無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年01月12日(日) ヤマさんが見ていた/DVD『パニックルーム』/『快傑! 鈴鳴高校探偵部』1〜3巻(日下部拓海)ほか

 昨日の『今日も映画日和』について、もう一つ書き忘れてたネタ。
 第二章「43年目のマーズ・アタック!」のところで、川本三郎さんがこう語っている。
 「『ゴジラ』って、空襲と原爆の映画でしょう。これは私の持論なんですが、ゴジラというのは海で死んでいった兵隊たちの霊なんですよ。ゴジラを倒す科学者、平田昭彦も戦争で負傷して、片目を失っている。それで河内桃子演じる婚約者を諦めて、最後、ゴジラとともに海に沈んでいく。あれは『海ゆかば』ですね」
 対談は1997年だから、金子修介がこの記事から『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』のネタを拾った可能性は高いなあ。まあ読んでなくて、たまたま同じことを考えついただけかもしれないけれど、こういうのはあくまで「解釈」として考えるレベルだから面白いんであって、映画として見せるもんじゃないんである。
 百歩譲って、天本英世に「ゴジラは英霊の残留思念だ」と語らせるにしても、あんなにくだくだしく喋らせちゃいけない。新山千春に会ったときにそのことをヒトコトだけ言わせて、あとは一切黙秘。この言葉の解釈はほかのキャラにまかせて、もしゴジラが本当に怨念の塊なら、それをどう倒せばいいのか? って方向にドラマを持っていかなきゃなあ。
 後半、普通の怪獣プロレスものにしちゃうし、普通の人間の武器でゴジラが倒されるんだったら、その残留思念って設定、なんの意味もなくなっちゃうじゃん? ゴーストバスターズ連れてきた方がまだ整合性が合うぞ。
 だからヘタにコリクツひねったらボロが出るんだってば。「なぜだかわかんないけどゴジラは倒せない」っての、ちゃんと絵で見せようよ。


 俳優の藤岡弘さん、芸名を「藤岡弘、」に改名してたんですって。まあ、ビックリ。
 てっきり「モーニング娘。」のマネかと思ったけど、改名してたのもう十数年も前だっんですって。
 オフィシャルサイトを覗いてみたら、確かに全部「藤岡弘、」って読点が付いてるわ。けど、句点ならともかく、読点だとそのまま文章続けて読めちゃうから、まさか「、」まで含めて芸名だなんて、全然気づかないわよ。でも、もしかしたら、世間のオタクのみなさん、とうに気づいていらしたのかしら。私だけが知らなかったんだったら恥ずかしいわ。どうしましょ。これからは「、」を付けるから許してね。
 藤岡さんの話だと、1986年に『SFソードキル』に主演したのが改名のきっかけだったんですって。渡された初稿の台本が、あまりにサムライの姿をゆがめて書かれてたんで、通訳をつけて日本の伝統文化の中でのサムライの役割や地位などを粘り強く説明して、台本を大幅に書き換えさせたんですって。
 だったらそもそも、「凍りづけの侍が現代に蘇える」って設定もなんとかしてほしかったわよねえ(^o^)。
 でも『レッドサン』の時も三船敏郎が同じように困らされたそうだから、日本映画ってやっぱりハリウッドには全然浸透してないんじゃないかしら。
 で、それがどうして改名に至っちゃったかっていうと、そこから藤岡さんの「侍道」が始まったからってことらしいのよね。これって大竹しのぶが北島マヤにのめりこんで「マヤは私」なんて言っちゃったようなものなのかしら。それとも「サムライ」演じると日本人って、先祖が別に侍じゃなくっても、みんなその気になっちゃうものなのかしら。漁師の息子のクセに「サムライ」って言ってたジャイアンツの選手もいたわね。アレはフィクションだけど。
 実在人物では、緒形拳が『MISHIMA』の時にカンヌで「アイ・アム・サムライ」とぶって、観客にシラケらけられちゃったそうね。あの人のご先祖さまってサムライ?
 「昔の武将はいったん“点”を打って決意した。流されないで立ち止まって自分を見つめる、という覚悟と『いまだ完成せず』の意味も込めて」
 って、藤岡さん仰ってるけど、実際に名前に点を打った侍なんていたのかしら? 「宮本武蔵、」とか「柳生十兵衛、」とか聞いたことないんだけど。
 いえいえ、私、別に藤岡さんの改名に文句をつけるつもりなんかないわよ。だって藤岡さん、素敵なんだもの♪
 でも「、」にこんな意味があるってことは、「モーニング娘。」ってもう終わっちゃってるってことになるのかしら。読みにくいから省略してるけど、実はしげの名前にも「。」がついてるのよね(^o^)。
 それはそうと、どうして女コトバなの? なんて気にしないでね。何となくこの話題を書こうと思ったらこんな感じになっちゃっただけなんだから。


