無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年06月20日(金) さよなら/『ナジカ電撃作戦』3巻(完結/田代琢也)/「『ぼくら』連載漫画版 妖怪人間ベム』(田中憲)

 まずは言葉についてのニュース。
 文化庁が忘れたころに行ってる(^o^)「国語に関する世論調査」が昨19日に発表された。
 「今の若い連中はこんなにモノを知らない」ってトシヨリが憂える材料を提供するためだけにあるような調査で、いけ好かないことこの上ないのだが、読むとやっぱり「今の若い連中はこんなにモノを知らないのか」と憤っちゃうのである。ノせられてるなあ、俺。

 コンビニの店員なんかがよく使うという、
 「お会計の“ほう”、1万円になります」
 「1000円“から”お預かりします」
 「休ま“さ”せていただく」といった“さ入れ表現”。
 この三つの表現が気になる人が増えたと言う。ところがどうも私ゃ、こういう表現に出会った記憶がないんだよねえ。コンビニの店員さん、まず「お会計」って言葉自体使わなくて「以上で1万円になります」、なんて言い方してるから、「ほう」だって使わなくてすむのだ。「から」も聞いた記憶がない。もしかしてこれって関東限定で流行ってるのか?
 「さ入れ表現」はたまに聞くことはあるけれど、ついうっかりの誤用の域を出てはいない。
 それより私ゃ、未だに「以上でよろし“かった”でしょうか」って言う店員が気に障って仕方ないんだが、これは話題にはなってないのか。

 また、慣用句の意味を勘違いしている人も毎回増えつづけている。
 例えばこんなの。
 「流れにさおさす」=「大勢に逆らう」(本来は「大勢に従う」)
 「役不足」=「役目が重くて辛い」(本来は「能力のわりに役目が軽い」)
 「確信犯」=「悪いとわかっていながら行う行為、犯罪」(本来は「政治的、宗教的な信念から正しいと信じて行う行為、犯罪」)
 漱石の『草枕』の冒頭の「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」なんか、逆らってんなら流されないでしょうに。と言ってもどうせ若い人はもう『草枕』だって読んじゃいないんだろうねえ。とかなんとか言いながら、私も昔はこれを全く逆に覚えていたのでした(^_^;)。
 「その仕事には私は役不足で」「なに〜!? この若造が生意気な!」なんて部下と上司の会話が全国でよくなされてるんだろうか。上司も言葉知らなくてそのままやり過ごされちゃうケースの方が多いんじゃないかって気がするけど。
 ただ、三つ目の「確信犯」を誤用とするのは微妙なセンだよなあ。政治犯が「“一般的には”悪いとされてる行為をあえて自分の信念に基づいてやっちゃった」ような場合には、「悪いとわかっていながら行う行為、犯罪」ってことにもなるじゃん。まあ、ここのポイントは「確信」の「信」が「信念」ってところで誤用かそうでないかが分かれるんだろうけどね。

 次に、「外来語120語の理解度ランキング」。
 全部紹介するのはめんどくさいから、ベスト20とワースト20をご紹介。

(順位)(外来語)    (語義)
1 ス ト レ ス……………肉体的、精神的な緊張や圧迫
2 リサイクル ……………資源の再利用、再生
3 ボランティア …………自発的に奉仕活動をする人
4 テ ー マ ……………主題、題目
5 レクリエーション ……休養、娯楽
6 サ ン プ ル……………見本、標本、試供品
7 リーダーシップ ………統率力、指導力
8 ス タ ッ フ……………職員、幹部、映画などの出演者以外の関係者
9 フルタイム ……………常勤の、専任の
10 ホームページ …………ワールド・ワイド・ウェブから提供される情報の表紙に当たるページ
11 キャンペーン …………選挙運動、宣伝活動
12 リフレッシュ …………気分を一新する
13 インターネット ………ネットワークが相互に接続された世界規模の通信網
14 プロジェクト …………計画、企画、開発事業
15 ドキュメント …………文書、記録、証書
16 ピ ー ク ……………最高潮に達する点、頂点
17 パフォーマンス ………実行、功績、公演、人前での表現行為
18 ケ ア……………手当て、世話、保護、介護
19 コ ス ト ……………値段、費用、原価、経費
20 ホワイトカラー ………事務系労働者
(中略)
101 キャッチアップ ………追いつく
102 スケールメリット ……規模の大きさに伴う利益
103 ノーマライゼーション 正常化、健常者と障害者とが隔てなく一緒に暮らす社会にすること
104 サ マ リ ー……………要約、まとめ
105 モラトリアム …………猶予、債務の返済期日を延期すること
106 モラルハザード ………道徳的危険、道徳的節度を失って行動すること
107 インセンティブ ………誘因、刺激、動機
108 ス キ ー ム……………公的な計画、枠組み
109 ジェンダー ……………社会、文化面の性差
110 デジタルアーカイブ …資料をデジタル情報にして保管すること
111 バックオフィス ………後方で事務処理や管理業務を行う二次的部門
112 ガバナンス ……………支配、社会的統括
113 リテラシー ……………読み書きの能力、識字率
114 トレーサビリティー …生産流通の履歴を管理し追跡できる仕組み
115 エンパワーメント ……権限の付与、問題解決の主体となる力をつけること
116 メ セ ナ ……………企業などによる芸術、科学、文芸の擁護、援助
117 タスクフォース ………特定任務を遂行するために編成された部隊、企画開発班
118 コンソーシアム ………企業共同体、発展途上国への援助方式の一つ
119 エンフォースメント …法律などの実施、知的財産保護のための権利執行手続き
120 インキュベーション …企業支援、地球の中心

