無責任賛歌
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2002年01月01日(火) |
ぬかるみとミッフィと腐れた餃子と/映画『スパイキッズ』/『降魔法輪』(さとうふみや)ほか |
え〜、数少ない読者のみなさま、新年明けましておめでとうございます。
と言いつつ、これ書いてるの、もう十三日ですがな(^o^)。 ほぼ2週間遅れにもかかわらず、灰色の脳細胞をフル回転させての記憶力再現日記(既に備忘録ではないな)、本年もよろしくお願いいたします。
無差別テロで始まった21世紀も2年目に突入。 こう、いかにも時代の節目を象徴するような事件が起きると、キリストさんが2000年前に生まれたってのもなんか信憑性があるような気がしてくるよねえ(ホントは数年ズレてるらしいけど)。 しかし、1年って、経つのがはやいよ。ついこないだ、パソコンを扱い始めたばかりって感覚なのに。でも、去年の今もこうして日記をパチパチ打ってたのは間違いない事実なんである。 劇団の宣伝日記のつもりで書き始めたのに、既にそんなフォーマットはどっかに消え失せている。じゃあ、今はどういう理由でこの日記書いてるのか、そのモチベーションはいったい何なのかってことなんだけれど、あまりその辺深く考えてもしかたない気がする。まあ、「男の意地」ってことにしとこう、とりあえずは。
ふと気づいたが、去年の公演から数えてもほぼ1年が過ぎている。 当初予定していた1年1本の上演ペースも、もうすっかり崩れた。 十人ちょっとのメンバーがいながら、なかなか公演を連続して行えないのにはいろいろと原因はあるんだが、一つは私の脚本執筆の遅れもあろう。 てことで、今年の抱負。 シメキリまでに脚本は上げます。 できなかったらしげにダイアモンドの指輪を買ってあげよう。 とりあえずアイデアだけは10本でも20本でもあるからね。思いきりエロいのやってみたい気もするが、女性陣の反発食らっちゃうかなあ。
元日の朝、まずは家中のカレンダーを張り替える。 玄関の『クレヨンしんちゃん』は毎年の定位置、新顔の『あずまんが大王』は寝室。 トイレには『エヴァ』に変わって『ヒカルの碁』だ。ファンが聞いたら「トイレに佐為様を!」とか怒るかもしれないが、別に佐為で○○○○するわけじゃなし。 正月そうそう下品でスミマセン。(^^)ゞ コンビニで買ったミニ鏡餅をパソコンデスクの上に置く。パックなので、長持ちするのがいい。これだけでちょっとは正月気分になれる。
しげを起こして、雑煮の代わりにカップ汁粉を食う。 しげの偏食は雑煮嫌いにまで及んでいるので(何がイヤなのか分らない)、仕方なく「モチさえ食えりゃ」ということで妥協してるんである。
年賀状の返事を書いて、それを出すついでに日吉神社まで初詣。 毎年、初詣はたいてい深夜なのだが、今年はしげが爆睡していたので、昼かららになった。まあ、二度、三度、寝たり起きたりしながらウロチョロするよりはまとめて出かけた方がラクはラクだ。 地元の小さな神社なので、そんなに混んでいない。 車をどこに停めたらいいのやらと、案内表示に従って行ったが、駐車場らしいところはない。はてオカシイとよく見ると、やや傾斜になった木々の間の土手みたいなところに、何台かの車が停まっている。 「ここに停めろって?」 しげ、思わず素っ頓狂な声をあげるが、そこ以外に場所はない。 恐る恐る車を進めて行くと、助手席に座っていてもなんだか車がズブズブと沈んで行くような感触が伝わってくる。地面が結構なぬかるみになっているのだ。……街外れの神社だし、日頃、車で人が来るようなところじゃないからなあ。もともと駐車場なんてないんだなあ。去年までは自転車で来ていたので、駐車場がないなんてことには気付かなかったのである。 前に入ってた車が、ぬかるみにタイヤを取られて、往生しながら土手を上がって来て、出口から出て行く。反対にウチの車はぬかるみにハマるように下降して行く。こんなところに停めて、帰りは出られるのかと心配になるが、後ろからも車が来ているので、もうあと戻りはできない。
