無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年02月09日(日) 見た、読んだ、食った、太った(^_^;)/映画『今宵ひと夜を』/『仮面ライダーSPIRITS』4巻(石ノ森章太郎・村枝賢一)ほか

 またもや寝過ごして、日曜の朝のアニメその他の番組を見られなかった。
 仕方なく(と言うのもヘンだが)、CS日本映画専門チャンネル(長いなあ、省略した呼び方はないものか)『今宵ひと夜を』を見る。
 昭和28(1953)年度の芸術祭参加作品、とタイトル前にクレジットが出る。記録を見ると実際の公開は翌年の2月なので、あわよくば「受賞作」という振れこみで上映したかったのが、受賞を逸しちゃったんでしょうがなく「参加作品」ということだけで売ったものか。
 原作は広津和郎の『入江の町』で、昭和24(1949)年に小津安二郎が同じ広津和郎の『父と娘』を原作として、名作『晩春』を撮っているから、その顰に倣ったものか。ただ、もともと広津和郎の小説は「心境小説」と呼ばれるくらいに登場人物の内面描写に拘っているものが多く、ハッキリ言っちゃえば相当辛気臭いのである。小津安二郎も『父と娘』を「映画」にするために随分脚色をしたようだ(原作は随分前に全集か何かで読んだ記憶があるが中身は全く覚えてないのでこんな印象しか書けません)。だいたい、娘がファザコンでなかなか結婚しないってだけの話だし。逆に言えばたったこれだけの物語を見事に「映画」にしてしまった小津の天才が光っていると言えるのである。
 で、驚いたのがこの『今宵ひと夜を』で、監督の千葉泰樹、まるでミニ小津とでも言いたいくらいに小津演出を踏襲……と言えば聞こえはいいが、ハッキリ言ってほとんど模倣じゃないかと言いたくなるほどによく似た画面造りをしているんである。つまり、ローアングルなカットとか、人物の真正面からの切り替えしとか(^_^;)。でもそんなことしてちゃ、受賞はちょっと難しいよねえ。
 しかも主演のお美代を演じている三浦光子、宿屋の飯盛り女中役なんだけれど、ほとんど演技が蓮っ葉な芸者って感じで(当時の田舎の女中にはそんなのが多かったのかもしれないけれど)、芝居の深みで見せるって感じになっていない。真正面からこれを見せられ続けるのはちょっとキツイぞ。
 それでもドラマとしては『晩春』よりこの『今宵』の方が随分複雑である。複雑と言っても、今の目で見るならやはり随分あっさりしているのだが。『入江の町』という原作は全く知らなかったが(Google検索してもヒットしない。どうやったら読めるのだ)、「寿屋」という宿屋の女中三人を主役に、それぞれの幸せを求める様を、ある者は叶えられ、ある者は裏切られ、という形で描く。彼女たちの求める「幸せ」が、結局は「男にこの境遇から連れ出してもらうこと」であるのは時代かそれとも田舎町に対する揶揄なのか。
 お美代(三浦光子)は、惚れっぽい性格から、何度も男に裏切られている。今度も小泉(中村伸郎)という男にくっついて、この町を出て行ったのだが、案の定、男には本妻がいて(中村伸郎を見れば、ひと目でこいつは信用できないと分りそうなものだ……ってムリか)、傷心のうちに町に戻ってくる。ところがそこで宿の息子・清一(中山昭二!)にまた惚れるのだが、自分みたいな汚れた女が、と思いを口に出すことができない。