 ベストの方は、まあ、そんなもんだろうだろうって感じだね。ただ、こういうふうに日常語化してるものだと、かえって「どんな意味か日本語で説明してください」って言われても言葉にできないものも多いんだよねえ。「ストレスはストレスだろう」って言い返しにしかなんない。そこに実は「誤用」の可能性も生まれてくる。日本語化される過程で微妙な意味の差異が生まれてくるのだね。
 よく言われてるのがベスト3になってる「ボランティア」。もちろん「奉仕活動をする人」って意味に間違いはないけど、日本人、この言葉の意味、やたら軽く使ってるよな。
 まあ、中学で英語を習った経験のある人なら先刻ご承知だとは思うが、英語の“volunteer”には「志願兵」って意味もあるんである。また、学校で掃除を進んで行う人も「ボランティア」だったりする。社会奉仕についての感覚、意味合いがもっと広くて強いんだよ。日本人の「ボランティア」の感覚って、ご近所の草むしりとか老人介護のお手伝いとか、町内会的なものに卑小化されてんじゃん。もちろん、本来の意味で解釈するなら、休日のたびに町内会の役員の仕事を嬉々としてしてたり、老人ホームの慰問とか楽しんでやってる人は、一朝ことあるときには義勇軍として馳せ参じなきゃなんないね(^o^)。しかし、日本人の一般的英語力って、マジで中一程度もないのな。こんなムダな教育システム取ってるくらいなら、本気で学校廃止した方がよかないか。
 もともと日本人の生活感覚って、ほとんど「ボランティア」だったんだから、こんな言葉導入する必要はなかったのだ。それを日本人の個別化を憂えたのかどうか知らんが、誰かがさもご大層なもののように持ちこんだおかげで、猫も杓子もそういうものを「持たなきゃいけない」もののように錯覚させた。それがかえって本来日本人が持ってた「絆」の感覚を失わせてる結果になってないか。
 ああ、けど、「ホームページ」って「表紙」だけを指すんだねえ。となると「ホームページのトップページ」って言い方はおかしいってことなの? じゃあ、トップページを含んだホームページの全体はなんて呼べばいいんだ?

 ワーストの方は、確かに日頃使わないのが多いんだけど、「ノーマライゼーション」「モラルハザード」「ジェンダー」といった、人権問題、差別に関する言葉の一般的認知が低いのにはちょっと笑っちゃうね。人権擁護派の方々がいかに口角泡を飛ばして熱弁を奮っても、笛吹けど踊らずってのが現状なわけだ。理念や思想先行で人を洗脳しようったってねえ、具体的かつ見えるような形で自分の問題として感じられめように先導しなきゃ、一般大衆は動かないよ。
 考えてみたら私だって、「ジェンダー」って言葉を知ったのは松尾由美さんのSFミステリ『ジェンダー城の虜』を読んだのが最初だ(^o^)。生物学的な性差である“sex”と社会的な性差である“gender”を区別する必然性を大半の日本人は感じていない。けれどアメリカだって、ジェンダーを完全否定はしてないと思うんだけどなあ。なんかアチラものを日本人が輸入すると、どこか先鋭化・突出化、わかりやすく言えばトンデモ化する面が大きいと思うんだがねえ。
 こういうの見てると、言葉の感覚に鈍感なやつが外来語をやたらと導入したがってる気がしてしょうがない。


 えー、山本弘さんとこの掲示板が(以下略)。
 だってもー、同じこと書くの飽きたし(-_-;)。


 今日も残業で、帰宅は9時過ぎ。本当だったらもうちょっと早めに帰れたはずなんだが、バスが遅れて、連絡がうまく行かなかったのである。なんかこないだもこんなことあったな。
 乗り換えのバス停の時刻を見ると、9時を過ぎてるのでもう1時間に2本しかバスがない。次のバスは30分後である。そこまで待つのなら、歩いて帰ったほうが早い、と思って、てくてく早歩きで帰る。運動にもちょうどいいか。
 こないだは歩いてる最中に偶然しげと出会ったが、今日はもう誰にも会わないよなあ、と思ってたら、自転車に乗って帰宅途中の姉に会った。偶然とはこうもしょっちゅう起こるものなんだろうか。
 「今、帰りようとね!」
 と姉に驚かれたが、忙しいときはこんなものである。だから休日はできるだけ休んでたいのだ。


