世界征服日記…TITAN2


世界征服日記
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2001年02月28日(水):花の色
移りゆく季節。
明日から三月だ。
MILETが発表会でもらった花で家は一足先に
春爛漫といった風情だった。
明日から急に春、ということには
ならないだろう。
だが、今夜の雨は今までとは違う。
暖かくていい匂いだ。
春の匂いは俺様の心を軽やかにする。
いつか
青々と茂った春の草むらを
思い切り走り回ってみたいものだ。
そのためにも、早く世界征服を成し遂げねば。
春は決意の季節でもあるらしい。



2001年02月27日(火):探し物
最近、気に入っている物がある。
それはMILETの手袋だ。
ピンク色の手袋で、
真っ白いウサギの毛皮が飾りでついている。
普段使っている物ではない。
普段は羊の皮の黒い手袋だ。
その、ピンクの手袋。
俺様の大好きな毛皮つきの。
MILETは大事そうに鞄の底へ隠している。
俺様が気に入っていることを承知して、
見えないようにしているつもりなのだ。
甘い甘い。
俺様はこう見えても、探し物の名人である。
探している物で、見つからなかった物など
ないのだ。
MILETは他に隠し場所を
見つけるしかあるまい。
もっともどこに隠したところで、
俺様の目から逃れることは、出来ないだろう。



2001年02月26日(月):清潔感
我々猫族はきれい好きである。
犬たちのように、泥まみれになって
遊ぶことは良しとしない。
当然、身辺をいつも綺麗にしている。
人間達は、自分たちが一番清潔だと
思っている節がある。
大いなる勘違いだ。
風呂に入れば清潔だとでも言うのだろうか。
確かに、俺様は風呂に入ることはしない。
だがその代わり、日に数え切れないほど
毛繕いするのだ。
人間など、多くても一日数回程度しか
風呂に入らない。
良くもまぁ、我慢できるものだ。
俺様にしてみれば、不潔きわまりない。

そういえば…
人間どもの統治をしている政治家達も
汚れきっていると聞く。
所詮、人間の上に立っているとはいえ
人間に過ぎないと言ったところだろう。




2001年02月25日(日):反従順
昨日の報復をした。
し尽くしてやった。
いい気分だ。
だが、ちょっと虚しくもあった。
MILETの布団にわざと吐いてやった。
だが…
MILETは文句一つ言わずに
後始末をしていた。
やりすぎたかも知れないな。
しかし、ここで折れてはだめだ。
俺様は更なる攻撃を開始した。
…MILETの相方に対して。
反省したらしく、鰹節を買ってきた。
だが、その鰹節は一袋三百円以下の
安物だった。
反省が足りないようだ。
報復として、MILETの膝を占領し、
椅子にも座らせないことにする。
明日にはもうすこし良い鰹節を
買ってくるか、フード自体に工夫をするだろう。
今日はこれくらいでやめておくことにする。



2001年02月24日(土):オフ会
今日は先日お流れになったオフ会へ
MILETは出かけていった。
出かける寸前まで、長電話をかましていたが
相方との待ち合わせには間に合ったのだろうか。
俺様関係で知り合った友人と会うというのに
俺様抜きとは…
一体、どういうつもりなんだか。
徹底的に抗議してやろうと思ったが、
そうするより先に出かけられてしまった。
こういうときばかりは、すばしこいヤツだ。
冷たい雨が降る中、
俺様はただ独り取り残された。
前にも述べたが、留守宅を預かるのは
別に苦にはならない。
だが、俺様のおかげで友人になったというのに
俺様を無視したことが、気に入らないのだ。
だからといって、何かするのは
今日は控えようと思う。
明日になったら、せいぜい俺様のご機嫌とりに
奔走するがいい。
さて。
どうやって、困らせてやろうか。

