無責任賛歌
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2001年10月29日(月) |
「ばびゅーん」の語源は『宇宙少年ソラン』から/『黒鉄 <KUROGANE>』5巻(冬目景) |
オタアミ当日まであと26日! 26日しかないのだ!
さて、「物語」はまず昨晩のことに遡る。 一日中、べしゃべしゃ、ばちゃばちゃ、じゃわらじゃわらと振り続く雨に、すっかり鬱陶しい気分、マンガ読んでても何となく溜息が、ホウ、と口からツイ漏れる。 ニュースの解説で、気象士さんとやらが「ちょうど気候のサイクルができてますからねー、一週間毎に休日は雨になるんですよ、はっはっは」なんてお気楽なことを言ってくれている。 台風でも来ないことにはこのサイクル、なかなか崩れないそうだ。 ああ、また明日は雨ん中、合羽来て自転車で、汗にまみれながら山越えかあ、なんて考えてたら、憂鬱がそのまま顔に現れたのか、しげが私の顔を何か妙に期待感に満ちた目でじっ、と見つめてくる。 「何だよ、その目は」 「明日、職場まで送って行こうか?」 そう言うしげの目はウルウルと潤んでいる。抑えちゃいるが唇は今にも笑い出しそうだ。 「……ああ、頼めるんなら、お願いしようか?」 「……いいと? ホントに?!」 自分で頼んでおきながら、私が承諾したら驚くってのがよくわからんが、タクシー使うよりおカネがかからないのは間違いのないことなので、断る理由はない。 まあ、あれだけ「お前の運転する車の助手席になんか乗れるか!」と悪態ついてたからなあ。でも、しげの保証人になっちゃった以上は、しげに事故を起こしてもらっちゃ困るのである。 私は「ナイフは危険だからナイフは持たせない」みたいなサルでアホでスットコドッコイな考え方はしない。危険の全くない道具なんて、あるはずがない。自ら得た技術をいかに活用するか、それを考え、使いこなしていくことを常日頃考えておかなければ、突発的な事故等に適切に対処することはできまい。 ウデの上達は練習あるのみである。 「なんだ、私の練習のためか」 なんだ、ってこたぁないんだがな。 冗談ではなく、私は本気で車ってやつが嫌いである。 なのに「一緒にドライブでもするか?」なんて声かけてることの意味、少しは気付いてもらいたいもんなんだけど。
で、今朝になって、7時半にウチを出るはずが、しげはやっぱり、ぐごがげごぴー、と寝ているのであった。 いや、起こして出かけたけどさ。 ほったらかして先に出かけてもまたしげにヒス起こさせる原因にしかならないし。
しげがいろいろ悪戦苦闘したのか、車内の匂い、随分薄くなっている。 ほんのりシトラスの香りが残っているが、鼻につくほどではない。 自分たちの車に乗ってみるまでは、たいして意識もしてなかったことだが、ここ数日の車中体験で、世間の車持ちが、自分の車をただの乗り物としてだけでなく、生活環境の一環にしようって気持ちになるのもわかる気がしてきた。 かと言ってしげみたく「ロドリゲス」なんて名前つける気にはなれんけど。
乗り込んだ途端、『ブルース・ブラザース2000』のサントラが鳴り出すが、さすがに朝っぱらからだと頭に響いて不快だ。ナビもしなきゃならないのに気が散ってしかたがないので、音を消させる。 「広くてわかりやすい道行くね〜」 と言って、しげから地図を手渡される。 「この道を通って、右折して左折するから、ナビして」 「わかった。この道を通って、右折して左折だな?」 で、この道を通って、右折、まではよかったが。 「あ、そこを左」 「え? 通れないよ!」 「……通れないって?……あ、通りすぎちゃってどうするんだよ!」 「だって、車が向こうから来てたんだもん。次の角を曲がるよ」 「……まあ、遠回りになるけど仕方ないか……はい、そこ、左」 「え?! 右じゃないの?!」 「……さっき、左に曲がり損ねたんだろうがあ!」 「だから、今度は右に……」 「右見てみろ! そっちは山ん中だろうが!」 「山に入れば、さすがに道を間違えたって自分でもわかるし」 「迷うためにわざわざ間違った道選ぶなあ!」 ……遅刻せずに職場に辿りつけたのは奇跡のような気がする(ーー;)。
