無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年12月29日(日) 消えていく街/DVD『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』/『TRICK2』(蒔田光治・太田愛・福田拓郎)ほか

 朝、目覚めると9時。
 自分の部屋以外で目覚めると、なんだか新鮮な気になるね。しげのお泊まり好きも分らないではない。
 でも窓のカーテンを開けると清々しい風景が……とはいかない。昨日も書いたが、前の山はずっと造成中なのである。おお、禿山の一夜。魔物は出たのか出なかったのか。
 チェックアウトは11時、ということなので、まだもう少し時間の余裕はあるのだが、食料などの買い物もしたいし、と、しげがもうひとっ風呂浴びるのを待って、10時に出る。
 料金は、入り口の精算機にカードを入れると、請求額が表示される仕組み。1泊14000円弱である。意外に安い。街中のホテルだと、二人で2万円くらい取るものなあ。やはりここは郊外だからだろうか。
 

 帰宅して、マンションのエレベーターに乗り込むと、中に「ゴミの分別を守ろう」というハリガミが。
 ウチは一応きちんと分別しているつもりではあるが、こういうハリガミが出されるということはウチのマンション、燃えるゴミと燃えないゴミの区別をしてない家庭が多いってことなんだろうな。
 マナーの守れない、だらしないヤツが増えた、と切って捨てるのは簡単なんだが、これはもしかしたら、と私が思うのは、もっと単純な理由で、「燃えるゴミと燃えないゴミの区別がつかない」ヤツが意外と多いんじゃないか、ということだ。
 かくいう私も、昔は「ペットポトル」が「燃えないゴミ」に入るとは知らなかった。どう見ても燃えるじゃんアレ、と思ってたんだが。実際、プラスチックだのビニールだの、その分別に困る材質のものは多い。更には、燃える材質のものと燃えない材質のものが合体してるようなものまで、巷にはゴロゴロしているのである。ダンボールなんか、いちいち留め金だけ外して分別して出すのか。そんな細かいことまでできるもんか、と反発したくなる人も、多くないか。一人暮しの非力な婆ちゃんにまで、そこまでせよと強制するのか。
 実際、大上段に「社会のルールを守れ、守れないのは非国民だ人間失格だケダモノだ」と罵倒されれば(いや、そこまでは言われないだろうが)、ムッとして「どうでもいいや」と適当な捨て方をする人も出てくるだろう。
 我々庶民の知的レベルなんてたいしたことはない。そこを見誤って、無理なマナーを要請するのは、ただの権威主義だ。ドラマやコメディによく出てくる「正義派おばさん」みたいないなヤなやつ、ウチのマンションにもいるのよ、全く迷惑かけてるのはどっちなんだか。
 ゴミの分別が大変なのは分るけど、行政の方でなんとかしてくれよ、そのために税金払ってるんだからさ。


 昨日は夜、ネットを見られなかったので、あちこちのサイトを散策。
 『龍騎』のあとの仮面ライダー、『仮面ライダー555(ファイズ)』ってタイトルなんだね。
 どういう話になるのか、今の段階では全く知らないけど、タイトルだけ見ると、何だか一気に貧相になっちまった印象である。いやね、「クウガ」も「アギト」も「龍騎」もタイトルは結構いいジャン? とか思ってたんですよ(#^_^#)。
 でも、今回の、「数字三つ並べりゃいいってもんじゃないでしょ。『漂流幹線000』か」とか思いませんでしたか、そこのアナタ。え? 太陽族がゴーゴー踊ってる姿を想像した? いくつですかアナタ。
 それにしても謎なのは、5を三つ並べて、どうして「ファイズ」と読ませいるってことだ。単に私が無知なだけなのかもしれないが、そういう読ませ方ってあるのか? 5の複数なら「ファイブス」だけど、三つ重なると「ブ」が取れるのか? それとも「φs」ってこと? いや、それでも意味不明なんだが。
 まあ、恐らくはこれも語呂がいいだけのただのハッタリなのであろう。
 もっとも、ハッタリの過ぎた作品って、たいていコケちゃうんだけどね。


 渋谷の歩行者天国が廃止になるそうである。27日から「試験的中止期間」に入ったそうだけれど、実質的にはこのまま廃止される可能性が高いらしい。
 1970(昭和45)年から数えて今年まで32年、それなりに伝統があると言ってもいい催し(と言っていいだろうね)が一つ消えるってことについて、東京都民はどう感じてるんだろうか。
 地方在住者にとっては「渋谷のホコ天」って聞いたら東京文化の象徴みたいに感じてて、ファッショナブル〜ってイメージだったんだが。もっとも今の若い世代がどう思ってるかは知らないけど。
 廃止の理由は「周辺の渋滞解消」「利用者の捨てるゴミへの苦情」ということだそうだが、前者はなるほど仕方がないかなと思わないでもないが、後者はどういうことだろう。利用者は開始当時の4万人から、現在、1万5千人にまで減少しているのである。人数がそれだけ減ってるのにゴミは倍増したのだろうか。単純計算しても、開始当時の4万人のうち5%がゴミのポイ捨てを行っていたとして2千人分、それを凌駕するゴミが現在出ているとすれば、3千人分か4千人分か、さうなると利用者の5人に1人くらいがゴミを捨てまくってることになる。そんな光景が渋谷で本当に展開されてるのか? そこまで東京人のマナーはデタラメになったってことなんだろうか。
 原宿と上野の歩行者天国も既に廃止、残る銀座・新宿・秋葉原・蒲田の4地区も見直す方向というから、要するに警視庁はホコ天の存在自体をなくしたいのだろう。「秋葉原」と聞くとつい「オタク対策か?」とか錯覚しそうになるが。
 ホコ天の何がそんなにいけないのだろう? 東京から離れて暮らしてもう随分になるからホントに実態が分らないのだが、福岡の親不幸通りみたいに犯罪の温床にでもなっていたのだろうか? そうでも考えない限り、「渋滞の解消」程度でホコ天を廃止しようとする意図が分らないのである。
 いや、こういうことをつい考えちゃうっていうのは、一昔前の映画にはやたら渋谷のホコ天が登場してたからなんである。記憶が定かじゃないんだが、『ウルトラQ』でもどの話だったかにホコ天出てこなかったかな? 全話見返す手間がかかるんで未確認なんだけど、映像は思い浮かぶ。そういう思い出があるものだから、地方在住者の私にとっても、道一杯に広がり、交差点を行き交う人々の群れは、「郷愁」を誘う風景なんである。
 そう言えば、最近の映画でも、『ガメラ3』でハチ公が燃えてたな(^^)。
 「風景」というものも、もちろん一つの文化なんである。それを簡単に無くそうってのは……ま、東京は昔からそればかりやって肥大化してきた街なんだろうけれどね。でも、そうやって建物だけが空間を占拠していく街の中にあっては、人々の姿が、みなただの「通りすがり」に見えてしまう瞬間がある。ここは、人が「生きている町では無いのか?」、そういう疑問を抱いてきた人はこれまでにもいくらでもいると思うのだが。「東京には空がない」か。もちろんそれは、空を見上げる人もいないからである。
 ゴジラがやたら新しい建造物ばかり壊したがるのは、東京人が本気で街を戦後の廃墟のころにまで戻したがってる願望の表れなのかもね(^_^;)。


