無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2001年10月15日(月) カチカチ山の……/ドラマ『着ながし奉行』

 オタアミ当日まであと40日! 40日しかないのだ!

 世間は未だに狂牛病だの炭素菌だのと喧しい。
 でもマスコミが躍起になって報道し続けるほど、結局はニュースがニュースでなくなって、ただの情報の垂れ流しになってしまうことは以前もこの日記に書いたような気がする。
 必然的に、ニュースのリアリティはどんどん失せて行ってることにマスコミが気付いてないらしいのがつくづくバカだ。というか、「バカでいいじゃん」と開き直ってるのかも。センセーショナリズムをジャーナリズムと言い替え、その欺瞞に馴れて欺瞞であることすら自覚できなくなっている連中の猿芝居をいつまで見せられつづけるのか。
 だってねえ、「テロだテロだ」ってテレビは騒ぎ続けてるけど、いつまで経っても日本にジェット機が突っ込んでくる気配もないのだよ。それどころか、タリバンは連日の空爆で明らかに弱体化してきている。
 「長期戦になるかも」という予測に反して(もちろん残党が各地でテロを続けることはありえようが)、意外と早く始末がつきそうな気配なのだ。もうテロ関係のニュースは夜中に「今日のタリバン」とかいうコーナーを作って、そのときだけ流すようにしたらどうか。


 夜明け前、何か夢を見たらしい。
 メモに「2ちゃんねるの夢見る」と書いているのだが、更新が遅れているので、完全に記憶の彼方に行っちゃってて、ハテ、いったいどんな夢だったんだか(^_^;)。
 なんだかなあ、私のことが2チャンネルで貶されてたような気がするんだが、どうして貶されてたのか、全く思い出せん。
 つーか、そんな夢を見たってことは、私は2チャンネルで話題にされたいのか。おいおい。
 多分、一昨日見た『ファントム・ペイン』の「やんすちゃんねる」のせいでそんな夢見ただけなんだろうけど。しかし、匿名巨大掲示板を社会病理の象徴のように描くなんて、鴻上尚史もつくづく腑抜けたものだ。
 もちろんそれは「便所の落書き」の拡大版なわけで、品性ゲレツと言われればその通り、俗と言えば俗なのだけれども、だからこそ表には現われぬ、その時代の意識下の情念を知るには格好のテキストであることは間違いないのである。
 かつて「奇想天外文庫」が、「便所の落書き文化」の重要性をその創刊の辞で高らかに標榜したことがあったが、今和次郎の考現学も、藤森照信の建築探偵も、赤瀬川原平の路上観察も、もちろん唐沢俊一さんの裏モノ採集も、全て根っこはつながっているのだ。学校の教科書に載っている文化史などは全て偏狭かつ独善的な「おカミの言い分」でしかない。
 鴻上さんも「えらい人」になりたいのかなあ。
 演劇が社会的に認められることは喜ばしいことではあるのだけれど、その分、社会的通念に迎合する作品が増えるようになれば、演劇というジャンルそのものが死に瀕する危険性だって生れてくると思うんだがなあ。


 休みが明けても(って休日も出張ってんだから全然明けた気分にならねーけど)残業は続くし、自分の時間がここしばらく取れそうにない。
 既に仕事中の安らぎは便所に篭ってる時だけとなりつつある。
 クサイ話だ。


 今日の夕食は、カレーをまた作ろうかと思っていたのだが、ステーキ肉がまだ残っていたので、目玉焼きをつけて焼いてやる。狂牛病騒ぎもそのうち沈静することであろうから、安い肉をたらふく食うのは今がチャンスである。
 既に通常時の半額にまで落ちているのだから、精肉業者も大変だろうが、これだけのデマで迷惑を被ってるのだから、当然、国の補償はあるであろう。その金は税金で賄われるわけだから、我々は肉を食っても食わなくてもある程度肉代を払わされることになるわけだ。
 ……だったら、食ってたほうがまだいいじゃねーか。
 いつぞやのカイワレ大根騒ぎも『買ってはいけない』騒動もそうだが、デマに踊らされる群集の愚かしさを、もっと各方面で笑ってやったほうがいいんじゃないか。

 アナタも今、肉を食べるの控えてませんか?
 だったらアナタは紛れもなく現時点では世界最低のアホです。


 しげが仕事に出たあと、口淋しくなって、シャケを焼く。
 ガスコンロにかけて、火をつけたの忘れないようにしなきゃなあ、と思って、パソコンの前に座ってメールチェックを始めた途端、きれいサッパリ忘れた(^_^;)。
 気がついたら部屋の中が煙でモウモウ。
 なのに、いやに目が痛いなあ、疲れ目かな? なんて悠長に構えてたのだから情けない。
 幸い火事にまでは至らなかったが(一応、警報が鳴るほどではなかった)、シャケは黒焦げ。それでも、残った身はないかと細かくお焦げを殺ぎ落とすあたりが我ながら貧乏人。
 換気扇を回し各部屋の空調を全開にして数時間、それでも煙はなかなか薄くならない。風呂場の窓を空け放し、風通しをよくしてようやく煙が薄らいだ。
 たまにこういうことがあるが、昔に比べて本当に記憶力が減退したのだなあ。ドクター・カオスではないが、新しい知識が古い記憶をどんどん消し去って行くのであろう。って、5秒毎に記憶が消えていくのは困りものだが。
 ……関係ないけど、私は何遍覚えても「IT革命」の“IT”が“Information Technology”の省略形であることを覚えられません。何かいい語路合せでもご存知の方はいらっしゃいませんか(仕事柄、この手の言葉をパッと言えないと困ることが多いのです)。

 CS時代劇チャンネル『着ながし奉行』見る。
 言わずと知れた、岡本喜八の傑作時代劇。これがなんとテレビで放映されてたってんだから、いい時代もあったもんだ。
 原作は山本周五郎の『町奉行日記』。
 すなわち、三隅研次の『鉄火奉行』、市川崑の『どら平太』と同じ原作だ。
 しかし、同じ原作なのに、毎回主役の仇名が変わって、それがタイトルになるってのは偶然なのか伝統なのか。実際ドラマの中で奉行所の書き役が望月小平太の仇名を聞くシーンが必ずあるしなあ。
 誰の考えることも同じ、と言いきっちゃうのは岡本喜八に悪いかも知れないが、ネーミングセンスからいえばやはり「どら平太」の方が一つ頭抜きん出ている。このネーミングは黒澤明の発案だそうだが、どうも岡本さん、黒澤さんと同じ題材で勝負するといつもいささか分が悪い。
 ……『どら平太』の監督が市川崑でよかった。黒澤さんが撮ってたら、岡本さんのテレビ版も敵わなかったかもしれない。いや、歴史にifは禁物かな(^^)。

 ストーリーはどの映像化もほぼ同じで、原作を忠実に描いていると言える。言い替えれば原作のヨワさもそのまま踏襲しているわけで、ラストであっけなく濠外の面々が降参してしまうのがいささか拍子抜け。そこにアイデアがほしいところだったが、その分、岡本喜八の映像化は役者の魅力でその辺を補っている。
 望月小平太の仲代達矢以下、当時の無名塾の面々(『どら平太』の役所広司もいる!)と、いつもの岡本組の役者たち、殿山泰司も天本英世もチョイ役だけどちゃんと出ているのが嬉しい。
 やはり山本周五郎には「軽み」が必要なのだなあ。

2000年10月15日(日) ステーキとモーレツとSFミステリと/『海底密室』(三雲岳斗)ほか



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