
 天海僧正(石山健二郎)
 柳生但馬守(志村 喬)
 仏の長兵衛(大坂志郎)
 駿河大納言忠長(中村敦夫)
【15話】(重複キャストは省略)
 葵小僧新助(松山英太郎)
 一心太助(松山省二)
 お艶(鮎川いづみ)
 笹尾喜内(牟田悌三)
 笹野権三郎(加藤 剛)
 八重(金井由美)
 お仲(津山登志子)
 種田五郎左衛門(今井健二)
 隈部将監(永井秀明)
 佐分利左内(原健策)
 堀尾山城守(原聖四郎)
 丸橋忠弥(加東大介)
 大久保彦左衛門(片岡千惠藏)

 再放送も久しく見ていなかったので、ああ、この人も出ていたのかと懐かしくなったのが、林戸右衛門役の伊吹聡太朗さん。この人も古い役者で、ほぼ悪役専門であったが、『隠密剣士』のころから忍者役などで活躍されている。今どうされているかとネット検索して見たら、1998年に亡くなられていた。そんなにお年を召されているようには見えなかったけれど、おいくつだったのだろうか。『江戸を斬る』では、由井正雪の片腕の一人で最も危険な剣士を、その狼のような風貌で演じられていた。
 14話のゲスト、中村敦夫の演じた駿河大納言忠長は、菊池寛の『忠直卿行状記』で有名。テレビでは由井正雪と組んで謀反を企み、松坂慶子の奈美に諌められて思い留まるように描かれているが、もちろんこれは史実ではない。実際の忠直卿は行いを改めるどころか、その残忍な乱行が幕府に咎められ、改易されている。何だかいかにもテレビ的な改変の仕方で、ちょっと残念であるが、一回きりのゲスト出演だから、これもやむを得ない。
 15話の加藤剛演じる笹野権三郎はいわゆる「鑓の権三」だが、近松の浄瑠璃では女敵討ちに合う権三が、こちらでは敵討ちの助っ人になっている。こちらは講談に取材しているので、郷ひろみが演じた映画『鑓の権三』と見比べると、イメージが正反対なのでそのギャップに苦しむことになる(^o^)。
 どちらのエピソードもムリヤリ慶安事件にリンクさせてるので、脚本としては
ちょっと苦しいのだが、書いたのが「葉村彰子」なので、いったい誰だかわからない。知ってる人も多いと思うが、この名前の人物は実在しない。松下電器のプロデューサーであった逸見稔(へんみみのる)氏が、番組制作のために結成した企画集団SHPに参加した、松木ひろし・向田邦子・窪田篤人・津田幸於・大西信行・櫻井康裕・田口耕三・柴英三郎の連名ペンネームである。後には加藤泰・山内鉄也・岡田裕介も名を連ねたというから、こうなると誰がどの脚本を書いたのか全くわからない。
 ついでだけれど、あの大林宣彦監督の映画版『ねらわれた“私は宇宙だ!!”学園』も脚本は葉村彰子名義。だからいったい誰なんだよう。