ちなみに、MILETたちは大いに楽しんだらしい。
俺様の写真も持っていたと言ってた。
よもや、俺様の陰口を
叩いたのではあるまいな…



2001年02月23日(金):猫の日
昨日は二並びで、猫の日だった。
通りで、いつもよりMILETが優しかったはずである。
ベランダに自由に出入りさせたのも、
そのためだったらしい。
今日は一変して、MILETはかたくなに
ベランダの出入りを禁じた。
外は良い陽気だったというのに。
まぁ、俺様も今日は何故か眠かったから
良しとしてやろう。
明日、MILETは出かけるらしい。
何でも、先日大雪でいけなかった
オフ会とやらに参加するためらしい。
だが、雨だそうだ。
日頃の行いの所為とは、このことだろう。
雨の上、気温が十度近く下がるらしい。
だが、そのために花粉は飛ばないとのことだ。
さて、どっちがよかったのだろう。
雨が降れば寒くなるが、花粉は飛ばない。
晴れていれば暖かいが、花粉が飛ぶ。
まぁ、どちらにせよ、俺様には関係ない。
雨の日は雨の日で、楽しみがあるし、
晴れていれば晴れているだけで楽しいものだ。



2001年02月22日(木):限界か
良い天気だ。
穏やかな風と、暖かな日差し。
絶好の行楽日和と言う感じである。
ウィークデーでなければ、だが。
俺様は昨日のこともあって、大人しく
MILETに添い寝していた。
だるそうなのは相変わらずだが、
今日は昨日より早く起き出した。
俺様のために、ベランダへの出入り口を
開けはなってくれる。
家の中よりも、外の方が暖かかった。
MILETは相変わらず、だるそうだ。
くしゃみを連発し、やたらと洟をすする。
それでも、俺様のために窓は開けたままだ。
…バカなヤツだ。
俺様も、ヤツが気になってしまって、
いつもは屋根に行くのだが、ベランダ止まり
で我慢している。
窓を閉めても良いぞ、と目で言ってみるが
ヤツは笑うだけだ。
おかしなヤツ。
顔に、なんか赤い点々が出てるぞ、お前…



2001年02月21日(水):早春に
今日のMILETはおかしい。
いや、いつもは可笑しい。
一日だるそうにごろごろしていた。
それでも、時々起きあがっては
Macに向かってなにやら作業をしている。
花粉症なのだろうか。
思い出したように、ピアノを弾いたりしている。
だが、いつもの元気はない。
日中寝ていたのだが、夕方になっても
だるさがとれていないらしい。
俺様はベランダに出たいのだが
MILETがあまりにもだるそうなので
今日は大人しくしていることにした。
花粉症で死んでしまうことはないだろうな。
さすがの俺様も、不安になってきた。



2001年02月20日(火):虹の橋
MILETがぽろぽろと涙をこぼしている。
何事かと思って顔を覗き込んだ。
すると、突然俺様を抱きしめて洟をすすった。
俺様の自慢の毛衣が台無しだ。
抗議しようとおもったが、尋常でない様子に
暫し様子を見ることにする。
涙の理由は一つの散文にあった。
寓話、というのだろうか。
ネットの中に出来上がった、一つの神話だ。
命を終えた動物たちが集う場所の話である。
それを読んでいたMILETが涙をこぼしたのだ。
天国の入り口に架かる虹の橋のたもとに
この世で命を終えた動物が遊ぶ。
そして、彼らは現世に残してきた愛しいものを
思い出す。
ある日、彼は愛しい人を見つけ
二人は永遠の時間を天国で過ごすために
虹の橋を共に歩んでいく。
そんな内容の話だ。
おそらくMILETは
先代と、そしてその昔ともに暮らしてきた犬を
思い出したのだろう。
俺様も知らない、遠い遠い過去の話だ。
俺様とMILETにも
いつか必ず、別れの時は来る。
そして…
そしていつか必ず…
再会の時はあるだろう。

だが、そんな先の話に切なくなるよりも
今、俺様といる時間をもっと大事に思って貰いたい。
一番大切なのは、今を生きるということだろ?



