無責任賛歌
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2002年02月12日(火) |
気がついたらマヨラー(笑)/『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』(上遠野浩平)/『大秘密』(W・パウンドストーン) |
もやしマヨネーズに凝っちゃってるので、仕事帰りにしげとスーパーに寄って、もやしを買い込む。 けど、このなんでも調味料は「マヨネーズ」って人、最近増えたらしいんだよなあ。 通称「マヨラー」って言うらしいけど、おかしかないか? いや、その行為じゃなくて、文法が。 どうせ和製英語なんだろうけれど、「〜を好きな人」って言い方なら、単語のあとに“ian”とか“er”とか“ee”をつけるんじゃないのかね? だから「マヨネージャン」とか「マヨネーザー」とか……。 やっぱ語感が悪いか。でも「マヨラー」だっていかにもバカ臭いぞ。 第一「ラ」音なんて、「マヨネーズ」って単語のどこにもないじゃんか。 せめて「マヨナー」って言えんのか。
ちょっとここで面白い考察をさせてもらうと、この「〜ラー」という言い方、いわゆる「アムラー」とか「シノラー」の流れなんじゃないかって考えることもできるってことなんである。 「マヨラー」って言い方には、あまり後ろ向きな感じがない。だいたい自分で自分のことをそう呼称してたりするんだから。 つまりはこれって「ファッション」の一つなんであって、「私は安室奈美恵が好きなの〜」ってレベルで「私、マヨネーズしか食べられない人なの〜」って言ってるんじゃないのか。 偶然、「安室」のロ、「篠原」の「ラ」がラ行音だったから、「ラー」という言い方が定着しちゃったんじゃないか。 でも、オタクの誰もが一度は思うのは、「『アムラー』も『シノラー』も、怪獣の名前みたいだよな」ということであろう。オタクの10人中6人が「ケムラー」を、3人が「ベムラー」を、1人が「デスラー」(^o^)を思い浮かべたろうことは想像に難くない。 もちろんここで、実際にアムラーの外見も……なんてことを言っちゃうと、迷惑メールがどっと押し寄せてくることになるので書かないのである。
晩飯はスーパー前の「マルちゃん」でうどん。 しげは月見うどんコロッケ、私はカレーうどんコロッケ。 そんな濃いもの食って、もやしダイエットはどうなった(笑)。
夜、東京のこうたろうくんに緊急の電話。 ゴールデンウィークに公演予定の『シティボーイズミックス presents パパ・センプリチータ』のチケットの予約を頼むかどうかの確認。 「一枚頼むよ」ということだったので、ホッとする。 実は上京した時にはこうたろうくんの家に泊めてもらってることが多いのだが、そのたびに「シティボーイズに全く興味がないのに付き合いで一緒にいてくれてるのかなあ」とか、「ホントは「たかが芝居のためにわざわざ上京?』なんて思ってるんじゃないか」とか考えてて、ドキドキものだったんである。 いや、彼がそんな人ではないということはわかっちゃいるんだが、疑心暗鬼というか自意識過剰というか、小心者はつい考える必要もないことも考えてしまうのである。 電話をしている最中に、こうたろうくんが突然、「ちょっと待って、今こっち地震で『揺れてる』から」 「……エッ!?」 もちろん福岡は微動だにしていないから、一瞬、状況がつかめなくてきょとんとする。それにこうたろうくん、非情に冷静で、口調が少しも乱れていないものだから、ますますどの程度のものなのか解らない。 慌ててテレビを見ると、確かに関東地方で地震の速報。時間は午後10時44分。 関東地方を結構広範囲で襲っている。東京は震度3くらいだが、地方によっては震度4、5のところも。……掘建て小屋とかだったら、倒壊してるのもあるんじゃないか。 こうたろうくんが電話口に戻って来たので、思わず「どうだった!?」と聞いてしまったが、どうにかなっていたら電話口に出て来ないって(^_^;)。 「子供が起きてきちゃったよ」と、こうたろうくん、笑ってるが、こんな時、やっぱり真っ先に子供のことを心配するんだなあ、とホロリ。 用件は一応終わったのだが、必然的にそのあとの内容が濃いこと。 そこまで書いてたら、この日記の字数制限をオーバーするので省略(^^)。
夜中にまたまたチャット。 私も私だが、どうしてこの某掲示板には毎夜毎夜(昼もだけど)人が集まるのだ。みんなそんなに寂しいのか。 いや、これは揶揄ではなくてね、チャットやメールなど、ネット通信の弊害を説く人は多いもので、それはそれで理解できないことでもないので、参加する以上は「自分の心の慰め」のためにチャットに集まってる方々を利用しちゃいかんなあ、と自戒しているわけです。 それにしても「某掲示板」なんてまどろっこしい書き方、そろそろやめたいんだが、この日記では私の職業を隠しているが、アチラではもうバンバン正体明かしまくってるので(けど福岡に住んでるのはヒミツ)、二つがつながっちゃうと、パズルを解くように私の正体に近づかれてしまうので、まだまだヤバイのである。……ったって、固有名詞はどこにも出してないのになあ。 職場に基地外さんが多いと、こんなことまで気を使わなきゃならんのが面倒くさいことこの上ないのである。
上遠野浩平『ブギーポップ・アンバランス ホーリィ&ゴースト』(メディアワークス/電撃文庫・578円)。 『ブギーポップ』シリーズも第10作(11冊)。 時間が前後しつつ、わずか三年から五年程度の間の出来事を十作も書くというのはなかなか大変じゃないかと思うが(少し整合性も怪しくなってるし)、まあ、もともと「本筋」というのがある話じゃないから、いっか(^^)。 考えてみたら、「外伝」だけでストーリーを続けていくってのも、ウマいアイデアだよな。「とりあえず今までの話は横に置いといて、新しいキャラで始めます」ってことも出来るんだし。 というわけで、今回もいきなりの新キャラ登場(^o^)。