 充分に寝たりなかったせいか、ネットをしてるうちに睡魔に襲われる。
 そのまま夕方まで再び爆睡。起きたらもう夕方の7時である。こんなに寝ちゃ、しげのことを笑えないなあ。


 テレビで劇場版『ONE PIECE(ワンピース)珍獣島のチョッパー王国』を放映。年末スペシャルってことだけど、これでテレビシリーズの作画スタッフに少しでも正月休みをあげようってことなんだろうね。でもその分、劇場版の制作時がもうてんてこまいとゆーか、修羅場になっていると推察される。
 なにしろ、劇場版のわりに作画がそんなによくないから(^_^;)。
 話はチョッパーが珍獣島の王になりかけるって話だけど、でも最後はやっぱり仲間と旅立たなくちゃって、もう『冒険ダン吉』ゆら『少年ケニヤ』以来の古色蒼然としたパターンをなんの工夫もなくやっちゃうんだから、呆れるほかはない。こういうのは「バカ」と言わずに「クズ」というのである。こんなんでも映画を見なれてない客は感動しちゃうのかもなあ。ま、いいけど。


  DVD『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』。
 既にLDを2枚も持ってるんで悩んだけど、コメンタリーが聞きたかったもんでね。それになんたってこれは『御先祖様万々歳』と双璧をなす押井守の最高傑作なんだし。
 池田憲章を司会に、監督の押井守、演出の西村純二、声優の千葉繁が「昔のことなんで忘れた」と言いつつ、裏話をどんどこ披露。おかげで長年疑問であった「迷宮の街の中でしのぶを見つめる謎の人物」の正体もやっと分った。あれはただのマクガフィンだったのである。全く、フェリーニだのゴダールだのにかぶれるとすぐああいう映像を作りたくなるんだよなあ。映画に免疫のないアニメファンは混乱したことだろう。
 当時、押井さんも西村さんも映画版にかかりきりで、テレビシリーズは全く関知してなかったそうである。「いったいテレビは誰が作っていたのだろう?」なんて脳天気なこと押井さん言ってるけど、それは客の方が聞きたいよ。
 西村さんの「今からでもリテイク出したいんですけど」のセリフが切実だけど笑える。押井さんが「そういうのは見ないの」と言い切る姿勢もグー。過去は振り返っちゃいけない、未来だけを見つめよってことなのだな(^o^)。
 それならば押井さんの次回作、『イノセント 攻殻機動隊2』にどうしても目は向いてしまうが、やっぱり押井守の「記号」は出て来てしまうらしい。「好きだよなあ、何度でも出すよなあ」と述懐されてるが、本人も確信犯でやってるんだね。「コンビニ」また出すって言ってるけど、『攻殻』の世界にコンビニ。合うんだか合わないんだか。もっとも牛丼屋出されるよりはいいんだろうけれど。


 蒔田光治・太田愛・福田拓郎(堤幸彦監修)『TRICK2 トリック2』(角川文庫・630円)。
 テレビ第2シリーズのノベライゼーションだけれど、作者として名前のあがっているシナリオライターたちは小説版には関与していない。実際に執筆してるのは木俣冬、という人である。この人の文章がまあヘタなことヘタなこと。なんでノベライズするのにもちっとマシな人探せなかったのかな。第1シリーズのノベライズ版のほうもあまりうまい文章ではなかったが、今回は輪をかけてひどい。ギャグがほとんど滑りまくっているのである(テレビのギャグからして滑っちゃいたのだが)。
 例えば『六つ墓村』のエピソードであき竹城演ずる老婆が歌いながらやってくるシーン、山田奈緒子が「ダイラクダカンノ、ヒト?」と突っ込むのだが、その風貌の具体的な描写がないもんだから、小説だけ読んでるとこのギャグの意味が全然ピンと来ないのだ。しかもカタカナで表記してるもんだから、ますます意味が捕らえにくい。
 やっぱりドラマはドラマ版を鑑賞するのが一番ですね。

2001年12月29日(土) これでもだいぶ短くしました。/映画『シュレック』/DVD『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』
2000年12月29日(金) やっと年末



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