無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年02月19日(火) さだまさしファンだったことが恥ずかしくて言い出せないやつ多いと思うぞ。……私もだ/『シックス・ボルト』(神野オキナ)

 きょうのお仕事。
 シュレッダーの前に椅子を置いて座る。
 要らなくなった書類をどんどこぶちこむ。
 うぃーん、ばさばさばさ。
 ときどき詰まるので、ペン先でほじくり出す。
 ほじほじほじ。
 また、うぃーん、ばさばさばさ。
 急に機械が、へにょにょにょにょ、と止まる。
 「ごみがたまりました」の表示。
 ゴミをビニル袋に入れてまとめる。
 機械が止まると、途中まで突っ込んでた紙がまた詰まってしまう。
 ほじほじほじ。
 またまた、うぃーん……。

 これで一日は終わり。
 全く、忙しいんだかヒマなんだか。


 さて、みなさんに、ここでクイズを出そう。
 大修館書店の『言語』という雑誌に、投稿されてた質問だ。
 「氷やドライアイスから立ち上るあの白い気体、名前は何というでしょう?」

 かち。
 かち。
 かち。
 かち。
 かち。

 ちーん。

 さて、君の答えは何かな?
 靄(もや)? うーん、それは水面に立ちこめてる気体のことだね。ちょっと違うなあ。
 霞(かすみ)? 霧(きり)? それも山とか平野とか、広範囲なところに一面、立ちこめてるって感じだよね。

 では、正解を言おう。
 「ゆげ」である。

 氷のゆげ?
 どうして?
 「ゆげ」って「湯気」って書くんでしょ? 氷から出てるのに湯気?
 変じゃん! ……というみなさまの声が聞こえてくるようだね。
 でも、これホント。
 ちゃんと『日本国語大辞典』に書いてあるんだよね。氷から立ち上る白い蒸気のことって。

 それでも納得いかない人のために、じゃあ、もう一つの正解を教えよう。
 「けむり」である。

 ケムリって、火が燃えたら出るやつじゃん!
 漢字だって「煙」って「火へん」がつくぞ!
 もっと納得いかーん!

 でも、中国語でも「煙」の字をアテてるんだよね。
 要するに、「それを出すものが何であるか」ってことは全く昔の人は気にしてなかったってことなんだね。
 白くて気体だったら、それは全部「ケムリ」。
 コトバが意味を正確に伝えるものなんかじゃないってことが、こういう実例からもよくわかるねえ。


 アニメ『しあわせソウのオコジョさん』第20話「ツカハラ、夢の日々/オコジョ番長!日直編」 。
 たまにしか見ないんで今まで気がつかなかったけど、アニメのオコジョさん、「コジョピー」って名前がついてるのね。
 原作では確かナナシだったと思うけど。
 原作が短いから、1話にするのにいろいろアレンジ加えてるけど、どっちかっつーと、面白くないギャグを面白くしようと腐心してるようにも見えるな、原作者には悪いが。
 でもまあ、オコジョに日直をさせるのは無理がある……と考えたところで、あっ、これって、何かのパターンに似てると思ってたけど、小林まことの「What's Michael?』じゃん、とやっと気がついた。
 うーむ、おもしろくはあるけどイマイチハマれんなあと思ってたのは二番煎じだったからか。納得。


 夜、しげが、「もやしマヨネーズ、自分で作っても全然おいしくならん」とブチブチ文句を言うので、湯がいて、よく水を切ってメシに乗せてつくってやる。
 「どうだ? うまいか?」
 「……うまい」
 やっぱり作り方がザツなだけだな。

 更に目玉焼きに生姜焼肉、ごま塩フリかけのおにぎりを作ってやる。
 「食べ終わったら、皿渡せよ」
 「ああ、わかった」
 この「食べ終わったら」というのは、私は「自分の分を食べ終わったら、残りを渡せ」と言う意味だったのだ。だって、目玉焼きも二つ、生姜焼きも山盛り、お握りも四つ作ったのだ。
 普通、これ見りゃ「二人分」と誰もが気付くと思う。
 でも「はい、食べたよ」と返されたのは、カラの皿。
 「……オレのは?」
 「……ああ、ゴメン、全部食べた」
 すぐ謝ったから許したけどさあ(しげが「謝っても許してくれない」と私のことを非難するのがウソだということがこういうところでもわかる)、でも気がつけよな、量見て……って、考えてみりゃ、日頃から二人前三人前をペロリと平らげるしげに「二人分」という感覚がないのも当然だったのだ。
 宴会とかじゃ、ネコかぶって少食のフリするくせに。かぶらんときもあるからもうバレてるか、こいつの本性。