 まだ女中を始めたばかりのお春(八千草薫)も、清一に憧れている一人だが、酔客に絡まれて逃げ出したところを清一にかくまわれ、そこで関係を持ってしまう。てっきり思いが叶ったものと喜ぶお春だが、清一はまだ学生の身、結婚などは思いも寄らない。お春との関係は、大学休みの間だけのただのアバンチュールだったのだ。休みが終わればお春のことなどうち捨てて、さっさと大学に戻ってしまう。
 唯一幸せになれたのがおしま(東郷晴子)。ドサ回りにやってきた歌舞伎役者の市村右左衛門(モデルは市村羽左衛門だろうね。でも演じているのは澤村国太郎)と同じ満州帰りということで意気投合して、「迎えに来るから」という彼の言葉を信じて、ただひたすら待つ。そして本当に右左衛門はおしまを迎えにやって来るのだ。
 三本立てのドラマを一気に見られるのが売り、というところだろうか。でもちょっと定番過ぎて、印象は今一つである。だもので、興味はどうしても細部に行く。
 右左衛門を演じる澤村国太郎は、もちろん、長門裕之・津川雅彦のご父君である。お顔がちょうどこの息子二人を足して2で割ったようなのが面白い。
 右左衛門は、東京でもかなり有名な役者であるらしいのに、戦後すぐのこととて、地方回りでもしないことには食って行けない。田舎町の方でも、別に歌舞伎役者だからと言って、崇め奉るような雰囲気はない。「東京の歌舞伎もなかなかやるじゃない」なんて言われている。今時は歌舞伎役者をステイタスのように語る人って多いけど、戦後20年くらいまでは、こんな感覚の方が普通だったんじゃないか(私見だけれど、歌舞伎役者がなにかスバラシイもののようにイメージされだしたのは、NHK大河ドラマ『源義経』(1966)で、尾上菊五郎が義経を演じたころからではなかったか。菊五郎が静御前役の藤純子と本当に結婚してしまって、当時は随分話題になったものだ)。
 この右左衛門が寿屋で口上を述べているときに、廊下からその様子を宿の主人の女房であるお浜が覗いているカットがある。これ、物語としては何かの伏線になっているというわけでもなく、全く意味がないのだが、実はお浜を演じているのが澤村貞子(NHKの朝ドラ『おていちゃん』のモデル……って、これも若い人は知らない)。国太郎の妹なんである。二人が絡むシーンがほとんどないので、これはまあ、楽屋落ち的なお遊びですね。弟の加東大介も出てればもっと面白くなったろうなあ(^o^)。
 それにしてもこのころの八千草薫の美しさは目を見張るほどだ。前半はもうただのオボコ娘って感じでアカンベーなんかしてるんだが、段々艶っぽくなっていくんだよなあ、これが。女は男で変わるって表現? あるいは、結局、女は不幸だってことが言いたいのかな? でも、そういう旧弊なところがこの映画の古臭いところなんだけどね。
 この「女は不幸」パターンのドラマが昔はどれだけ作られてきたかってこと、現代では解りにくくなってるけれど、そう考えると、ここ20年ほどの社会情勢の変化がどれだけ激しかったかってことを実感しちゃうんだね。
 チョイ役で平田昭彦、堺左千夫、清水元、柳谷寛など、東宝特撮でお馴染みの面々も出演。平田昭彦の演じているのが思想犯らしいのが時代か。