ようやっとのことで車を停めて、境内に向かう。 土手から本殿は目と鼻の先なので、鳥居も潜らず賽銭箱の前まで行けてしまう。さすがにそれはマズかろうと逆戻りして手洗い。しげはちょっと水をつけただけであとは手を拭こうともしない。冷たいのがどうもイヤらしいが、一応こういうのは礼儀なんだがなあ。 参拝しようとサイフの中からお賽銭を探すが、小銭が3円と、あとは5百円玉しかない。いつもはけち臭く、百円玉くらいしか入れないのだが、今年はうっかりして十円玉すら切らしていた。 しげに「小銭ない?」と聞いたら、これまた偶然しげも持ってない。 「しょうがないなあ。500円2枚、入れようか?」と言ったら、しげが血相を変えて無言で首を横に振る。 「……じゃあ、3円?」 しげ、ニッコリ笑って首をたてに振る。 ……ちょっと神様に悪い気もしたが、結局、今年のウチのお賽銭は、しげが1円、私が2円。さあ、ご利益はあるのか、これで。
二人で御神籤を引いたら、しげは末吉、私は吉。……え〜っと、どっちがいいんだったか忘れた。まあ、吉が出たからって、それなりにトラブルのなかった年はないんで、所詮は気分の問題。日頃、宗教嫌いを標榜してる私が、初詣だけは曲がりなりにも毎年ちゃんとやってるのは、そうやって自己暗示をかけるためなんだよね。 今年の札と破魔矢を買って帰る。 実は去年のも一昨年のも買って、焼かずに取っている。年が改まったんだからそういうのはよくない、とおっしゃる方もおられようが、だから私ゃ、信心で初詣してるんじゃないんだってば。一昨年から思い立って、十二支の絵馬を記念にそろえようと思ったのよ。 帰りのぬかるみは、ちょっとてこずったけれど、タイヤを新しく替えてたおかげか、なんとか土手をかけあがることができた。
そのまま映画を見にキャナルシティに向かう。 正月で、道は車の姿もほとんどない。日頃はやっぱり仕事の車ばかり通ってるってことなんだよなあ。それでもキャナルシティに着いてみると、駐車場は満杯に近い。車が道を通ってないのに駐車場にだけは続々車が入ってくるってのはどういう現象なんだ。辻褄が合わんぞ。
キャナルシティは元日から初売り。 毎年買ってるミッフィの福袋、今年もしげが目をキラキラ輝かせて「いちまんえんのを買う」と張りきっている。 もう昼をだいぶ回っていたので、売りきれていないか心配していたが、長引く不況のせいか、昨年は今の時間帯では残り5個くらいしかなかったのに、今日は20個以上余っている。 中の品は表書きされているので(最近の福袋は親切だ)、しげ、どれを選ぶか迷う。いくら待っても決められないので、待ちきれなくて、向かいのゲームコーナーに行って時間をつぶす。QOOのサラダボールを2個ゲット。これが今年のゲーム初めか。
ようやく毛布入りの福袋を買って、いったん荷物を駐車場の車に入れる。ああ、去年まで荷物を持ってヨタヨタひいこらうろついてたのに比べるとなんとラクなことか。みんなマイカーを欲しがるわけだよ。 時間を調べてみると、映画までまだ間がある。 ラ・ブーンにはオープンキッチンがあって、マクドナルドや弁当屋、お好み焼き屋、洋食屋、丼もの屋など、10店ほどの店が並んでいて、どこの店からでも注文できるようになっている。 まだ食べたことのないある店で、カツ丼と餃子を頼むが、ここの餃子がえらくまずい。皮は固いだけだわ、肉は生煮えだわ、あとはただただ油っこいだけ。かと言って捨てるわけにも行かず、つい口直しに別の店でタコ焼きを頼む。 美味いけれど、またこれでちとばかし太ったかも。
映画は『スパイキッズ』。 元旦で千円だから、多少、出来が悪くても余り損した気分にならずにすむぞ(^^)。 まあ、スパイ同士で結婚したおとっつぁんとおっかさんの危機を子供たちが救うっちゅう、それだけの映画で、仕掛けはたいてい読めるから、あまり興味もなかったんだけれど(『シュレック』もそうだったんだけどね)、しげが見たがったんで見ることにしたのだ。 企画自体がバカ映画なんだし、筋立てについてどうこう文句言う作品じゃないってことは重々承知しちゃいるんだけれど、それでもやっぱり、設定が安易だし、詰めが甘いってことは言いたくなっちゃうんだよねえ。 かつてはスパイであったことを両親が隠している、ってのはもちろん定石なんで文句はない。 ママが寝物語としてパパとの馴れ初めなんかを話すんだけれど、娘も息子もそんなのママの作り話だろう、と信じようとしない。問題はそこからで、だったらその「昔語」はとことん荒唐無稽でないとギャグとして機能しないんだよ。それこそOO7を凌駕するくらいでないとねえ。 結婚式の最中に襲われて、二人で崖下にハート型のパラシュートで飛び降りる、程度じゃ「冒険」とは言わないよ。ミサイル基地を一つ大爆発させるくらいのことはしなきゃ。 それに、「パパとママがもとスパイだなんて信じられない」、なんて話にするんなら、パパがアントニオ・バンデラスでママがカーラ・グギノなんて美男美女じゃまずいだろう。もっとブサイクで情けないキャストにしなきゃ。つーか、コメディアンの方が絶対にハマる。それこそダン・エイクロイドやスティーブ・マーティン、ビル・マーレイとかが演じた方が、ずっとカッコイイぞ。 マイク・マイヤーズが『オースティン・パワーズ』でそのセンを狙ったんだから、そういう企画も考えられたと思うんだがなあ。 まあ、それでもその辺はたいした傷じゃないんだけど、ともかく主役の二人の子供が全く冴えないし可愛くないってのが一番の問題かな。ホントに何の個性もないただの子供なんだもの。