 ニュースを見ていると、宮崎駿が、金熊賞の受賞記者会見で「自分の映画が子供をダメにしてる」と発言。
 わあ、また例の「宮崎節」だ。
 もちろん、こんなことを宮崎さんが本気で考えてるわけないんで、だったらとうの昔にアニメーター辞めてるに決まってる。
 世間じゃこの宮崎さんの「言ってることとやってることが違う」ことに反発してる人も多いようだが、なあに、昔からのファンにはこのテキトーぶりが楽しいんですって。
 だって、『やぶにらみの暴君』パクリまくっときながら、「今の若いアニメ作家はみんなコピーのコピー」なんて言っちゃう人ですもん。お前はオリジナルマモーか。
 もちろん、宮崎さんにホラ吹いてるって自覚がないわけがない。あの無責任さ、テキトーさは明らかに確信犯なんである。
 あのさ、植木等の無責任男、公共の場では「これからのニッポンはぁ」とか、必ず大層なこと言ってたよね、あれと同じなのよ。あるいは『炎の転校生』の伊吹。
 「心に棚を作れ!」
 自分を棚に上げずに、ものが言えるか! ってのがモットーみたいな人なんだから、我々はそのいい加減さを楽しんで見てりゃいいのである。
 ……ジブリのスタッフは大変だろうけど。


 東京都世田谷区の東急田園都市線三軒茶屋駅で、昨年4月、銀行員の牧顕さんが暴行を受けて死亡した事件で、東京地裁は19日、傷害致死罪に問われた少年二人に対して、検察側の求刑通り、懲役3〜5年の実刑判決を言い渡した。
 とまあ、ここまでなら、ごく普通の裁判なんだけどもね。
 さて、このあとが見モノだったんである。
 裁判長の山室恵氏、判決後に、「酔った被害者が絡んだとはいえ、命を奪われるまでの落ち度はなかった。遺族らの無念さは察するに余りある」と述べたあと、「唐突だが、さだまさしの『償い』という歌を聴いたことがあるだろうか」と二人の被告に問いかけたのだ。
 ……あの、私、正直に言いますが、テレビの前でこけました。
 あの、ガッコーのセンセーが生徒叱るんじゃないんですよ、裁判ですよ、しかもよりによってさだまさしの『償い』〜?
 あの、私がコケた理由、ちょっとわかりにくいと思うんで、さだまさしの『償い』、ちょっと引用しますね。

  月末になるとゆうちゃんは 薄い給料袋の封も切らずに
  必ず横町の角にある郵便局へ とび込んでゆくのだった
  仲間はそんな彼をみてみんな 貯金が趣味のしみったれた奴だと
  飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

  僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ
  たった一度だけ 哀しい誤ちを犯してしまったのだ
  配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
  ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた

   人殺し あんたを許さないと
   彼をののしった被害者の奥さんの涙の足元で
   彼はひたすら大声で泣き乍ら
   ただ頭を床にこすりつけるだけだった
 
   それから彼は人が変わった
   何もかも忘れて 働いて 働いて
   償いきれるはずもないが
   せめてもと毎月あの人に仕送りをしている


  今日ゆうちゃんが僕の部屋へ泣き乍ら走り込んで来た
  しゃくりあげ乍ら彼は一通の手紙を抱きしめていた
  それは事件から数えてようやく七年目に初めて
  あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

  「ありがとう
   あなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました
   だからどうぞ送金はやめて下さい
   あなたの文字を見る度に主人を思い出して辛いのです
   あなたの気持ちはわかるけど
   それよりどうかもうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」
 
   手紙の中身はどうでもよかった
   それよりも償いきれるはずもないあの人から
   返事が来たのが ありがたくて ありがたくて
   ありがたくて ありがたくて ありがたくて
 
   神様って思わず僕は叫んでいた
   彼は許されたと思っていいのですか
   来月も郵便局へ通うはずの
   やさしい人を許してくれてありがとう
 
   人間って哀しいね だってみんなやさしい
   それが傷つけあってかばいあって
   何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
   とまらなくて とまらなくて とまらなくて

 あー、この詩を読んで感動した人にはすみません、私はこの詩にゃ全然泣けんのです。
 裁判長は、「この歌の、せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君らの反省の弁が人の心を打たないか分かるだろう」と諭したとか。
 さらにさだまさし本人も、「交通事故で夫を亡くした知人から聞いた実話が元になった歌です。加害者を許した被害者と、被害者からそのような言葉を引きだした加害者の誠実さの両方に心を動かされました。裁判長は二人の少年に、誠実な謝罪こそが人の心を開くんだと言うことを訴えたかったのではないでしょうか」と話したとか。
 そうかあぁ?
 「加害者が被害者を許した」って、ホントにそうかぁ?
 いや、広義に解釈すれば「許す」範疇に入ってると言えはするだろうけれど、この詩の中の被害者の奥さん、はっきりと「あなたの文字を見る度に主人を思い出して辛いのです」って言ってるんだぜ?
 前後の「あなたの優しい気持ちはとてもよくわかりました」とか「もうあなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」とか、方便でしょ?
 「二度とアンタとは接点持ちたくない」って言ってんだから、これ、完全に「拒絶」じゃん。普通「拒絶」を許されたこととは言わんぜ。
 これなら、自分のクビ締めながら泣いてる相手に向かって、「気持ち悪い」って言ってやるやつのほうがよっぽど相手を許してるだろう(^o^)。

