無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年02月18日(月) くまくまくまっ/アニメ『エイトマン』第1話「エイトマン登場」/『すべてがFになる』(森博嗣原作・浅田寅ヲ)ほか

 さてさて、まあとりあえずは“めでたい”ことから。
 宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が、第52回ベルリン国際映画祭の最高賞の金熊賞に、イギリスとアイルランドの合作でポール・グリーングラス監督の「血の日曜日」と並んで選ばれた。
 センパイが作ってるアニメであるにもかかわらず、『千と千尋』を私は貶しまくっている(^^)。だってさぁ、実際、過去の作品(『ナウシカ』以前ね)よりつまんないんだから、しゃーないじゃん。
 もっとも、映画祭の都都逸だか洋喇叭だかの審査員たちが、宮崎アニメに触れたのはこれが初めてかもしれないし、ショック受けたのもわからんわけでもない。審査員長はインドの人だっていうから、宗教的な偏見がなかったのも幸いしたんだろう。
 もちろん、この受賞に不服な人たちも、世界には多いと思う。
 『ハリー・ポッター』と同じように、「あのような原始的アニミズムを礼賛するような反キリスト教的映画は云々」とかなんとか、バカガイジンが喚き出すんだろうってことも見当つくし。
 誉めるにしろ貶すにしろ、文化的背景を何も知らずにガイジンさんはモノを言うから、今回の受賞だって、そんなに素直に喜べるものじゃないんだよねえ。

 けど更に予測がつくのは、日本のジャーナリストやヒョーロンカ連中が大慌てで、かつて『千と千尋』を貶してた人が誉め直したり、逆にあくまで頑強に否定したりとか、醜態をさらすだろうってことだ。
 ちょうど、黒澤明の『羅生門』をその年の5位に留めた『キネマ旬報』の評論家連中が、同作がベネチア映画祭金獅子賞を取った直後から、掌を返したように
誉めそやし始めたように。
 他人の批評とか、賞を取ったとか、そんなこととは関係なく映画を見ることができる評論家ってホントに少ない。気がついたらそういう「権威」に振りまわされてたってことが、アタマよさげなヒョーロンカほどあるんだよな。

 当たり前の話だが、どんな映画にだって、いいとこ悪いとこ、両方ある。
 視点を変えてみれば、いいものを悪く、悪いものをよく評価することだってできる。
 だから、批評をする際に絶対に考えておかなければならないことは、自分が、あるいは他人が、それぞれどういう文化的フィールドに立ってモノを言っているのか、それを明確にする必要があるってことだ。でなけりゃそれはただの「感想文」にしかならない。
 「批評」とか「評論」ってのは、実は単体で成立するものじゃなくて、他人との間で交わされる弁証法なんである。だって、批評って、その批評するための対象となるべき概念がなきゃ成立しえないんだし、その時点で「対象=他者との接点」は生まれてるわけよ。そんなこともわからないエセ評論家がどれだけ多いことか。

 宮崎さんがそういうエセ評論家を相手にするはずもないから、たいていは犬の遠吠え程度にしか聞かれないだろうし、そんなヒョーロンモドキは泡沫のように消えていくだろう。
 本当に消しちゃならないのは、「『千と千尋』が賞を取った」なんて、ただのお題目じゃなく、ある映画が人に見られ、語り継がれ、また人に見られて行く、その「中味」であり、そういう過程をたどる「歴史」なんである。
 さあ、せっかくベルリンがきっかけを作ってくれたのだ。
 まだ食わず嫌いで『千と千尋』を見に行っていないやつ、誉めるも貶すも君の自由だ。今から映画館に走れ。
 しげ、お前のことだよ。


 頭痛が激しい。
 しげが「不潔にしてるからやん。風呂に入って歯磨いて髪洗ったら治るよ」というのでそのとおりにしたらますます痛くなった。
 しかたがなく寝たら、そのまま五時間、くたばったまま。
 寝る時間が不規則になって、またまた体調不良に。
 夜、しっかり寝たいことは寝たいんだけど、夜ほどやりたいことが増えるんだよね、ホントにどうしたらいいんでしょ。


 CSファミリー劇場『エイトマン』第1話「エイトマン登場」。
 平井和正・桑田次郎の原作は『8マン』だがアニメは『エイトマン』。周知のことだが若い人のために老婆心です。
 放映期間が昭和38年11月7日から39年12月24日ってことは、私ゃ0歳から1歳だよ。
 でも、確実に本放送で見てるし(再放送を見た記憶はない)、「あ、『鉄腕アトム』や『鉄人28号』より絵がカッコイイ!」と思った記憶はあるから、0歳でもうモノゴコロはついてたんである。アイキャッチは「おお、こうだった!」ってはっきり思い出したし。そんなこと言ってるとなんかすごいみたいだけれど、私と同世代の人間ってたいていそうなんだよね。当時はオトナたちはシャカリキになって「テレビばかり見てるとバカになる」って、百万言を費やしていたが、テレビアニメが私を初め、当時の子供たちの脳を活性化させたことは間違いないことなんである。

 もちろん、40年も前の、テレビアニメ創世記の作品であるから、脚本も稚拙、作画技術・演出ともに稚拙、というのは事実である。
 今の子供たちが見て面白がるかっていうとそれは確かに難しかろう。
 にも関わらず、意外に、本当に意外なのだが、ドラマツルギーの骨格自体は結構しっかりしているのだ。これには驚いた。

