無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年01月10日(木) ヒメ様ご出座/アニメ『七人のナナ』第1話/『トランジスタにヴィーナス』3巻(竹本泉)ほか

 仕事帰りの車での出迎え、「今日は時間通りに来るよ」と、しげが言っていたので、こちらも時間に遅れまいと、職場の前で待つ。
 ところが、約束とは裏腹に、5分待っても10分待ってもしげのロドリゲス(何度も言うがしげの車の名前だ)はやって来ない。
 いい加減シビレを切らして、もう一度携帯に連絡を入れる。
 「どうした? まだ来ないのか?」
 「今、向かってるとこ。もうすぐ着くよ」
 「寒いから少し歩くよ。坂の下で落ち合おう」
 「だめ! 職場の前で待ってて!」
 「……なんでだよ。こっちも歩いた方が、早く会えるだろ?」
 返事がないので、職場から離れて歩き始める。
 しばらくして、向こうのほうからしげのロドリゲスが……。
 あれ?
 しげの隣に乗ってるのは……。

 「つまんない。KC、全然驚かないんだもん」
 車の助手席でホントにつまんなそうに声を上げたのは鴉丸嬢だ。
 まあそれなりに驚いちゃいるんだが、かと言って、「わあ、ビックリした!」と言ってのけぞるほどのトシじゃない。
 でも、しげが「職場の前で待て」と言った理由がこれでわかった。
 鴉丸嬢、今度の舞台用の衣装、白雪姫かシンデレラって感じの(でも色は真っ赤)ビラビラを身につけていたのだ。
 「この衣装で出て来て、『KC〜!』って言って迎えようって思ってたのに」
 全くそういうイタズラだけはすぐ思いつくヤツらだもんなあ。
 けれど、準備に時間がかかって、職場までたどりつくのが遅れてしまったそうだ。肝心なところで間が抜けてんだよね。
 しげ、運転しながら説明をする。今日はこの衣装で撮影をするんだそうだ……って、どこで?
 「ウチのマンションでだよ?」
 「マンションのどこで」
 「玄関」
 「人が来るじゃん!」
 「だからアンタに一緒にいてもらおうと思って。なんか言われたら説明してね」
 日ごろ私のことを、見るからに胡散臭いとか普通にしてても浮浪者っぽいとか変質者っぽいとか散々悪口言ってるくせに、こういう時だけ責任者扱いか。卑怯なヤツ。
 でも、ドラマじゃあるまいし、通りすがりのマンションの住人が、姫の衣装に身を包んだヘンな人間がいたのを見たとしても、「アンタ誰!」なんて咎めだてするより、見ないフリして逃げるのが自然だと思うんだが。
 事実、その通りだったのである。あのとき不安な思いを抱いたマンションの人たち、どうもスミマセンでした。


 TVQ(テレ東系)アニメ新番、『七人のナナ』第1話「第1問!ナナ×7=ナナ?」。
 『味っ子』の、『Gガン』の、『ジャイアント・ロボ』の今川泰弘の新作ということで大いに期待。
 期待しすぎると見てみて「なーんだ」ってことになることが多いが、これは違った。
 まずは冒頭の語り口がいい。
 宅配便がいかにも旧家風の鈴木家に尋ねてくる。
 受け取りに出たのはごくフツーの女の子、ナナ。ところが、ナナの後ろからチラチラと現れるのは、もう一人、二人、三人……七人のナナ。
 「どうしてナナが七人になったか」ってのは、この冒頭の騒動の後に語られるのだ。やっぱり「ツカミ」がうまいよ、今川監督。
 しかも第1話だけあって作画のテンションもハイレベル。ガラスに映る通りがかりの人間までしっかり作画してんだもんなあ、芸コマ芸コマ。CG処理もうるさくなく、効果として使いどころを弁えている。この正月からの新番アニメはそれほどたくさん追っかける気はないんだけど、多分、これが最高の1本なんじゃなかろうか。
 けど監督、自分まで堂々と出演するのはやりすぎじゃないスか。