駐車場で自転車を盗もうとしている少女、濱田聖子を偶然見かけた高校生・結城玲治。 未来に何も希望を持たない彼は、気まぐれで「こっちのほうが速いぜ」とスクーターを盗み、聖子と一緒に逃亡する。 しかしそのスクーターにはどういうわけか、プラスティック爆弾が仕掛けられていた。 運よく爆発からは免れた二人だったが、その爆弾を仕掛けたらしい謎の男たちに追いかけられるハメになる。 男たちの車を盗み、更に逃亡を続ける二人に、カーナビの画面に突然現われて語りかけてきた包帯だらけのイタチのCG“スリム・シェイプ”。 イタチは二人に、いたずらっ子のように告げる。 “ロック・ボトム”。それは世界の敵たる兵器。その解放を阻止すること。 「世界の運命は君ら二人の肩に掛かっているんだぜ」……。
ある意味、このCGイタチの「スリム・シェイプ」の方が、タイトルロールの二人より目立っちゃいるんだが、実のところこのキャラクター造型はそう深いものではない。彼の正義感(?)は、そのバックボーンになっている設定のわりにはいささか浅薄だ。 やはりなんといっても魅力的なのは、ホーリィこと濱田聖子と、結城玲治ことゴーストの「俺たちに明日はない」コンビ(^^)。 うん、ホーリィはいいわ、なかなか。 「いつかあたしが、なんていうか――うまくやれる時が来る。あたしはどっかでズレてるけど、それがいつか、ぱちっ、とうまくハマるときが来るのよきっと」 こういう根拠のない自信を持ってるやつって、現実には単なる妄想家だったりするんだけど、物語の中なら人生に前向きなキャラってことでヨシ。 そのあとでちゃんとゴーストから「そんなことばっかり言ってるから、カスみてーな男にばかり引っかかるんだよ」って茶々入れられてるし。 この二人にボニーとクライドのイメージが重ねられてるのはハッキリしてるんだけれど、そういうルーツ探しは本作の場合、あまり意味はないな。これはかつての映画へのオマージュでもなんでもない。 なんだかなあ、みんなうんざりしてると思うんだよねえ、男と女がそこにいりゃあ、必ず惚れた腫れたの話になるってのが。 恋人、しからずんば他人、みたいな両極端でなきゃ許せないのかね。でも、そうでない男女ってのを書いてみたい、読んでみたい、という欲求が、90年代のクソつまらんトレンディドラマの残骸の果てに生まれてきてるんじゃないか。 恋人でも友達でもない、全く偶然の係わり合いで誕生してしまった、「犯罪者」コンビ。それがホーリィ&ゴースト。できれば今後のシリーズにも出演してほしいけど……難しいかな。 もちろん、ブギーポップ・宮下藤花に炎の魔女・霧間凪もちょびっと登場するが、あまり出さなくても話作ることが出来たんじゃないかってくらいに今回は番外編的。 しかし、『歪曲王』『ペパーミントの魔術師』の寺月恭一郎がどうしてあんな「遺産」を残したのか、いかにも意味ありげに登場してきてほとんど何もせずに去って行った雨宮世津子こと“リセット”はこれからのストーリーにどう絡んでくるのか、だいたいこの「世界の敵」との戦いに終わりはあるのか、など、伏線が増えるばかりで、10巻を費やしてもまだまだ先が読めない。 でも、できればせめて20巻くらいで抑えてくれないかな、トシヨリにはこうも増え続けるキャラの名前を全部はとても覚えられないし。『大菩薩峠』じゃないんだからよう。
ウィリアム・パウンドストーン/田村義進訳『大秘密 ―噂・都市伝説・憶測の真相あばきます―』(“BIG SECRET”/早川書房ハヤカワ文庫・693円)。 マクドナルドがネコの肉使ってるとかミミズの肉使ってるとか、マコトシヤカな(そうかあ?)都市伝説はたくさんあるけれど、その中にはアメリカ経由のやつも結構多い。 その真相を調査しようってのがこの本の趣旨なんだけれど、まあ、面白いことは面白いが、マジメ過ぎて「ツッコミを楽しむ文化」を持つ我々日本人としてはちょっと物足りなかったりする。
「ケンタッキー・フライド・チキンには11種のハーブとスパイスが使われてます」という宣伝文句がウソだってことを、食品研究所に依頼して確かめさせてるんだけど、これってただの詐欺じゃないのか。 11種類どころか、その材料は次の通り。 鶏肉・油・スキムミルク・卵・小麦粉・塩・黒胡椒・グルタミン酸ソーダ。これだけ。……結論。ケンタッキー・フライド・チキンは下北沢の一般ご家庭でも作れます(^^)。
ほかにもコカ・コーラのレシピとか、郵便物をただで送る方法とか(でもこれは注意深い郵便局員なら見抜くと思うぞ)、嘘発見器に嘘つく方法とか(残念でした。この方法はもう八十年も前に江戸川乱歩が考案してます。その方法の欠陥も含めてね)、ユリ・ゲラーの超能力のヒミツとか、サブリミナルCMに効果はあるのかとか、題材そのものは興味深いんだけど、「そんなんわざわざ説明されんでもわかる」ってネタも多いんだよねえ。 結局は読み物なんだから、ただ、「アレはインチキだ!」って叫んだリ、そのインチキさを説明するだけじゃなくて、「そういうインチキを考えつきたくなる人のココロの面白さ」にまで、思いを致してほしいものなのである。
2001年02月12日(月) 来年の『ゴジラ』はあるのか/『アニメージュ』『ニュータイプ』3月号
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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