 昨日からずっと徹夜で劇団の台本を書いてたんで、すっかり疲れた。
 タイトルは『アプリコットティー』ってのになったらしいが、初稿の段階でも、完成稿でも、アプリコットティーなんて全く出て来ない、どころか作品世界を象徴するものでもなんでもない。
 タイトル決めに私は全く関与していなくて、しげの話によれば相談した中で一番マシだったのがこれだと言うが、なんでこうみんなセンスがないかな(-_-;)。これなら『北京の秋』ってつけたって全然構わないくらいである。
 もともと私が付けていた仮タイトルは『挽歌』であった。
 これがみんなに実に評判が悪かった。単純過ぎるということなのか、意味が分らない、ということなのか。ちゃんと作品テーマに沿っちゃいるし、今回、ある意味古臭い純愛ドラマなんで、60年代の昼メロ的ニュアンスを狙ったのである(もちろん内容は昼メロそのまんまでなくて、捻っちゃいるが)。
 私もすごくいいタイトル、と思ってたわけじゃなし、このタイトルで行け、と押しつけるつもりはなかったが、でも「アプリコット〜」なんてアホなタイトルにされると「何でやねん」と言いたくはなる。
 会場への申し込みのためにタイトルが必要だったんで、急遽決めちゃったらしいが、「ヘタの考え休むに似たり」である。何もいいタイトルが思いつかないなら、そのまま通してほしかったなあ。

 しげ、台本が上がったのを見て、「〆切までに仕上がったのって珍しい」、とあまり嬉しくない誉め方をしている。実を言うとまだまだ誤植やら何やら一杯あるのだが、そこはもう現場で言いやすいように直してもらえばいいことなんで、特に注はつけない。
 ともかく、しげは台本を持って練習に出かけた。
 キャストのみんながどう反応するか聞いてみたいが、あまり下らん直しは言ってきてほしくないもんだ。
 疲れきった私は、昼過ぎまで爆睡。

 今回のキャストは4人、よしひと嬢、穂稀嬢、しげに客演のラクーンドッグさん。
 帰宅したしげから、練習の様子を聞いてみたが、一番感想を聞いてみたかったラクーンドッグさん、よしひと嬢、二人とも急に都合が悪くなって来てなかったそうである。それは残念。改訂があるとしたら、早めに読んでおいてもらった方がいいんだが。
 「特に感想はなかったの?」
 「一回通して読んだだけだし。あ、でもハカセ(=穂稀嬢)、『ヤマさん』のこと知らなかったよ」
 公演前に台本の中身について詳しく紹介するわけにはいかないのだが(カットされることもあるし)、台本の中に、「話は全部聞かせてもらったぜ」「わあ、ヤマさんね」「誰それ?」というヤリトリがあるんである。
 穂稀嬢、ハタチかそこらだから、多分『太陽にほえろ!』ももう知るまいと思ってワザと書いたんだが、やっぱり知らなかったか。
 私の書く台本、最近こういう「世代間のギャップ」ネタが多くなってるんだが、若い人たちのあまりにモノシラズな状況に対して、ちょっとばかし腹が立ってるんだな(~_~;)。
 できるだけ昔ネタを持ちこんで、少しは文化ってものの意義を考えてもらいたいなあって狙いなんだが、ボケ女の穂稀嬢にも少しは通じたかな、と思って、更にしげに状況を聞いてみたのだが、しげは私の想像を上回るとんでもないヤツであつた。
 「で、ホントのことは教えてあげたんだろ?」
 「うん、教えたよ」
 「ちゃんと『太陽にほえろ!』のネタだって言った?」
 「いいや、それは言ってない」
 「……なんで? じゃあ、なんて説明したの?」
 「あのね、『ヤマさんとチョーさん』って漫才コンビがいるんよ」
 「……はあ?」
 「ヤマさんがどこからともなく現われて『話は聞かせてもらったぜ』って言うもんだから、チョーさんが『アンタとはやっとられんわ!』と突っ込むという」
 「全然違うやんか! ……じゃあ、露口茂の名前も下川辰平の名前も出さなかったんか」
 「あ、それは出した」
 「余計悪いわ!」
 穂稀嬢、しげのデタラメ、信じちゃってるんだろうなあ。