2001年02月19日(月):高速度
今日からしばらく
ケーブルの速度が増速するらしい。
上がりが128kで
下りが256kだそうだ。
それがどういうことなのかは
俺様にもよく分からないが…
何でも、速いことは良いことらしい。
MILETが喜んでいた。
高速といえば、最近ドライブに行っていない。
まぁ、ちょっとナーバスになっていたから
仕方ないと言えばそうなのだが…
そろそろ家で大人しくしているのも
飽きてきた。
天気の良い日にはドライブに行きたいものだ。
MILETの相方に連れて行って貰おうと思うが
さて。
次の日曜日あたり、目論見通り行くだろうか。



2001年02月18日(日):安静に
昨日のごたごたが終わり
MILETは一日死んでいた。
さすがは天下一品の根性なしだ。
そういう俺様も、
今日は一日だらけていた。
天気も良いし、気温も暖かいし、
うるさいMILETの相方もいないし。
こういう日は、のんびり過ごすに限る。
明日から、また日常が始まる。
ゆっくり過ごして明日への活力を
養うのも良いものだ。



2001年02月17日(土):静寂日
今日はずーっと、
静かだった。
MILETは発表会。
MILETの相方もMILETについていった。
なんでも写真を撮るとかだそうだ。
おかげで、今日は一日のんびりしていた。
問題はいくつかあったが…
些細なことだった。
例えば、MILETが用意した食事が不味かったこと。
それから、日が落ちてからはやたらと
寒かった。
布団の中に潜り込み、丸くなっていても
やはり寒いものは寒い。
こういうときは、ホットカーペットをつけていけ、
というのに。
まったく。
気が利かないヤツらだ。
二人の帰宅は夜半近くだった。
俺様は盛大に喉を鳴らして、出迎えてやった。
二人は代わる代わる俺様を抱き上げる。
MILETからは普段匂わない化粧の匂いがした。
ストーブに火が入り、俺様もようやくほっとする。
やはり、暖かいに越したことはない。
そういえば、今日MILETは初めて猫又殿に
会ったそうだ。
楽しかったらしく、その時の模様を俺様に話して
聞かせてくれた。
…それはいいが…
発表会の首尾はどうだったのだ?
ま、聞かないでいてやろう。
それが、俺様のせめてもの優しさだ。



2001年02月16日(金):本番前
今日はMILETの様子がいつもと違う。
なにやら忙しそうにクローゼットをかき回して
白いドレスを引っ張り出したりした。
靴を洗い始めたかと思うと、今度は前髪を切る。
思い出したようにピアノに向かい、
いつもの曲を弾き始めたりもしていた。
どうも落ち着きがない。
それもその筈だ。
明日、いよいよ発表会の本番なのだ。
落ち着かないのも仕方がない。
今からそんなに緊張してどうするんだ?
俺様はMILETの膝に乗ってやった。
俺様を撫でると、落ち着くらしい。
ようやく落ち着きを取り戻すと、
MILETはまたピアノに向かった。
さっきよりはましな音になっている。
明日は俺様がついていてやれない。
緊張しまくって、演奏がぼろぼろに
ならないように祈るばかりだ。



2001年02月15日(木):名のみ
立春も過ぎ、世の中は春だ。
だが、毎日飽きもせず
寒い日が続く。
今日も寒い一日だった。
こういう日は布団に潜り込んで
じっとしているに限る。
だが、そうしていても腹は減る。
しかたなく布団を抜け出し、
階下に用意してある飯にありつくが
寒さの所為で食事に集中できない。
そう。
今日は留守番の日だったのだ。
MILETたちが帰ってきて、ストーブに
火が点けられる。
室温はなかなか上がらないが、幾分は
暖かくなる。
そこで、俺様はようやく食事を存分に楽しんだ。
だが問題は、その後である。
俺様は生来胃が弱い。
急に沢山食べると、必ず戻してしまう。
今日も食後の一運動の時に戻してしまった。
MILETは文句一つ言わずに、後始末をした。
元はといえば、寒い部屋に一日俺様を放って
置いたのがいけないのだ。
とはいえ、少々ばつが悪かったことは確かだ。
明日はもっと寒くなると言う。
早く名実ともに春らしくなって貰いたいものだ。



