無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年06月13日(木) 暗い木曜日/『名探偵コナン』37巻(青山剛昌)ほか

 歌手、村田英雄氏が肺炎のため死去。享年73。
 直接の死因は肺炎でも、重度の糖尿病を患って、両足を切断していた。
 昨日のナンシー関さんの死去と言い、なんでこう、落ちこむような死去のニュースばかり続くのだ。
 私ゃ去年の夏の入院の時に、この人の両足切断写真を何枚も見せられたってのに。
 もう長くないことは随分前から判っていた。
 にもかかわらず一時は復活し、平均寿命までは生きたのだ。
 だから、よく持ったほうだとは思うのだけれど、気持ちはもう「そうだよな、オレも明日死んでもおかしくないもんな」ってな具合に、暗い方へ暗いほうへとベクトルが向いてしまっている。

 「オレ、鬱だよ」
 としげに言ったら、「ふーん」とヒトコト、「なにをナマイキな」という顔をされた。
 けれど実際に鬱なので、しげに文句を言い返す元気もない。
 ナンシーさんのホームページ「ボン研究所」を覗いたら、5月1日付けの日記で、「今年は書きたいと思うネタがGWに集中してるかも。まだ何かあるな。誰か死ぬか?」と書いてあった。「2ちゃんねる」では、さっそくこれを笑いのネタにしている。怒る気はないが、悲しい。


 あずまきよひこさんのHP、例の「お詫び」の文章が削除されている。
 結局、FAQの「あれ、うそ」というギャグそのものが「なかったこと」にされた形だ。
 けれど、これが間接的な表現の自由の束縛・弾圧でなくてなんだと言うのだ。
 「日本では傷ついた者が勝つ」とは金美齢さんの名言だが、自分が被害者になれば何でも言って構わないと思いこんでるアホウをここまで量産したのはいったい誰の責任だ。
 こうなると、誰かナマイキだと思った作家がいたら、編集部気付で「アナタの作品にショックを受けました」と手紙を送りつければ、即、連載中止に追い込むこともできるようになってくるぞ。
 『こち亀』だって、亀有の人間を騙って「亀有のイメージを落とさないでくれ!」なんて抗議の手紙を送ったら、連載を終了させられるかもしれない。笑いごとではないのだ。こういう「被害者ぶりっこ」は年々、少しずつ少しずつ、澱が溜まるように増えつつあるのだ。
 そういう「被害者のフリをしただけの実は加害者」に出会った経験は、私もこれまでに数限りなくある。そういう人からは今のところ「逃げる」ことでしか対処できないんだよね。話、まるで通じないから。
 けれど、こちらが逃げてると図に乗って、「自分はやっぱり正しかった」って思うんだよ、そいつらは。
 だからあずまさんも、ホントならガンとして削除なんかしないでいてくれたほうがよかったんだけど、編集部にまで迷惑はかけられないと判断したんじゃないかなあ。……だから悲しいことが多すぎるよ。


 夜間業務のしげは、当然、昼間が睡眠時間だ。
 私を車で送り迎えしなければならないので、朝、9時過ぎに寝て、夕方4時くらいに起きる。6、7時間まとまって寝たあと、仕事に行く前か帰ってきてからか、2、3時間ほど寝る。
 実によく寝ているし、相変わらず全く家事をしないが、これでもしげ本人には寝たりないらしい。
 というか、時間を無駄に使いまくっているのである。
 9時過ぎに寝る、とは言っても、「ベッドに横になる」だけで、なかなか寝つけない。そうなのだ。しげは異常に寝つきの悪い女なのである。
 いろいろ本人も努力はしているのである。羊を数えると、一生懸命になってかえって眠れないので、前に読んだ本を何度か読み返す。一度読んだ本なので、熱中して読むということもなく、気がついたら眠りに落ちている。だから、実際のところ昼間はギリギリ6時間眠るのが限度、という感じらしい。
 最近は吉田戦車の『つやつや先生』を読んでいるとすぐに落ちれるそうだ。何となく納得できるような。