 コンビニで「懐メロクッキー」というのを売ってるのを見つける。発売元はブルボン。
 懐かしの歌謡曲のカバーを見て、CDでも付録に入ってるのかな、と思って、近づいてよく見ると、ホントにそうだった。五種類くらい出てるけど、これ売れると思ってるのかなあ(^_^;)。
 確かに280円でCD一枚ってのは安いかもしれない。けれど、一枚買ったら、その人はもうこのクッキー買わないじゃん。リピートして買われることがないってことが最初から分かってるものを売るのかなあ。
 ……ということは、逆にこれ、初回出荷のみでレアものにして売りきろうって戦略なんだろうか。そう思うとなんだか見過ごすのももったいない気がして、つい三つも買ってしまった。ザ・キングトーンズの「グッドナイトベイビー」、加藤登紀子の「ひとり寝の子守唄」、小椋佳の「さらば青春」の3曲。みんな子供のころに口ずさんでたものばかりだ。私、加藤登紀子は歌える曲がないと思ってたけど、これがあったんだな。
 けど、歌詞カードはついてないし、保管はしにくいし、ちゃんとしたCD買ったほうがいいこたいいのである。まあ、ハナシのタネにって程度のものだね。


 チャット中にしげが帰宅。まだ11時なので、ずいぶん早い。
 仕事かと思ったら、ラクーンドッグさんの芝居の練習を見学に行ってたのだそうな。時間の余裕があったんなら、たまには家事の一つもしてほしかったものだが。
 私がチャットをしていたので、しげの機嫌がまた悪くなる。ネット使っていいよ、と言っても「いい、使わん」と拗ねる。「食事はどうする?」と聞いても「勝手に食べれば?」と素っ気ない。
 何を聞いても無視をするので、癇癪を起こして怒る。いつも繰り返してる喧嘩なので、「何度同じこと繰り返すんだ、いい加減飽き飽きしてんだよ!」と怒鳴ったら、しげ、「オレもアンタを怒らせるのいやなんだよ! もう出て行く!」と言い出す。
 「ホントに出て行くんだな? 自分の意志で行くんだな? 俺に追い出されただなんて思ってないな?」
 と念を押すと、「そうだ」と答える。
 しげの顔を見ると、いつになく真面目だ。泣いてはいるが、悔しげでもない。むしろサバサバした、といった表情である。なるほど、しげが覚悟してるのなら仕方がない。結局、しげと私とは縁がなかったということだ。
 そういうわけで、しげは荷物をまとめて出ていきました。どこに行ったかは知りません。もうしげがこの日記に登場することはないと思います。














 と思ってたら、30分くらいしてしげが帰って来ました。
 「何しに戻ってきたんだよ! 出ていったんじゃなかったのか!」
 「いや、だから出てったから帰ってきたよ」
 ……オレはおまえととんち合戦してるんじゃねえっっっっ!
 彦一かおまえは。


 マンガ、スタジオファンタジア原作・田代琢也作画『ナジカ電撃作戦』3巻(完結/メディアファクトリー/MFコミックス・540円)。
 アニメはずいぶん前に終わっちゃったけど、マンガはずいぶん引っ張ったねえ。アニメ制作再開をねらってたんだろうか。
 最終話は設定自体はアニメと同じ。ただ、アニメのほうはリラがヒューマリットの少年と旅立ってしまうが、マンガ版はあくまでナジカの相棒として終わる。どちらがいいとは言えないが、画面の緊張感はやっぱりアニメの方が圧倒的にあった。マンガ版の作者さんにもう少し絵心があったら、ナジカのパート2もありえたかもなあ、とか想像してみたりして。


 マンガ、田中憲「『ぼくら』連載漫画版 妖怪人間ベム』(講談社・1575円)。
 何で今ごろこういうのが復刻されるか、理由はよく分らないけれど、懐かしいからいいや。とは言え、私はこのマンガの存在をすっかり忘れていた。時期的に昭和43、4年ごろと言えば、『ぼくら』は確実に買っていたから、読んでないはずはないんだが。
 作者の田中憲は、今は「田丸ようすけ」と名前を変えているらしいが、それも私は全く知らなかった。
 しかし、絵が上手い。もちろん昔の絵柄であるから(少年マンガ時代の白土三平の影響を受けていることは見てすぐに判る)、古臭くはあるが、線が生きているのである。アニメのキャラデザはお世辞にも美しいとは言い難かったし、第一よく動いてなかった(^_^;)。が、マンガ版のベロなんか、目も口もよく動いているのである。こういうマンガ家さんが売れなかったってのは、なんとも勿体ないハナシだ。
 アニメでは語られなかった、ベム・ベラ・ベロの誕生秘話(アニメじゃ偶然生まれたようにオープニングで言ってたけど、実は彼らを作った人間がいたのである)や、パラパラマンガもあり、読み応えは充分。ただ、やっぱり値段が高過ぎ。売れないと思ってんだろうなあ(^_^;)。

2002年06月20日(木) 癒してくれなくていいってば/映画『怪盗ジゴマ 音楽編』/『夏のロケット』(川端裕人)ほか
2001年06月20日(水) べとべと、ぬめぬめ、もわああっ/『トガリ』3巻(夏目義徳)



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藤原敬之(ふじわら・けいし)