 警視庁の刑事・東八郎(声・高山栄)はピストル強盗・でんでんむし(声・近石真介……多分)追っていた。しかしそのワナにかかり、逆に車で轢き殺されてしまう。
 そこにやってきた谷大和博士(村松為久)、東八郎の脳がまだ生きている、と死ぬ前にその人格と記憶を開発したばかりのスーパーロボット・エイトマンに移植する。
 しかし、スーパーパワー、高速移動、変身能力などを有するエイトマンだったが、東八郎の死体が残っている以上、元の刑事に戻ることはできなかった。でんでんむしを捕まえたエイトマンは、そのとき救った関サチ子(上田美由紀/現・みゆき)を秘書に、探偵事務所を開くことにする。
 警視庁には七人のセクションが七つある。しかしエイトマンはそのどれにも属さない八人目の男……その正体は谷博士と田中善右衛門捜査一課長(天草四郎)しか知らないのだ。

 脚本は原作者平井和正本人。
 谷博士がちょうど東八郎の殺害現場に現れたのはなぜかとか、谷博士が八郎の死体を隠しとけば元の刑事として復帰できたんじゃないかとか、設定の細かいミスはいくらでもあるんだが、八郎がロボットになってしまった悲しみ、自分の力を悪用することすら可能というジレンマ、それを乗り越えて正義のために戦う決意、その感情の起伏こそがドラマツルギーを生み出すのだとツボを平井脚本は抑えてるんである。
 まあ、悪党の名前が「でんでんむし」であるとか(コケるとホントにでんでんむしになる。オイ)、警官が何十人も一台のパトカーに乗りこむとか(『ブルースブラザーズ2000』の40年前……ってモトネタは『オペラは踊る』だね)、このあたりの今見ると苦しい場つなぎギャグが、もともと脚本にあったとは思えないけれど、技術の無さを細かいカットの畳み掛けでカバーして見せようって演出、なかなか意欲的である。

 関係ねーけど、この記事書くのに、エイトマンのスタッフとか声優とか、ネットで調べたけどまとめてキチンと書いてるサイト、ひとつも無いぞ。
 昔のアニメのデータ、やっぱりどこかでキチンと保存しておこうよ。


 給料日前でそろそろ生活費が底をついてくる。
 もちろんDVDボックスとか買わなきゃカネは減らないのだから、自業自得である。
 食事を安上がりですませたい時はガストに限る。
 ということで、今晩のメシは目玉焼きハンバーグ380円、二人で760円。 最初は「吉野家に行こうか? 200円かそこらで牛丼食えるよ」って言ったんだけど、しげが「吉野家って牛丼か牛丼か牛丼しかないんよ、選べないじゃん!」とのたもうたので、ガストにしたのだ。
 でもここだって安いの食おうと思ったらハンバーグかハンバーグかハンバーグしかないんだが。


 夜はまたまたチャット。
 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』の話やらで盛りあがる。いいオトナが「私も泣いた」「俺も泣いた」なんて喋りあってるなんて、異常な状態(^_^;)。
 そこのHPの管理人の方が、「まだ『オトナ帝国』」を見ていない」と仰るので、みんなで「見ろー」「見ろー」と洗脳する。
 もう、こうなると立派な宗教だ(^o^)。


 マンガ、森博嗣原作・浅田寅ヲ作画『すべてがFになる』(ソニーマガジンズ・651円)。
 えー、私が買ったのは「ソニーマガジンズ」版ですが、今は「幻冬舎」に版元が移っとります。ずっと読んでなくてほっぽらかしてたんで、感想書くのが遅れちゃいました。
 うーむ、浅田さんの絵は嫌いじゃないんだが、小説読んでるとやっぱり違和感あるなあ。
 犀川はもっとムサイ印象だったし、萌絵ちゃんはもうちょっと理知的な顔立ちを想像していた。黒目がちっつーか、どこを見ているかわかんないようなキャラデザインで、どっちかっていうと白痴的にすら見える。
 いや「白痴的」ってのは私の主観か。見る人によってはかわいいのだよ、これが。
 もちろん萌絵ちゃんは犀川の「ホームズ」に対する「ワトスン」なんだから、絵にする時はバカっぽく描いたっていいんだろうけど、それは実は安易な手段。理知的に書いて理知的でない行動取らせた法がリアルなんだよな、本当のとこは。
 けれど、マンガになっても、原作小説の、ミステリーのトリックとしては物理的に成立不可能ないくつかのミス、修正されてないね。もっとも修正のしようもないし、修正する気もないんだろうけど。でもオビに「ミステリィ」と銘打つのはやめたほうがいいよなあ。


 マンガ、北崎拓『なんてっ探偵アイドル』7巻(小学館・530円)。
 ……なんか、5、6巻まとめて1回の感想で充分じゃねーかって気がしてきたなあ。一応ミステリィだから、ルール守ってトリックのミスとかいちいち書かねえしよう。
 もっとも更に5、6巻も続くかどうかわからんが。でも7巻まできたし、意外と行くかも。行くのかホントに(+_+)。
 でもスゴイよー、怪盗リストのピアノ消失トリック。
 どんなバカなミステリ作家でも、ここまでのバカトリックを考えつけるか(いや、考え付いても恥ずかしくて書けんだろう)ってくらいスゴイからねー。
 いいよなー、今はどんなバカでもミステリーが書ける時代で。こんなんでいいのなら、ホントに百本でも二百本でもミステリー書けちゃうよなあ。
 まあ、思いっきり貶してるけど、絵が安定してきてアキラちゃんがかわいいので許す。多分8巻も買う。マジかよ(^_^;)。

2001年02月18日(日) HPの原稿はまだ1/10程度です/ドラマ『百獣戦隊ガオレンジャー』第1話ほか



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