 バレンタインデーの日、憧れの神近君にチョコレートを渡そうとして、木枯・林葉・森沼の3人トリオに邪魔されて、せっかく作ったチョコを捨てられてしまうナナ。日頃は引っ込み思案なナナ、いつもならここですっかり挫折しちゃうところだが、親友の小野寺瞳に励まされて、もう一度チョコを作ろうと勇気を奮い起こす。
 ところが今度はオーブンレンジが見当たらない。
 どうやら研究者である六造ジイちゃんが、屋根裏の工房に持っていってしまったらしい。ナナがオーブンレンジを取り返そうとして、オーブンで焼かれていた中の物体を取り出そうとした瞬間……。その物体は輝きを放つや、7つに分裂し、ナナを異空間の中に取りこんでしまった!
 そしてその光が収まった後、ナナは七人のナナに分裂していた!
 笑ってばかりのナナっち。怒りんぼのナナっぺ。泣いてばかりのナナりん。のんびり者のナナっこ。冷静沈着なナナさま。ちょっとヘンな(女っぽい)ナナぽん。

 ……はい、おわかりですね、これ、もろにディズニーの『白雪姫』の七人の小人のパロディです。すなわち、「白雪姫」はあこがれの神近君というわけ。
 だもんだから、初めこそ普通の少女ラブコメの雰囲気になるかと思いきや、後半、新たに作ったチョコを七人のナナのうち、誰が手渡すか、と争い始めたとき……。オーブンから出て来た7つのプリズムハートが輝きを放ち、七人はスーパーパワーを発揮!
 空は飛ぶわ、京都(なんだろうな舞台は)の古寺や五重塔を爆破しまくるわ、街を破壊の渦に巻き込んで行く! って、お前らダーティペアかっ!
 ……やっぱりマトモなアニメ作る気はないみたいだぞ、それでこそ今川監督の真骨頂。テレビコードなんか気にせず、イクとこまでイッてほしいもんである。
 それにしても、声優さんがもう新人さん(なんだろうな)ばかりで全然わかんない。わかるのはジイさん役の麦人さんくらいだ。「鈴木ナナ」役が「水樹奈々」ってのは、タイトルに合わせて付けた芸名か? 島田陽子とか早乙女愛とか松田聖子みたいに(例が古いね)。
 のワリに、みんな意外に演技がウマイんだよねえ。主役の声、ちょっと渕崎ゆり子に似てて好みなほうだ。声優ブームが志望者を増やして層を厚くしてきてるのかなあ。だったらいかにもアイドル路線に走ったようなブームも、少しは役に立ってたのかもしれない。恐らく「どのナナが好きか」みたいな感じでファンも増えると思うが、私は当然、「ヘンなナナぽん」だ!(って力説してどーする)


 WOWOW新番『おねがい*ティーチャー』第1話「教えてティーチャー」。
 最初こそ謎の光が郊外に落ちて、それを目撃した主人公の記憶が消され……と、シリアスな感じで始まったのに、後半、SFっぽくなりながらも結局は巨乳セクシー女教師に純情な生徒があーもされたりこーもされたりとゆー、『いけない!ルナ先生』みたいな展開になっちゃったぞ。
 声優がまた井上喜久子おねえちゃんで「最優先事項よ!」を連発するんだが、何が最優先なんだか。
 どうしたんだ脚本の黒田洋介。自分で自分に癒しを求めたか。……まあ、『スクライド』も平行してやってるし、いろいろフラストレーションも溜まってるのかもな。


 『オフィシャルブック THE ゴルゴ学』(小学館・1890円)。
 謎本でゴルゴについてテキトーなことダベってたような本はあったけど、ここまでデータ主義に徹したオフィシャルブックもなかなか見当たらない。何しろゴルゴと寝た女のリストだけならいいが、そのときの「もだえ声」までリストを作ってるんだからバカだよなあ。
 「あ、あ……」「おお〜!! ああ〜!!」「アンン〜ッ! オオオ〜ッ!!」「あああ……トオゴオ……」「Oh! Give it to me!」って、そうかそうか、英語ではそうやって求めるのか……って、そんなんまでデータ取るか普通(-_-;)。
 で、私が選んだ(選ぶなよ)笑えるもだえ声ベスト3(ベストなのか?)。
 1,「すてき!! ああ……雨のサントロペ!! 恋のサントロペ!!」
 いやね、そりゃ雨も降ってて、そこはサントロペなのかもしれないけれど、例えば日本で「ああ……雨の中洲、恋の中洲!」とか「雨の道頓堀、恋の道頓堀!」とかヤってる最中に言うか? 売れない演歌じゃあるまいし。外国でだって普通、こんなセリフ言わんと思うぞ。
 2,「おおお〜っ ち、ちくしょうっ こ、こんなのってあるのォ!! 悪魔!! 人殺しっ!! あああ〜っ」
 ちゃんとゴルゴの正体を知っているところがすごいねえ。でも嬉しいなら素直に「天国よ〜」とか言えよ。もちろんこの女は後でホントに殺されるのである。
 3,「お、男だよっあんたは男だよ〜っ!! 煮えてるよ〜っ!! 煮えたぎってる!! オオオ〜ッ!!」
 ……男だとなんか煮えるみたいです。
 つくづく、アホとしか言いようがないが、これって充分、「トンデモ本」ってことにならんか?