 しかし、どうしたはずみか、今日はほとんど昼間、眠れなかったらしい。
 眉間にシワを寄せていかにも不機嫌そうである。
 「なんで寝なかったんだよ」
 「寝ようとしたんだよ。でも寝れなかったんだよ」
 「寝ようという意志が足りないからだろう」
 「本を読んで寝ようとしたんだよ」
 「寝つけないなら黙って、ジッとしてりゃいいじゃないかよ」
 「ジッとしてたら怖いやん!」
 「怖いこと妄想するからだろ!?」
 私にはしげが自ら眠らないように眠らないようにしているようにしか思えないんだが。私のように、寝ようと思ったら一瞬で落ちることのできる人間には、しげの悩みがよく解らない。すぐに睡眠に入れるいい方法というものはないものだろうか。

 寝不足でも腹は減る。
 しげはまた「王将」。……よりによって、村田英雄が死んだ日に「王将」かよ、と思うが、冷静に考えれば、そんなことを関連付けて気にする方が神経をヤラレている。そうだよ、だから鬱なんだってば。
 こういうときは具合が悪くなるとわかっていてもドカ食いしてしまうものである。
 私はスタミナセット、酢豚と餃子と唐揚げ定食。
 しげもなんとかセットで、炒飯と餃子と唐揚げ。
 これだけ食ってもなんとか体重は82キロ前後でキープ。食い控えれば、確実に痩せられるはずなんだけど、それをついつい食っちゃうのはやっぱりストレスが溜まってるんだよなあ。


 夜、気分悪いと言ってたわりには、しげ、寝つけないで甘えてくる。
 「なんだよ鬱陶しいな」
 「眠いとよ、眠いけど寝れんとよ」
 「眠いなら寝れるやろ」
 「だけん寝れんて」
 「俺は眠いから寝れるぞ」
 と言って、次の瞬間には寝た(^o^)。だから、そのあとしげがどうしたかは知らない。
 冷たいようだが、しげの甘えに付き合ってやると、今度は私が寝不足になるのだ。そこはどうしてもしげに泣いてもらうしかないんである。
 
 
 マンガ、青山剛昌『名探偵コナン』37巻(小学館/少年サンデーコミックス・410円)。
 あー、買ったまんま、読むの忘れてた。
 もう来月には38巻出るぞ。
 毎回、中身をコキ下ろしながら、それでも37巻までよくも買い続けているものだと自分でも感心。誤解のないように言っとくと、『コナン』はミステリマニアの視点で見たらとことんバカバカしいんだけど、少年マンガを楽しむムキには全く問題ないんだからね。
 『コナン』ファンのサイトや日記を覗いてみても、ミステリとしてトリックがどうだとか、動機は自然かとか、そんなことほとんど触れられてないし。
 だから今巻でも、毛利小五郎と妃英理のナレソメのころが語られたりすると、それだけで充分満足しちゃうんだろうね。
 しかし、いい加減、ダイイングメッセージものはやめよう。マトモなミステリ作家なら、こんな不自然なモノはないと知ってるから、よっぽどいいトリックを思いついたんじゃなきゃ、イマドキは新本格の作家だって、こんなネタは扱わないよ。
 黒の組織の手がかりを入手ってことは、そろそろ『コナン』も最終シリーズに突入か? って感じだけど、映画『ベイカー街の亡霊』もシリーズ最大のヒットを飛ばしたそうだし、こんなドル箱を今のサンデーが手放すかね? もしかして作者は40巻で切りよく終わりたいとか考えてるかもしれないけれど、あと3年、50巻までは続くんじゃないか。
 これもどーせ、時の流れは止まってるんだし(それだけでも本格ミステリとしちゃ許せないよな)、新一が帰ってこなくても、出席日数不足で退学になったりはしないだろうよ(^o^)。

2001年06月13日(水) とんでもございません(←これも誤用)/『少女鮫』6〜9巻(和田慎二)ほか



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