 しげはいつものように練習に出かけているので、昼は、ピザカリフォルニアでキムチ丼を頼む。
 たいして用事もないのに休日に外に出るのも億劫だし、美味いのでついつい頼んでしまうのだが、1500円以上頼まないと届けてくれないので、ついでにチキンだのアイスクリームだのジュースだのを一緒に頼まなきゃならないのでおカネはかかるのである。それに体重が減らないのもこれじゃ当たり前だ。
 ……って、久しぶりに体重計に乗ったら83キロまで体重が戻ってたんだよん。ヤバいってこれ(ーー;)。
 やはり仕事帰りにスーパーに寄って食材を買い込んでおくのが安上がりだし、栄養コントロールもできるのだが、先週はしげの時間がないということでそれができなかった。
 昼間の買い物ができればなあ、外食も控えられるんだけれど、今の状況じゃ当分は無理だなあ。ウチの職場が閑古鳥が鳴くくらいにヒマになれば昼休みに外出して買い物ぐらいできるかもしれないが、その時には給料自体が出なくなっているであろう(^o^)。……シャレにならんわ。


 マンガ、冨樫義博『HUNTER×HUNTER ハンターハンター』16巻(集英社/ジャンプコミックス・410円)。
 前巻あたりまではまた壊れかけてたんじゃないかって印象だったけれど、少し持ち直して来たかなあ。アニメの打ち切りが随分腹立たしかったようだから、それで切れかけてたつてのはあったのかな。……というような裏事情を読者に想像させるより、マンガを面白くしてほしいと思ってるファンも多いんじゃなかろうか。
 つまりはようやくゴンの父のシンの影が見えてきて、寄り道してるだけに見えていたグリードアイランド編が、重要な意味を持つんじゃないかって感じになって来たのがいい方向に進みそうな気配なんである。
 この作品が『幽遊白書』と似たような構造を持ちながらもなんとか破綻せずにすんでるのは、やっぱりゴンのキャラクターがジャンプマンガの伝統に則って、ただひたすら「真っ直ぐ」だからだと思うのだ。おそらく、『幽遊』の時みたいに、「幽助は実は魔族だった」なんて、思いっきり階段からコケ落ちるような展開にだけはならないだろう。
 ビスケとヒソカの「腹の探り合い」も、疑心暗鬼で病的な印象の方が強かった『レベルE』のときよりは随分「建設的」になっている。このままの調子で横道に逸れないでいてくれたら嬉しいんだけど、ヒソカの○○○○の描写とか、冨樫さんがまだまだアンバランスな精神状態でマンガ描いてるらしい様子はチラホラと見えるのである。
 次巻がどうなるか分らない、というハラハラ感だけはあるか(^_^;)。


 マンガ、石ノ森章太郎原作・村枝賢一漫画『仮面ライダーSPIRITS』4巻(講談社/マガジンZKC・580円)。
 ついに「ゼクロス編」に突入。ファンなら先刻ご承知、早瀬マサト氏による解説にもあるけれど、テレビシリーズとしての『仮面ライダーZX(ゼクロス)』という作品は存在しない。そのあたりの事情は解説を読んでいただくとして、もしこれがテレビシリーズとして作られていたら、当然このマンガも描かれることはなかったわけで、そう考えると「ゼクロス」が幻の作品となってしまったのは、必ずしも悲しむべきことではなかったかも知れない。
 なにより「暗闇大使」の圧倒的な迫力!
 故・潮健児さんも、もしこのマンガを読めば「俺がもっとやりたかった!」と悔しがるんじゃないかってくらいに悪辣でブキミである。1〜3巻まで面白く読んでいながら、もうひと味がほしいな、と思っていたのが「敵の大幹部」だったのだね。さあ、果たして「地獄大使」と「暗闇大使」の関係はこれから先どう描かれるのか。本当にこの二人は「イトコ」なのか(^o^)。


 夜、CS日本映画専門チャンネルで黒澤明監督の『わが青春に悔いなし』を見る。ニュープリントでの放送、というので、ふと、DVDとの比較がしたくなって、DVDをかけながらチャンネルを切り替えてみるということをやってみる。
 結論を言うと、画質はDVDの方が圧倒的によい。
 テレビの方では、大河内伝次郎の洋服がベタッとつぶれて影になっているところが、DVDだと布地の目までハッキリと見える。何より、DVDはフィルムのキズや汚れを極力除去している。これくらいのことをしてくれれば、DVDを買っただけの甲斐はあるというものだ。


 他にも本読んだり、DVD見返したりとかしてたんだけど、量が膨大になるので省略。だから書くこと多すぎるんだってば(自業自得)。

2002年02月09日(土) ほーりつも人が作るもの/映画『まあだだよ』/『仄暗い水の底から』(鈴木光司・MEIMU)ほか
2001年02月09日(金) お姫様を探せ!/アニメ『タッチ・CROSS ROAD 風のゆくえ』ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)