 この奥さんが優しい人だってのはそうかもねえ。
 「『あなたの手紙を受け取ると、こいつカネさえ払ってれば償えると思ってるのか、ああ殺してやりたい復讐してやりたい』って気になるから手紙送らないで」なんて書かないもの。いや、もともとそんな人じゃないんだろうけどさ。
 仮にこの「ゆうちゃん」が誠心誠意、償う気で送金してたとしても、それは被害者の生を取り戻すことにはならない、どうやったって償うことなんてできないんだって「限界」を露呈しているのだ。
 それをよくもさだまさし、「やさしい人を許してくれてありがとう」なんてあまったるい解釈ができたもんだ。
 さらにそれを引用する裁判長も、これで本気で被告が反省すると考えたのかね。ヘタすりゃ、「送金し続けたらいつか加害者の遺族も許してくれる」なんて甘っちょろいこと考えた可能性だってあるぞ。なんたって実刑とは言え、人を一人殺しといてわずか3〜5年で出てこれるんだからよ。
 詩なんてさあ、読む人間によってどうとでも解釈できるんだから、こういう「裁判」みたいにキッチリした解釈を下さなきゃいけない時に語ったりしていいものじゃないよ。
 そう思いません?

 
 神野オキナ『シックス・ボルト』(メディアワークス/電撃文庫・640円)。
 うーん、エヴァンゲリオンチルドレンか? これも。
 作者はそう思われたくないかもしれないけどさあ、イラストからして似てるんだからしゃあないって。
 2015年(ジェッターマルッスゥー♪)、異星人から一方的な宣告を受け、地球の存亡を賭けて限定戦争が行われることになり、戦士として選ばれたのは17歳の高校生たちだった……。
 ってまあ、なんだかモトネタを探るにこと欠かないような設定もそうだけどね、読んでてアタマ抱えたのが、主人公たちのネーミングよ。
 真永見由宇(まなみ・ゆう)!
 久遠院氷香(くおんいん・ひさか)!
 間月 蛍(まづき・けい)!
 アイラ・クォレル!
 黒原梨津絵(くろはら・りつえ)!
 ……どこの世界の人間じゃ。
 安藤隆信(あんどう・たかのぶ)って普通の名前のやつも出てくるけど、ザコキャラだし、何となくあの俳優さんに名前が似てるんで、もしかして作者がファンか? という疑いも捨てきれない。
 しかもよう、氷香と蛍はレズの関係でさあ、でもそのことが本筋にはさして関係してこねーの。単なる「彩り」ね。……んな彩り、要らん。
 黒原っつーのが地球人側の司令官なんだけど、これが主役陣たちと全くと言っていいくらい関わらない。……だったらこんなキャラクターなんかいらねーじゃん。黒原が無能な副官を罷免するエピソードなんがジャマなだけだ。そういうの書けば戦争のシリアスさが出せるとでも思ってるのか? 甘いよなあ。
 もちろん、戦いの中で死ぬキャラも出て来てさ、戦争ってなんなんだよう、みたいな展開もあるんだけど、それがもうどうしようもなく甘い。
 愛する相手が殺されて、それまでは冷静だったやつが途端に激昂して、敵に向かって絶叫しながら突進してくなんて陳腐な展開、これまでどれだけ見せられてきたことか。ロボットアニメか。
 もう、ホントに妄想の中だけで作ったって匂いがプンプンしてるよねえ。
 あれっスよ、高校の文芸部崩れで、今までヤオイ小説しか書いてなかったような女の子がだよ、私もえっちものばっかじゃなんだしぃ、ちょっとシリアスなものを書いてみようと思ってぇ、それからぁ、SFにもしてみましたぁ、っつーてよ、書いてみたはいいけれど、やっぱり自分のシュミモノになっちゃったって、そんな感じィ?
 こないだ読んだ『コンセント』も結構恥ずかしい小説だったけど、この『シックス・ボルト』も相当恥ずかしい。いろいろリクツをこねくり回してるけど、結局アンタがやりたいことって耽美? ってのが見えちゃうとこがねえ。
 この流れって、絶対『グイン・サーガ』っつーか栗本薫の悪影響だよな。
 せめて、ヒロインの名前を権田原花子にしても、ちゃんとシリアスが書ける筆力を身につけてから小説は書こうね。



(訂正&お詫び)
 ……とかなんとかヒデエこと書いたら、作者の神野さんから、「名前は実在人物と重ならないためにワザとしたことです」とご丁寧なメールを頂きました。うーん、こんな無名日記のいい加減な記事にまで目を通していただけるとは……。
 この日記を書いた時、こう思ったのは事実なんで、今更削除はしませんが、ネーミングの件については私の完全な誤読ですので、ここに訂正させていただきます。作者の神野さんにも不快な思いをさせてしまいました。申し訳ありませんでした。



 ああ、一回書き上げたやつがなんかパソコンがイカレて消えちまったんで。UPするのに時間がかかっちまった。
 うっうっうっ、神様に見離されてるよう(T-T)。

2001年02月19日(月) 語源の楽しみ/ミステリチャンネル『ポワロと私』ほか



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藤原敬之(ふじわら・けいし)