送ってもらったことはありがたいのだが、となると当然帰りも迎えに来てもらわなくてはならない。 「んじゃ、5時20分に来てもらえるかね」 「いいけど、ちゃんと来る?」 「いきなリ仕事が入ることがあるからな〜。念のため、待つ間読む本でも持ってきといて」 で、しげはそのまま買い物へ。迷ったわりには早目に着いたので、仕事に取りかかるのも早い。一週間の始まりとしてはなかなか気分がいい。 それにしても、ふと気づいたのだが、送り迎えなんて、幼稚園の年少組以来のことなのだ。 ……おいおい、40年近くも前かよ(+_+)。つい昨日のことみたいに思い出せるってのに、大学紛争華やかなりしころって、もう歴史のかなたじゃねーか。 昔、いっぺんだけだけど、親が私を迎えに来るの忘れて、幼稚園にずっとほっぽらかされたことがあったんだよなあ。あのとき、ウチの親は、自分たちに子供がいるということ自体、完全に忘れていたのである。 フツー、あるかよ、そんなこと(ーー;)。 それ以来、私は親子の縁はプッツリ切れたものと思っているが、親の方じゃそうは思ってないんだろうな。お目出度い話だ。
まあ、悪い予想というものは当たるもので、残業する予定はなかったのに、会議が長引いて、しげと合流したのが6時20分。ちょうど1時間の遅れだ。 しげは「私を置いて先に帰ったかと思ったよ」と半べそ。 悪かったので、今日の晩飯は奢ってやることにする。
そろそろ最初に入れてもらったガソリンがなくなるということなので、初めてガソリンスタンドに寄る。 「レギュラーってのを買えばいいんだって」 そんなこと言われても、私は車の知識は皆無に等しいので、レギュラーとハイオクがどう違うかも知らないのだ。普通、レギュラーの対義語はイレギュラーとかスペシャルとかじゃないのか。 ともかく、しげは初めてスタンドに寄れて嬉しいらしい。 若葉マークがついてるおかげか、スタンドのおっちゃんも対応がとても丁寧である。 「……私が初めてだってことばれたかな?」 なんだか誤解を招きそうなセリフだったんで一瞬戸惑ったが、本人は気付いてないらしい(^_^;)。 いや、そんなん若葉マークもついてるんだし、見て一発でバレバレだって。
車なので、少しは足を伸ばせるかと、普段あまり行かない「庄屋」で食事。 私は和食の膳ものを頼んでしげはステーキ丼。ステーキが韓国風だったのか随分辛かったみたいで、結局、私のオカズをしげに分けて、半分ほどしげのを食べてやる。 ゆっくり、落ちついて食べていたかったが、しげはこのあと仕事もあるので、コンビニで飲み物だけ買って帰る。 実際、こうやって送り迎えしてもらうと、一緒に過ごせる時間がそれだけ多くなるわけで、最近すれ違いの多くなってることを考えると悪くはない。まあ、ちょっと命の心配がなきにしもあらずだけれど。 そんなことをチラッと口にしたら、しげは「一緒に死ねるからいいね」みたいなことを言った。 だから、最初から死ぬ覚悟で運転するなよって(-_-;)。 それとスピード出すとき、「ばびゅーん」って擬音使うのやめろ。マジで怖いから。
米がうまく炊けなかった理由が判明。 しげが炊飯器の釜のウラを調べてみて、そこに塩胡椒の袋が挟まっていたのを見つけたのだ。これのせいで釜がちょっと浮いた状態になってたらしい。 早速しげが米を炊いたのだが味は上々。 これで、炊飯器を新しく買わずにすんだ。 ……でも、なんだってそんなところに塩胡椒が挟まってたんだ?
カレー粉がまだ一箱だけ余っていたので、晩飯はカレー。 何日前に買ったのか忘れた野菜を、腐る前にさっさと片付けちまおうと、冷蔵庫の奥からイモだの人参だのを引っ張り出す。 ところが、一番奥の方にしまいこんでおいたせいか、殆ど凍りついていた(ウチの冷蔵庫は調整がムズカシイのだ)。 まあ、凍ってたんだから、悪くなっちゃいないとは思うが、皮を剥くのにえらいこと時間がかかったのであった。
マンガ、冬目景『黒鉄 <KUROGANE>』5巻(講談社・530円)。 4巻から随分間が空いたなあ。連載が断続的なのかな? 絵柄というか、作画の技術も初期に比べて相当上がっている。 何より、迅鉄の等身が伸びているのがはっきり判る。……成長してるのか? 特にストーリー上の大きな展開があるわけでもなく、往年の『木枯し紋次郎』みたいな定型的な股旅物になっちゃってるが、そうなると迅鉄が半人半機械であることの意味合いが、だんだん薄らいでいるキライにあるのが気になる。 事実、今巻の話で、迅鉄が普通の人間であって困ることなどまるでないのだ。 『羊のうた』もそうだが、冬目さん、キャラクターや世界観を作るのはうまいのだが、それをストーリー上でうまく動かしきれないところが結構あると思うのである。ただの風来坊に主人公を位置付けるのでなく、何か迅鉄自身の出自に絡むような物語を作っていかないと、この先連載を続けて行くのは苦しくなって行くんじゃないのか。
2000年10月29日(日) まあスクルドがかわいかったからいいか/アニメ『ああっ女神さまっ 劇場版』ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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