主役陣が軒並みダメダメなんだけれど、困ったことにまるで反作用のように脇役陣が最高にいいんだよねー。 敵ボスのフループを演じるアラン・カミング、このキャラクターがもう、思いっきりキテて、モロ私の好みである。 ホントは悪の組織のボスで発明家なんだけど、一応、表の顔はテレビの子供向けファンタジー番組のホストってことになってる。このショー自体がまた、むちゃくちゃサイケでグロなんだよね。なんたって、出てくるキャラが実はみんな悪の組織の改造人間なんだから。まあ、ショッカーがそのまんまテレビショーをやって正体をカモフラージュしてると思ってもらえればいいかな。……って、カモフラージュできるんかい(^_^;)。番組のテーマソングがなんとダニー・エルフマン! 道理で『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』ソックリのスコアだと思った。 このフループ、世界征服が本職なのに、カモフラージュのはずの自分のショーを面白くすることの方に興味が行っちゃってる本末転倒野郎。「何がボクの番組に足りないの?」なんてオカマっぽく嘆いてるものだから、ナンバー2のミニオン(『ギャラクシー・クエスト』でタコ宇宙人と絡んだトニー・シャルーブ!)はいつもヤキモキ。欲を言えばこのへんの二人のやりとりがもっと漫才チックになってくれた方がよかったかな。 更に、敵の女スパイに『新スーパーマン』『トゥモロー・ネバー・ダイ』のテリー・ハッチャー。彼女は後半、アッと驚く「変身」を見せてくれる。……美人は何やってもトクだねえ。 そして黒幕の大富豪、ミスター・リスプにいい加減『T2』のT−2000と言われるのはイヤだろうロバート・パトリック。シワも増えて、苦みばしったイイ中年になったねえ。 残念ながら、この脇役陣、次回作の『スパイキッズ2』には誰も出演しないらしいんである。代わりにリカルド・モンタルバンが出るらしいけれど、もう『カーンの逆襲」の時ですら顔がシワだらけだったし、悪役としてはちょっと弱くないかなあ。もしかしたらまだムネはモアマッチョなのかもしれないが(^o^)。
しげ、見終わって「やっぱりバンデラスはラテンでいい」なんて言ってる。 結構気に入ったみたいだけど、この程度の設定ならあかほりさとるでも書けるぞ。日頃から「中途半端に面白いのは嫌い」とか言ってるくせに、まさしく中途半端な『スパイキッズ』がよくて、どうしてあかほりは許せないのか。 ちょっと偏ってるぞ、しげ。
帰るとしげ、早速、ミッフィ袋を空けようとするが、セロテープが貼ってあって、うまく剥がれない。 しげが愛玩するように私を見る。こういう時のしげの目はマジでエサを求めるウサギのようだ。 「お願い、剥がして?(はあと)」 ミッフィの袋だから、外側も当然ミッフィ印である。 テープをきれいに剥がせばまたバッグとして使えるのである。けど、どうしてそれを私にまかそうとするかな。こういう几帳面な作業は全部私に回されるのだが、実際、それを拒否してしげにさせると必ず失敗するのである。 不器用にもホドがあるんじゃないか。 きれいに剥がしてやると、ニコニコして喜ぶ。 ……いいよなあ、年中アタマん中が盆と正月なヤツは。 夜、友達何人かと電話で元日の挨拶。 地元の友人が少ないので、ウチに年始回りはない。 私はここんとこ気分は浮いたり沈んだりだが、みんなはそれぞれ元気なよう。 今年も世界的に事件はいくら起きてもいいけれど、私と私の関係者には累が及びませんように。