2001年02月14日(水):恋人達
今日はなんでもバレンタインデー
とかだったらしい。
恋人が恋人にチョコレートを贈る日だと
ニュースで盛んに報じていた。
MILETの相方がゴディバとやらを貰ったのも
そのためらしい。
MILETはいつもと変わらずに
仕事に励んでいた。
チョコレートを買った気配もなければ
作った気配もない。
MILETは相方に何もしないつもりなのか。
と、おもいきや。
「今日は、チョコレートの日じゃないんだぞ」
MILETはぶつぶつ言いながらテレビを見ている。
じゃ、なんの日かと思えば
「恋人同士が愛を確かめ合う日だよー!」
ではチョコレートはなんなんだ?
チョコレート会社の陰謀だと言うことだろう。
初めてチョコレートを贈ろう、といったとき
いくつのチョコレートが世に出回ったのだろう。
たぶん、誰も見向きもしなかっただろうな。
それが、いまや日本の常識だ。
チョコレート会社の先見の明には
驚いてしまうばかりだ。
そして、今日はチョコレートが日本を支配し、
日本の首相はゴルフでで攻めまくられた。
日本って言うのは…
本当に平和な国だ。



2001年02月13日(火):改心?
俺様が機嫌を損ねていると
MILETは思っている。
残念ながら、そうではない。
この時期はナーバスになるのだ。
クルマが新しくなったこともあり、
益々俺様の神経はぴりぴりしている。
もう少し経てば、どちらの問題も解決する。
恋の季節は終わり、
クルマには俺様の匂いがつく。
それまでは多少、苛ついていることも
理解して貰いたいものだ。
俺様も出来る限り、努力しているつもりだが。



2001年02月12日(月):写真集
今日も予告通りMILETの実家について話そう。
MILETの父親は元カメラマンだ。
今はその面影もないが…
その所為か、MILETの幼い頃の写真が
山ほど残っている。
MILETの実の兄の写真もあるし、母親の
若かりし頃の写真も当然ある。
昨日はそんな古い写真を、MILETの兄が
床にひろげて自分の妻に見せていた。
母親もその輪に加わり、実に楽しげだ。
だが、ちょっとまて。
俺様がいるときは、俺様中心でなくては
いけないだろう。
そこで俺様は、わざと写真の上をのし歩いた。
その上、真ん中あたりでくつろいで見せた。
仕方なく、連中は俺様に注意を向けると
撫でたり、抱き上げたりする。
いつだって、俺様は世界の中心でいるべきだ。
それを分からせなくてはならないとは。
写真がそんなにいいものなのだろうか?
被写体が悪くても、いいというのか?
だったら、俺様の写真を撮って写真集にでも
してやろうか。
それを見たがるヤツがいるかどうかが
問題かもしれないが…
とりあえず、これからは写真に収まるのも
積極的にやっていこうかと思った。
ま、拙宅のカメラマンの腕は
たかが知れているがな。



2001年02月11日(日):於別宅
昨日予告したとおり、今日はMILETの実家について
話そうと思う。
MILETの実家は拙宅からクルマで1時間程の処に
居を構えている。
以前はもっと広いが、古い家だった。
ここ数年内で、引越をしたのである。
さて。
この家には俺様の好みのものが多い。
例えば、猛ダッシュできる縦長のリビング。
イヤなことがあったら潜り込める、ベッドの下。
そして何より、MILETの母親がいる。
MILETの母親はなんというか…
やはり母親なのだ。
彼女の前では、俺様も甘え放題になる。
彼女は必要以上に、触ったり抱き上げたりしない。
俺様が撫でて貰いたいときには、思い切り撫でてくれる。
その上、MILETもこの家にいるときは滅多に怒らない。
悪戯三昧、我が儘三昧で過ごす時間は大変心地よい。
だが、守らねばならないルールは、拙宅より多い。
例えば、椅子。
ダイニングセットの椅子は、座面がくるくる回って
オモチャにちょうど良い。
俺様がその上に丸くなると、母親が座面を回してくれる。
だが、その椅子には絶対に爪を立ててはならない。
それから、最近購入したらしい、ペルシャ風の絨毯。
これが、何とも気持ちよい。
俺様はその上で思い切り体を伸ばした。
その絨毯にも爪を立てることは許されていない。
それから、高いところに乗ること。
家具の上、出窓、そして、テレビ…
これらの上には、絶対に乗ってはならないのだ。
もっとも、テレビだけはそうでもないのだが。
テレビも拙宅のものに比べると、
大きくて乗り心地がよいのだ。
この家にいる時間が、俺様に納得のいくものでないと
俺様は、先述のベッドの下に潜り込む。
MILET達はしばらくの間、滞在を延ばさざるを得ない。
さて。
この家の出来事でこれほど引っ張るのも
良くないかもしれないが…
明日は、今日あった出来事を記そうと思う。