 でもって、しげの感想はどうだったかというと、穂稀嬢演じるキャラが「パラレルワールド」を「パラソルワールド」と言い間違えるギャグが気に入ったそうである。全く、なんでこういうマイナーなネタばかりに、しげは反応するんかな。いや、一応NHKで放送されてたんだから、マイナーといっちゃ悪いかもしれんが、少なくとも安孫子さんの代表作とは言えないよなあ。


 夕方から外出、博多駅の紀伊國屋に寄ったあと、8階の食堂街で、お好み焼きの店に入る。
 名のみ聞いたことのある「もんじゃ焼き」を生まれて初めて食べる。要するに「薄いお好み焼き」なわけだね。スペシャルを頼んだので具は肉、餅、エビ、卵ほか盛り沢山で実に美味い。値段はお高いが、食い出したらちょっと病みつきになりそうである。
 チーズ嫌いのしげは、品書きに「チーズ」と書かれていないお好み焼きを選ぶ。ところが何を間違ったのか、運ばれてきたお好み焼きに、調理人さんが豪勢にチーズをまぶし始めた。しげもその場で「チーズは入れなくていいです」と言えばいいのだが、こういうときにしげは絶対にタイミングが掴めなくて言いそびれてしまうのである。
 こんがり焼けたお好み焼を目の前にしてもしげが全然箸をつけないので、その時になってようやく私も、チーズが入ってて食べられないのだ、と気がついた。
 「食べんと?」
 「チーズが入っとるもん」
 「チーズケーキは食えるやん」
 「チーズが固形じゃなければいいとよ」
 お好み焼きもチーズは溶けて固形じゃなくなってると思うが。
 しげの偏食はただのワガママなので、私も改めて別の料理を頼んでやったりしない。一応、私のもんじゃ焼きを代わりに食うかどうか聞いてみたが、「アンタのやけん」と食べようとしない。人の親切も無にするというなら、それ以上、気遣ってやるこたぁない。しげの残したお好み焼きを、遠慮なく食べることにする。
 ところが、私がいかにも美味そうに食ってるのを見て悔しくなったのだろう、しげ、「チーズは食えない」と今言った口で、「これ以上は渡さないぞ」という形相でお好み焼きを食べ始める。結局、しげは食えないはずのお好み焼きを半分以上は食っていた。ホントにチーズがダメなら、こんな食い方はまずできまい。やっぱりしげの場合はただの好き嫌いである。
 イジマシイ、とはこういうことを言うんだろうな。


 そのあと、しげも今日は仕事が休みということなので、ネットカフェ「POPEYE」で時間を潰す。
 しげ、以前からぴんでんさんに「『女帝』はイイですよ!」と吹きこまれていたので、1巻から食いいるように読み耽っている。いくら「面白い」と言われたからって、ホントに面白がるなんて、つくづく暗示にかかりやすいというか、騙されやすい女だ(^_^;)。
 まあねー、アレを読んじゃイカン、コレを読んじゃいかんなんて注文つけようって気はないけどよー、『女帝』だの『野望の王国』に入れこんじゃう女って、どう思いますか、特に妙齢の女性の方。
 って、このサイトを覗いてる人で、「妙齢の女性」ってのがどれだけいるというのか、そしてその中のどれだけが『女帝』の存在を知ってるのか。
 いや、だから「しげはヘンだ」ってことになるんだけど。