コミックス『Bstreet(ビィストリート)』vol.7(幻冬社・998円)。 情報に疎くて気がつかなかったのだが、ソニー・マガジンズはコミック戦略から撤退してたんだな。 スコラ→ソニー→幻冬社と慌しいが、出版元や版型が変わるたびに『退魔針』買い直してるこっちの身にもなってみい。 ってことは、買い損なってた『Bstreet』のvol.5も絶版か。うひゃあ、早いとこ古本屋探さなきゃ。 ミステリマンガ専門のこの雑誌式コミックス、今回からの新連載は桑田乃梨子さんの『888(スリーエイト)』。 ささやかではあるけれど一応「本格ミステリ」にしてるあたり、桑田さんの誠実さを感じる。こういう同テーマのアンソロジー雑誌の場合、他者との差別化を測って搦め手やSFミステリを書いたりするのは結局「逃げ」になっちゃうからねえ。てっきりギャグだと思ってたら、それが伏線だったってのはウマイよなあ。ミステリの礼儀でその中身をここに書けないのは残念だけども。
コミックス『コミックエンゼルズ』(幸福の科学出版・683円)。 正月そうそう何読んでんだって感じだが、“裏”モノ会議室でも話題になった、『金田一少年の事件簿』のさとうふみや描く『降魔法輪』が載ってるのがこの本。 福岡じゃどこの本屋にも置いてなかったんで、やっぱこういうのは通販ででもない限り買えないのかなと思ってたら、しっかりジュンク堂で平積みになってたよ。ううむ、まさしく「質より量」ってか、恐るべしジュンク堂。
で、読んでみたけど、やっぱりやってたよ、「エル・カンターレ・ファイト!」。 ぶわははははははは(^▽^)。 まあ、なんちゅーか、マンガとしてはよくある悪霊退治モノで、別にさとうさんがなんたらを信仰してようがしてなかろうが、気にせずに読めば『マガジン』に載ってたって全然おかしくないマンガなんだよねえ。 実際、この、悪霊を退治する掛け声(?)のところ以外には、大川隆法を暗示させるようなところはほとんどない。これって多分、オウムが作ってたアニメやマンガが、自分とこの教義を説明することよりも、教祖の麻原彰晃のカリスマ性を前面に押し出して胡散臭くなってたんで、それとの差別化を図ろうとした結果じゃなかろうか。 それまで一所懸命、オカルトではあるけれどもインチキっぽくない体裁を整えていたのに、キメんところで「これくらいはいいかな?」と出しちゃったって感じかな。 さとうさんも随分絵がうまくなったし、女の子キャラなんか、今やってる『探偵学園Q』よりずっと可愛いんだけど、これはさすがにシリーズ化されまいなあ。続きが読んでみたい気はするけど。 一応アンソロジー集なんで、ほかにも冒険ものや恋愛もののマンガ(でも悩みは全部オカルトで解決!)が載ってんだけど、もう同人誌以下のレベルでハシにも棒にもかからない。話のタネだけにこんなマンガ買ってんじゃね〜よって、ちょっとだけ思う(^^*)。
マンガ、奥田ひとし『新天地無用! 魎皇鬼』2巻(角川書店・588円)。 表紙の魎呼、えらく巨乳になってるな。まあ、嫌いじゃないが(^^)。 『天地無用!』シリーズも長いよなあ。最初のOVAから数えたらもう十年にならんか。 てっきりこないだの劇場版『天地無用! in LOVE2 〜遙かなる想い〜』で終わったと思ってたら、OVAシリーズとテレビシリーズ&劇場版は設定が違うので、OVAシリーズの方はまだ完結してないってことなようだ。 このコミック版はOVA版に依拠しているので、今度の新シリーズテレビアニメ『天地無用! GXP』(旧キャラは登場しないらしい)と、OVA第3期発売予定に合わせて、またもやのメディアミックスとして、新シリーズが再開してるんだけど、まだファンが付いてるのかなあ。 今更もう、あまり話題になってないような気がするんだけど(だったらこうやってコミックス買ってるのはなぜだよ)。 まあ、私は「マッド・サイエンティストもの」としてこの『天地無用!』を気に入っているので(つまりは鷲羽のファンなのよ)、今回みたいに「ブラック鷲羽」が登場して、もしかしたら、ちょっとうっかり地球ふっ飛ばしちゃうかも(はあと)、みたいな展開は大好きだ(^o^)。久方ぶりの神我人の登場(回想シーンだけど)、となれば、まあ、ネタは『パトレイバー劇場版』だなと知れるけれど、結末にアイデアを凝らしてくれりゃ多少のパクリについては文句はない。 ああ、でもさすがにOVAまではもう買いません。完結ったって、もう、どこで完結したって別に構わないって感じになっちゃってるから。
2001年01月01日(月) 2001年元旦スペシャル
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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