2001年02月10日(土):三連休
世の中は連休らしい。
MILETの相方はそれなのに早朝からいつものように
仕事に出かけた。
だが、昼前に戻ってくるとクルマの手入れをし始めた。
何か、忘れ物を取りに行っただけらしい。
MILETは、といえば…
休日も何も関係なく、いつも通りだった。
最近、眠れない日々が続いている。
今日はしかたないので、昼間の間、
添い寝してやった。
それでやっとまどろんだらしい。
しかし、MILETが熟睡していたのは
MILETの相方が忘れ物をとりに出ていた間だけだ。
相方が戻ってくるなり、眠りが浅くなった。
それでも、今日は4時間ほど眠れただろうか。
余程頑丈に出来ているのか、風邪一つ
ひいていないが…
なんでも、なんとかは風邪をひかないと
人間は言うらしいから
MILETはその「なんとか」なんだろう。

今日は他にも出来事があったのだが、
続きは明日にしようと思う。
実はMILETの母親に今日も会いに行ったのだ。
明日はもっとゆっくりする予定だから、
今日の出来事も、明日書くことにする。



2001年02月09日(金):長電話
今日の昼前に、一本の電話があった。
こんな時間にかかって来るのは
たいていセールスの電話である。
俺様の耳には電話の向こうの声もしっかり
聞こえてくるのだ。
ところが、今日の電話は違った。
MILETの母親からの電話だったのだ。
用件は何かと言えば、今度の日曜日に
ゴディバとやらのチョコレートをMILETの相方に
渡したい、ということだった。
それだけのために、わざわざ電話を昼間に
かけてくるとは。
たしか、MILETの母親は会社勤めをしている。
そんな時間は、勤務中だ。
で、要件だけにするかと思いきや、
そこから話は尽きない。
次から次へと、やれクルマがどうした、
仕事がどうの…
そんなどうでもいいことを、話し始める。
MILETは今日はレッスンの日だ。
早々に電話を切ると思いきや、長電話に興じた。
そして、最期にMILETの母親はこういった。
「もちろん、ター坊も来るんでしょ?」
もちろん、行くとも。
俺様はチョコレートに興味はないが、ご招待とあれば
喜んでお受けする主義だ。
そういうわけで、今度の日曜日にはMILETの母親に
会いに行こうと思う。



2001年02月08日(木):暴走中
今夜、俺様は独りだった。
MILETの相方が帰宅した後、MILETを伴って
出かけてしまったからである。
いつもなら一緒に夜のドライブと
洒落込むのだが…
先日の一件以来、MILETの相方は俺様をクルマに
乗せようとしないのだ。
仕方ない。
ほとぼりが冷めるまで、大人しくしているか。
しかし、思ったよりも二人の帰宅が遅かった。
大人しく寝ていたのだが、
腹は張るわ、寒さは身に染むわで、散々だった。
腹いせに、一暴れすることにした。
部屋中を駆け回り、ピアノの上に飛び乗る。
MILETの相方の腹の上を掠め飛び、
顔の真横に着地した。
驚いて身をすくめるヤツを眺めるのは、
なかなか楽しい。
俺様は次なるイタズラの材料に夢中になっていると、
ヤツが突然、布団の中から手をつきだした。
不覚にも、今度は俺様が飛び上がってしまった。
それを見て笑うので、俺様はいきり立った。
しかし、そこにMILETが入ってきたのだ。
ヤツは俺様の驚きぶりを大げさに言いつける。
MILETはニヤリと笑うと、俺様を見た。
「いいねぇ、遊んでもらってるの?」
そうじゃない。勝負しているのだ。
だが、MILETの間抜けな誤解に、俺様の戦意も
消失してしまった。
今夜はここまでにしておくか。