 そのほかにも、「ゴルゴは何発タマを撃ったか」とか「ゴルゴは何回拷問を浮けたか」とか「ゴルゴは何回笑ったか」とか、ホントにこんなん調べてなんになる、と言いたくなるようなシャーロキアンぶりである。となると、いわゆる「粗探し」も結構あって、「人に背中を向けない」はずのゴルゴが、背中をポンと叩かれるシーンを収録するとか、なかなか意地悪なチェックもしている。
 それにしても、ここまで綿密(って言っていいのか)なデータを作っていながら、初期の『ゴルゴ』の脚本を多数書いた小池一雄のインタビューが無かったり、ちょっと腑に落ちない面も多い。……やっぱり、小池一雄とさいとう・たかをって、仲違いしたのかなあ。

 高倉健主演の映画版がどうしてあんな駄作になったのかをさいとうたかを自身が「脚本を勝手に改竄された」とインタビューで答えていたのも興味深い。クレジットにはさいとうさんと、さいとうプロのK・元美津の二人の名前しかない。なのに脚本が似ても似つかぬものであったとしたら、それはいったい誰の仕業であるのか。
 似たようなことは、同監督の『人間の証明』のときにもあり、抑制の効いた松山善三の脚本が、実際の映画では饒舌なシマリのないものにやはり改竄されていたのだ。この映画では、ラストシーンで松田優作が「母親っていったいなんでしょうね」と言わせてくれと頼みこんで、一応撮影はしたがカットされた、という経緯も語られており、どうも「東映」という映画会社自体、現場での脚本変更を実に安易に行っていたフシがある。
 黒澤明が『トラ!トラ!トラ!』を東映で撮影しようとしたとき、スタッフのその余りの杜撰な仕事ぶりに切れて、それが「黒澤明ノイローゼ」の噂につながっていったことは有名である。そのせいで、『トラ!トラ!トラ!』の監督は途中で黒澤監督が解雇され、深作欣二・舛田利雄にバトンタッチさせられるという事態にまでなった。黒澤監督が東宝以外で仕事をしたことは一度や二度ではない。大映でも松竹でも映画を撮っていたが、ここまでのトラブルを起こしたことはついぞない(松竹では『白痴』の「フィルムをタテに切れ!」事件があったが、映画自体はちゃんと完成させている)。そう考えると、やはり「東映」という会社の映画製作の体質自体にいろいろ問題があるとは言えまいか。
 『ゴルゴ』から話が逸れたが、軍事・兵器・世界情勢に通暁したミリタリーマニアをブレーンにつけるくらいの態勢を取らないと、『ゴルゴ』の実写化って、難しくはあるまいか。さいとうさんが言うように、「砂漠の中を裸の銃を持ってウロウロする」アホなゴルゴを見せられるのは閉口なのである。 
 

 マンガ、竹本泉『トランジスタにヴィーナス』3巻(メディアファクトリー・580円)。
 和田慎二の勧めにもかかわらず、なかなかエロに行かない竹本泉の、今んとこ一番エッチ度の高いマンガ(^o^)の3巻目。
 カラーページなんか、乳首見せてないだけでほとんどイーナスのフルヌードばっかりなのに、なぜ思いきりが悪いかなあ。まるで出し惜しみしている元アイドルのようではないか。
 まあ、イーナスも17歳以下の女の子には手を出さないと決めているようだし、一応、モラルはあるってことなのかな。……あったって、マンガだから関係ないよな。
 しかし、これだけ美少女キャラを描ける竹本さんの作品が、一度もアニメ化されてないとはどういうわけだろう(『あんみつ姫』は除く)。ゲームのアニメは本人も作ってるんだから、アニメ化に反対してるわけじゃないと思うけどなあ。確かにほとんどの竹本作品、作風はほのぼのしてて、ある意味、起伏に欠けるストーリー展開だから、『あおいちゃんパニック』とかがアニメにしにくいのはわからなくはない。
 けど、『さよりなパラレル』やこの『ヴィーナス』なんかは結構アニメに向いてると思うんだけどなあ。
 特に今巻の『少女の園』編、キューネフ姉妹やギャウコズ先生、人気出ると思うんだけど。

2001年01月10日(水) 史上最悪の日/アニメ『プロジェクトA子』



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