世界征服日記…TITAN2


世界征服日記
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2001年01月17日(水):誕生日
今日、俺様は4回目の誕生日を迎えた。
その記念に、MILETから日記をプレゼントしてもらった。
早速だが書いてみることにした。




2001年01月18日(木):庭の雀
1月も半ばを過ぎると、寒さも本番を迎える。
俺様の家には小さな庭がある。
…それこそ猫の額ほどの広さの…だが。
そこに、毎日丸まると肥え太った雀どもが
エサを漁りにやってくる。
だが、MILETはけちな性分だから、当然雀のためにエサなど
用意していない。
隣の家が、餌付け台をしつらえているのだが、
そちらからやってくるようだ。
雀どもはやはり少々、おつむが足りないのか。
隣家と陋屋の区別がつかないと見える。
たまには雀を捕らえてみるのも楽しいかもしれないが、
俺様は寒いのがからきしだ。
この寒空の中、雀を追いかける気にはとうていなれない。
暖房の効いた屋内にいて、気まぐれに窓外の雀を眺める。
この方が、今の俺様には合っているようだ。

日溜まりにたむろっている雀を見るのは、
気晴らしにはもってこいである。
だが、それを捕らえようとする場合の代償は、
思っている以上に大きそうだ。



2001年01月19日(金):留守番
今日はMILETが週に一回のレッスンを受けに行く日である。
つまり、俺様は一人で陋屋に取り残されると言うことだ。
留守を預かると言うことに不服はないが、
「お留守番していてね」と、甘ったれた口調で命じられるには、
腹が据えかねる。
大体、この家の主人は俺様であってMILETではない。
MILETはその辺を勘違いしているようだ。
この家は完全に俺様の支配下にあるわけで、
けして俺様がMILETたちの下にいるわけではない。
それを分からせるのに、ときおり強硬手段にでることもある。
例えば、ろくな食事の支度もしないでMILETが家を空けた場合。
勿論、断固として抗議するために俺様は食事をとらずにいる。
あるいは、MILETが帰宅したらその目の前で食事を戻す。

ところで食事の内容がどうであろうと、
留守中は俺様がしっかり家を守ることにしている。
日がな一日、昼寝をしているとMILETは思っているようだが、
そうではない。
まぁ、そんなことを分かってもらっても、
いささかも嬉しくはないのだが。
せめてもう少し、気を遣って貰いたいものだ。
寒い日に一日家を空けるなら、ホットカーペットの電源ぐらいは
入れていって貰いたいものである。



2001年01月20日(土):ねむり
俺様達猫族は、よく眠る。
だから、「怠けている」だの「猫の手も借りたい」だの
不名誉なことを言われている。
だが、眠りこそが我々にとってもっとも大事な仕事だ。
猫は短期集中型の動物だ。
犬のように持久力はない。
その代わり、一点に集中する能力はどの動物にも負けていないだろう。
その爆発的な瞬発力を発揮するためには、充分な休養が必要なのだ。
もっとも、家の中で暮らすようになってからは
そんな瞬発力は気まぐれにしか、発揮しなくなっているかもしれないが。
大事なことは、俺様達の眠りが、いかに神聖であるかを
人間どもに分からせることだ。
俺様の眠りを妨げる行為は、一切慎ませる。
そうさせるのに、眠っているときにも漫然と惰眠するのではない。
常に、人間どもに俺様が特別な存在であり、俺様のすることを
邪魔してはならないようにしなくてはならないのだ。
…恥も外聞もなく、惰眠をむさぼっているのは…
むしろ人間の方だと、俺様は思う。



2001年01月21日(日):雪の日
昨日は夕方になってから雪が降り始めた。
俺様は、こんなに沢山の雪が降るのを見るのは久しぶりだった。
なにしろ、陋屋のあるところは、海が近い温暖な気候なのだ。
雪はどんどん積もって、
辺り一面銀世界になる。
俺様は好奇心を刺激された。
表に出たいとMILETに言うと、
MILETは「あんよ、しもやけになるよ〜」
っと、例によって人をバカにした口調で
反対する。
断固、外に出たいというと仕方なさそうにベランダの窓を開けた。
ひらひらと舞う雪片が、俺様の鼻や髭に触れる。
ベランダに足をつけると、確かに凍えた。
俺様の様子を見たMILETは俺様を抱き上げると「ほ〜ら。寒かったでしょ」
と、勝ち誇ったように言った。
たまに、正しいことを言ったからと言って、
その態度はないだろう。
全く。
だが、ここは大人しく言うことをきいていた方が得策だろう。
俺様は暖かい部屋に戻ると、早速居心地の良いところに入り込んだ。
雪は夜遅くに雨に変わってしまったらしい。
今朝、いつもより早く目覚めた俺様が外を眺めると、雪はまだらに積もっていた。
横浜は大雪だったらしいが、やはりここは雪と
それほど縁がないらしい。



2001年01月22日(月):クルマ
今日、MILET家に新しいクルマが来た。
つい、今日の午後までいたクルマはなんでも
「ギアが入らなくなった」
とか言う理由で、お払い箱となったらしい。
俺様は結構気に入っていたんだが、壊れてしまったのなら
仕方ない。
さて。
新しいクルマは、前のものに比べて音が静かだった。
窓の下にはおあつらえ向きの爪とぎがついているし、座席に座った
ままで、外の風景を楽しめる。
前のクルマは、窓の位置が高かったので、外を眺めるためには
背伸びをしなくてはならなかったのだ。
爪とぎ、というのはどうも人間どもが腕をかけるのに都合良く
つけられたものらしい。
MILETは「いっぱい爪研いでもイイからね〜」と、
上機嫌で言った。
早速、実行に移してみる。
クルマの中には俺様のニオイがまだついていない。
これから、徐々につけていくつもりである。
それにしても、乗り心地は以前のものに比べてお話しにならない
ぐらい素晴らしい。
前のクルマは、トラックかバスみたいにうるさかったからな。
近いうちに、遠くまでドライブに行く予定だ。
クルマの話はまたその時にでも、ゆっくりしよう。
今日はちょっと、さすがの俺様も神経を使ったので
疲れてしまった。



2001年01月23日(火):江ノ島
新しいクルマが来て、2度目のドライブ。
今日は江ノ島に行った。
MILETとその相方はバカな話しに夢中になっている。
MILETは確かこの三日間寝てないはずだ…
元気なヤツ。
丈夫なだけが取り柄なのか?
夜に江ノ島に行っても、面白くない。
海が見えるわけでもない。
最初はそう思っていた。
だが、これが結構面白い。
他の車のライトが窓に反射して、きらりと光る。
いくら眺めていても、飽きなかった。
これも、前のクルマにはなかった現象だ。
ニオイを着けるために、トイレで用を足す。
ついでに、思い切り爪を研いだ。
なかなか快適なドライブだった。
MILETがもうすこし、静かにしていてくれれば
もっと快適だっただろう。







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