2001年02月07日(水):虚栄心
誰だって自分を良く見せたい。
人間どもは特にその思いが強い。
犬には虚栄心はないらしい。
猫には有る。
俺様はかなり強い方だ。
俺様の場合、相手に隙を与えないように
虚栄心が逞しくなった。
必要悪とでも言おうか。
自然体でいられるのが、理想かもしれない。
だが、こちらが隙を見せると
相手はつけあがってくるのだ。
MILET相手に虚栄をはっているのは
MILETにバカにされないためである。
俺様の手記を読んでいただいた方には
おわかりだろう。
MILETは時々、何もかもを見透かしたように
俺様と接するのだ。
もちろん、分かっていない事の方が多い。
だがMILETの相方に比べれば、分かっている方だろう。
その程度だ。
だからといって、油断は禁物である。
女というのは、常に相手を窺って支配しようと
目論んでいるからだ。
支配するのは俺様であるべきで、MILETではない。
いわば俺様の地位を保つためには、多少の虚栄心も
必要というわけである。



2001年02月06日(火):息抜き
MILETは息抜きの合間に人生をやっているそうだ。
だが、そんなMILETも時にはまじめに仕事をする。
今日もまじめに仕事に取り組んでいた。
ヤツの悪いところは、切り上げると言う言葉を
知らないことだ。
やり始めたら最後、その作業が終わるまでは
休憩すらしない。
食事はおろか、眠ることも忘れるのだ。
今日もそうなりそうな勢いだった。
そこで、俺様はMILETの気を惹いて
ヤツを休憩させることにした。
まず、引きつけるために隣の部屋で暴れてみた。
…反応はない。
次ぎに、ヤツの足下で「魅惑的な表情」攻撃。
…頭を撫でたに留まった。
最後に、俺様のオモチャを足下に置いた。
「なに?遊びたいの?忙しいんだよ」
そういいつつ、MILETは立ち上がると
オモチャを手に、隣の部屋へ行く。
俺様はMILETの誘いに乗った振りをして、
一暴れした。
休憩を入れたMILETは満足げに作業に戻った。
俺様は暴れたりなかったので、しばらく一人で
暴れていた。
だが、それにも飽きたので、一眠りしたが…
MILETは大人しく仕事に励んでいたらしい。
時には仕事を忘れることも大切だ。



2001年02月05日(月):春の香
立春が過ぎた。
暦の上では春だ。
そして、俺様の体も春を告げる。
俺様は子孫を残さないようにしてしまった。
だが、体の中に流れている血が
春を教えてくれる。
そのせいだろうか。
どうも最近、自分でも落ち着きがないとおもう。
突然、目の前が真っ赤になるのも
その所為かもしれない。
今日は朝早くに、ベランダに出た。
日が登り切れていない時間。
ベランダにはうっすらと日が差している。
春とはほど遠い、冷たい日差しだ。
俺様はすぐに部屋に戻った。
MILETは昨夜からMacの前に座り続けている。
仕事らしい。
時間配分が下手なのだ。
だからこうして、時々徹夜している。
そして、昼近くになって
太陽が部屋いっぱいに日差しを届けてくれる。
やはり、春なのだ。
日差しが部屋の奥まで入らなくなっている。
それでも、充分暖かい。
俺様は昼夜逆転したMILETとともに、
春日の中でまどろんだ。
今日は平和な一日だった。