 マンガ、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』1・2巻(講談社/KCキス・各410円)。
 「のだめ」ってのは本作のヒロイン「野田恵(のだめぐみ)」のこと。
 昔、『あずきちゃん』ってマンガに出てくる「ジダマ」って女の子の本名が分らず、ムチャクチャ気になってたんだけど、あの子にはどうやら本名はなかったらしい。「のだめ」の場合はそんな心配をする必要はなかったが、普通。こういう仇名をつけられる子に知的な美少女とか可憐なたおやめとかはいない(^o^)。実際、のだめも「一風」変わっている。
 桃ヶ丘音楽学園大学のピアノ科一年生、どうやら天才的な音感を持ってはいるらしいのだけれど、生活能力はゼロ以下。住んでるマンションの部屋はゴミタメと化し(「野溜め」だな)、コバエが飛び交う不潔さ。フロには一日置き、シャンプーは五日置きで、腹が減ると人の弁当でも勝手に取って食う。でもってしょっちゅうハナだのヨダレなど垂らして泣く。……端から見てりゃ面白いかもしれないが、実際にこんなヤツがいたらすげえ迷惑な感じだ。でも、まんまソックリなヤツがすぐ側にいるような気がするよ(T∇T)。実際、のだめにもモデルがいるらしいが(福岡人らしい)。
 本能のままに生きてるようなこいつになぜか関わることになってしまったのが、やはり天才的な才能の持ち主で、渡欧して指揮者になることを夢見ていながら飛行機恐怖症のために望み叶わず、鬱屈した生活を送っていた千秋真一センパイ。のだめに振り回されながらも、二人の才能は打てば響くがごとく、互いに呼応しあって花開いていく……のかな?(^_^;)
 作者のクラシック好きと言うか、ベートーベン好きが高じて書き始められたらしいこのマンガ、もちろんその音はマンガから聞こえては来ないのだけれど、のだめがもうのだめだから(^o^)、彼女の弾く「楽譜見ないからデタラメだけど間違ってなくてすごくうまい」ピアノってのがどんな曲なのか、空想が広がって思わずマンガに引き込まれる。
 千秋センパイもこういう珍獣がほっとけなくて、ついつい世話してしまうのだろう。その気持ちなんか分るぞ。
 音楽家、ミュージシャンを主人公にしたマンガは数多いが、現代日本を舞台に、ごくフツーの音大生の成長を描いてくってパターンは案外少なかったように思う。軽いコメディのように見せかけてるけど、その成長過程自体はハードなものになってくんじゃないかな。表紙買いだったけど、これはまあ当たりかな。


 マンガ、二ノ宮知子『平成よっぱらい研究所 完全版』(祥伝社コミック文庫・600円)。
 ニッポンの身分制度というのは今でもシ○ウコウ○ヨウヨッパライとなっているので(←この程度のジョークでもサベツだって言うヤツいるんだよな)、ジンケンなんぞは認められていないのだが、なるほどヨッパライに「ニンゲン」の称号なんて与えちゃいけないとつくづく頷かせてくれるのがこの一冊。
 「オレはここまで落ちてない」「私は呑んでも呑まれない」とかホザいてる老若男女のみなさまがた、「自分だけは違う」なんてのは幻想です。醜態晒さないヨッパライなんて日本には存在しません。シラフの私が言うのですから絶対です。
 酔ってゲロ吐くくらいは日常茶飯事、どこぞの看板盗んでくるわ、アタマの悪いケンカはするわ、店は破壊するわ、イタ電はかけまくるわ、道端でチンチンだのチチだのほっくりだして踊るわ、ヤクザにゃ絡むわ、ケツにドラゴン花火突っ込んで火をつけるわ、公園のカップルに花火投げつけるわ、都庁にも花火投げつけて警察に追われるわ、宇宙人の話する人連れてくるわ、王様ゲームでマタに顔突っ込ませるわ、フロに入らねえからひたすら臭いわ、ピロリ菌飼って胃カメラ飲むわ、婚期逃すわ、酔っぱらったまま死ぬわ、なんてニンゲンらしい生活でしょうか(^o^)。
 全国のヨッパライ研究所のみなさん、これはみんな、アナタの姿なのです。でもここで反省して「もう酒を飲むのやめよう」なんて考えちゃいけません。世の中、一所懸命マジメに生きてる人たちは、あなたがたのように人生なめきって迷惑かけるしか能のないダメニンゲンを見ては「ああ、オレってヨッパライに比べたらまだマシなんだなあ」と元気を出すことができるのです。上見て暮らすな下見て暮らせ、大いに蔑まれサベツされるのがあなたがたが天から与えられた使命なのです。さあ、もっともっとヨッパラッて面白い姿を我々シラフに見せてくださいな(^o^)。(←ホントは羨ましがっているのだな)
 二ノ宮さんはもちろん「更生」などせず、けれど結婚だけはなぜかしちゃって現在に至っておられる模様。お相手はもちろん飲み仲間。幸せは、酒臭い息の向こうに漂ってたんだね。めでたしめでたし♪

2002年07月27日(土) イナジュンはいいねえ〜♪/DVD『カタクリ家の幸福』/『雨柳堂夢咄』其ノ九(波津彬子)/『ガンダムエース』9月号ほか
2001年07月27日(金) 『クレしん・オトナ帝国同人誌』完成!掲示板も見てね/『怪』11号ほか



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