恋のさじかげん
れのん



 「未来」と「現在」、二人の男

週末は、プチ同棲をしている。
金曜の夜にどちらかの部屋を訪ね、
一緒に食事を作って、お酒を飲みながら食事、
たくさん話をし、たくさんキスをする。
キスをして、そのままベッドになだれ込むこともある。
ベッドになだれ込んでも、そのまま抱き合って眠ることも。
たくさん話をする。馬鹿な話も、真面目な話も。
そういう自然な関係が今はとても大切だ。
バイクに乗せてもらうことにも慣れた。
彼の腕の確かさを確かめながら眠ることが、
今はとても幸せに感じる。

「現在」から電話がかかった。
今更、彼は「付き合いたい」と言ってきた。
「今、付き合ってる人がいるから、」
「何?年下と付き合ってるわけ?俺、負けたのかぁ。
 れのんは、寂しかったから、
 そいつと付き合ったんじゃないの?
 早く別れて、俺と付き合おう。」
そんな内容の電話だった。
でも、私は、
「今、付き合ってる人を大切にしたいから。」
そういって断った。
「現在」の言ってることは、正しくは無い。
だけど、私が寂しかったのは確かだ。
「現在」の言葉をかみ締めた。
そして私は、
やっぱり「未来」を選ぶと、思った。

2002年10月28日(月)



 キスの長さ

キスを何度もしていると思うことがある。
私は、人の口内温度に敏感なのだ。
口内温度の合う人とのキスは、とても長くなる。
「未来」はキスが大好きなので、
会うたび、かなり長いキスをしている。
そのままなだれ込みそうになるのを、
何度も押し留めて来ての、先日の初セックスだったため、
彼は相当に嬉しかったようだ。
セックスも相当好きみたいだけど、彼はキスが好き。
毎回、長くて濃厚。
歯の一本一本まで、舌で触れるようなキス。
唇と歯との間も、舌の裏側も、
私の口内で彼が触れていない場所は無いぐらい。
舌を絡めるとか、舌を吸うとか、
唇でむさぼりあうとか、
キスにまつわる言葉の一つ一つを、
今は確認している。
そのうち、過去のキスを全て、
忘れてしまうのかもしれない、
そんなことを考えてしまったり、、、、。


2002年10月17日(木)



 セックスの後で。

「未来」と、セックスした。
あんなに感激されたのは、初めてだった。
自分に、そんな価値があるのか、
そう錯覚してしまいそうだった。
「未来」の肌はとても滑らかで、肩幅は広く、
筋肉質、そして、
生命に満ちている、若さだと思った。
私は包まれている、そう感じた。
自分をこんなに小さいと感じたことは無かった。
「未来」は泣き出しそうになる私に、
「ちゃんと愛してるから大丈夫。」そう言って、
数え切れないぐらいのキスの雨を降らせた。

ぎこちないセックスのあとで、
私は心に強く思った。
この人を大切にしよう、
この人と生きてみよう、
そう思った。
幸せになれるのかどうか、わからない。
女26は焦りが見える。
でも、いい。
私は自分を幸せにするためには、
この人が必要なのだと分かった。
踏み込まずに、満たされることは無いのだ。
そして、
傷付かずに、愛することもできない。
傷付いても、許すことができれば、
きっと私は、大丈夫。

2002年10月15日(火)



 足りない。

猛烈に、何かが足りないことだけは明白だった。
「猛烈に,何かが足りない。」その言葉が私を絡め取る。
一日中、その声は、責めつづけた。
だからといって、いまさら、この関係を解消できる?
いまさら、後戻りなんて出来るはずも無かった。
非人道的過ぎる、、、、、、。
「未来」との付き合いが始まった。
だけど、私の心は満たされない。
多分、「過去」の日記を読んだせいだ。
「過去」をあんな風に女の子と付き合えてしまえる人間にしたのは、
自分のせいだと思った。
私は、酷い。
私は、醜悪だ。
だけど、私は自分のプライベートが欲しかった。
携帯のメールも、PCメールも、着信履歴も、発信機も、、、、
私を全て丸裸にして、全てをしりたがった彼が、
単純に嫌だった。単純に重かった。
やましいからだけでは無かった。
付き合い始めに、同じことをされて怒ったこと、
「過去」は忘れている。。。。
ともかく、私は「未来」と付き合いはじめた。
「未来」は若い。
だから、余計、、、、不安になる。
ごみ箱に棄てるような恋愛なら、私はしたくない。
もう、26になったのだし、、、、、、、、、、。

2002年10月12日(土)
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