2001年02月04日(日):桜咲く
今日は熱海の方までドライブに行った。
本当は山中湖へ行くはずだったのだが…
俺様の具合が悪くなったので、途中で引き返した。
時々俺様は、急に勘が鋭くなる。
そういうときは攻撃性が増す。
つい、MILETの相方に攻撃的になってしまうのだ。
そんな俺様をMILETは抱き上げると、頭を撫でる。
そして、哀しそうに呟くのだ。
「お前の言いたいことが分からないよ」
俺様も、時々分からなくなる。
目の前が真っ赤になって、何がなんだか…
今日もその発作が出てしまった。
おかげで、楽しいはずのドライブが苦渋の道行きに
なってしまった。
熱海は梅祭りが行われていて、道が大変混雑していた。
咲競う梅…
良い香りである。
その梅に混じって桜が咲いていた。
狂い咲きと思いきや、一本二本ではない桜の木に
見事に花が咲いている。
なんでも、熱海には温泉が沸くので地面が暖かいそうだ。
その所為で、桜が早く咲くのだという。
早咲きの桜を横目にしながら、MILETの顔は哀しそうだった。



2001年02月03日(土):フード
みなさんはどんな食事がお好きだろうか。
俺様は意外かと思われるかもしれないが
ドライフードが好きである。
あの歯応えが、堪らなく好きなのだ。
それに、鰹節をまぶしていただければ申し分ない。
だが、どんなフードでも良いというわけではない。
俺様はこう見えても食事に関してはストイックだ。
缶詰のフードもたまにはよいが、いつもでは飽きる。
仔猫の時、さんざん食べたからかもしれない。
その所為で、今や人間どもが缶詰の蓋を開けるたびに
ついつい、期待してしまうようになった。
俺様用の缶詰は人間どものものより、
数倍値が張るらしい。
ま、あんまり食べないから、どうということはあるまい。
話を元に戻そう。
俺様は「ヘアボールコントロール」用なるドライフードは
嫌いである。
なんでも、普通のものよりかなり高価だということだが、
あの味でそんなに高いとは暴利も良いところだ。
まずい、臭い、歯応えが悪いの三拍子が揃っている。
なんでそんなものを、俺様が食べなければならないのだ?
答えは俺様の胃にあるようだ。
俺様は、元々胃弱である。
医者がいうには「神経性のもの」だそうだ。
俺様が柄に似合わず繊細だと、あの医者は悟ったらしい。
余計なことをMILETに言ったものだ。
おかげで、俺様はくそまずい飯を食う羽目になった。
陋屋近辺では、幸いにも「ヘアボールコントロール」は
売っていない。
食料が底をつくと、近所のスーパーやコンビニで
俺様の食事を用意することになるのだが、
その時は俺様の好みにあったドライフードを購入する。
「売ってないのだから、仕方ない」と言い訳しつつ、
MILETは俺様に食事の支度をする。
俺様の好きなフードは「ヘアボールコントロール」の
半額だ。
安くて旨いのだから、そっちにして貰いたいものだ。
俺様の健康を気遣ってくれるのは結構なことだ。
だが、俺様の好みにも気を遣ってもらいたい。



2001年02月01日(木):イツモ
人にはクセがある。
なくて七癖とはよく言ったものだ。
俺様にもクセがあるらしい。
それは布団に潜り込むとき、前足で寝床を整えるとか、
じゃれるときに左前足の方を先に出すとか。
そういったことだ。
それがMILETには可笑しいらしい。
失敬な話だ。
自分だって、七癖どころではないほど
沢山の癖を持っているのにも係わらず、だ。
例を挙げるとキリはないが、顕著なのを一つ暴露しよう。
俺様が見ていないと思って、ヤツは油断している。
だが、こっちはじっくり観察しているっていうわけだ。
そのクセとは…
独り言を言うことだ。
それがかなり怪しい。
どうも小説のネタを考えているらしいのだが、黙って
思索すればよいというのに、MILETは口に出さないと考えが
まとまらないらしいのだ。
風呂に入っていようと、トイレの中だろうと、はたまた
眠っているときでも…
「このとき先生はあれだから、やっぱりあの時のあれを使うか」
とか
「伊右衛門のところに少女が現れて…いや、女かなぁ」
とか。
ぶつぶつ呟いているのだ。
ひとりごとに夢中になると、何も手に付かなくなる。
それも困ったものだ。
それが、毎日頻繁なのだ。
本人は無意識らしい。
…だから、友達が少ないのだろうか。
MILETの相方は知らないらしいが…あの男も鈍感なものだ。







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