あふりかくじらノート
あふりかくじら



 刹那。くじら。音。

懐かしさがいつもわたしのこころを苦しめたけれど、
いつのころからか、消えゆく哀しみとか
そういうものを知ったとき、現在の瞬間を
こころから幸福に思えるようになった。

音楽がきこえる。
街の空気を感じる。
空と海。

それらをうつくしいと思うようになった。
なくなることばかり、心配していないで。

そうしたら、生きるのが哀しくなったし、
幸福にもなった。

スカイ島という場所は、静かなところ。
荒荒しい景色と、やわらかい空気。
雨が降って、陽が射して、そして海が広がる。
山と丘を羊にみつめられながら自転車で走る。

ここの海にも、くじらは来るという。

わたしはただ、そうして生き延びているだけだけれど。

2001年06月17日(日)
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