 DVDもここには置いてあってヘッドホンで試聴できるんだけど、数が少ない。『キャッツ&ドッグス』か『パニックルーム』にするか、しげに聞いてみたら、てっきり『キャッツ』の方にするかと思ったら、『パニック』だと言う。
 「『パニック』怖いかもよ?」
 「でも、『キャッツ』は見たくないから」
 好き嫌いの基準というか、根拠がわからん。
 ともかく、プレステ2が置いてあって利用しないのも損なので、二人で『パニックルーム』を見る。
 コケオドシの無意味な演出が多くて、全然怖くない。ホラーものかと思ったら、『暗くなるまで待って』式の泥棒サスペンスだったんだね。
 ジョディ・フォスター主演ってことで結構期待してたんだがなあ。ストーリーは陳腐だし展開は先が読める、読め過ぎる。ジョディ・フォスターの娘が糖尿病で、インスリン注射が必要なんだけど(なんだか『MASTERキートン』読んだんじゃないかって設定だ)、これを助けるのが3人組の泥棒の中で唯一人間的な感情を持ってる黒人の技術屋。あとの二人が、アタマの悪い金持ちのボンボンにただの殺人鬼だもんなあ。誰が助かって誰が死ぬか、ハナからバレバレだよ。
 それくらいならまだしも、パニックルームに閉じ込められて、泥棒たちにガスを送り込まれて、ジョディがそれに反撃するために火をつけるって展開は何なんだよ。普通自分が焼け死ぬだろ(^_^;)。これも相当なトンデモ映画であった。


 マンガ、叶恭弘『Tokyo ants 叶恭弘短編集2』(集英社/ジャンプコミックス・410円)。
 表題作は巨大コングロマリットに所属するトラブルシューターグループ「ants」の活躍を描くもの。主役が見習いの熱血バカで、失敗しながらもその情熱が、初め冷徹だった他のスタッフの心を和ませていく展開も定番。
 それよりは、人の嘘を見破る能力を持つ燕馬を主役にした連作、『ENMA』『enma』の方が面白かった。
 巻末の『蝶 -swallow tall-』は、これも人の死が「蝶」の姿となって見える超能力を持つ少年の話。けれど定番に見えてラストのドンデン返しは小味が利いている。叶さんはよくあるラブコメしか描けない、と思いこんでると足下掬われるぞ。


 マンガ、日下部拓海『快傑! 鈴鳴高校探偵部』1〜3巻(実業之日本社/MBコミックス・各410円)。
 日下部先生、最近エンピツの日記も覗けないくらいお忙しいようだけれど、大丈夫なんかな。
 巷の本屋ではご著書をなかなかお見かけしなくて、感想書くこともできませんでしたが、ようやくネットカフェで3冊だけ。でも4巻がなぜか置いてないです(+_;)。
 私立とは言え、学園内で「探偵部」なんて人のヒミツを探るような部活動が認可されてるとは思えないのは欠点だけれど(野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる』もそこはテキトーで、「自由な校風」ということで誤魔化している)、そこに目を瞑れば、心理描写がリアルで説得力がある。学園ものに拘らずに、もう少し対象年齢を上にしてもよかったんじゃないかな。ミステリとしての骨格もしっかりしていて、もちっと店頭に出回っててもいいんじゃないか。
 メガネで容姿に自信がなく、笑顔を見せないヒロインの葵が、朱雀たち探偵部のメンバーと触れ合う中で、どんどんかわいらしくなっていく様子にはまるで自分のムスメを見るように嬉しくなってしまった。いや、実際にムスメはいないんだが。
 でも部長がホンモノの「猫」っていったいどういう設定なんだろう(~_~;)。

2002年01月12日(土) 寝(られ)る場所そろそろ作らんとな/『仮面ライダー激闘ファイル』(岩佐陽一)/DVD『本陣殺人事件』ほか
2001年01月12日(金) 一陽来復



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藤原敬之(ふじわら・けいし)