恋のさじかげん
れのん



 電話

出ないつもりだった。
ビデオを見ていたし、両親も一緒だったし。
だけど、着信音が彼であることを知らせているのを耳にしたら、
昼間、あたしが悩んでいたことも、思い切ろうとしたことも、、、全部、
どうでも良くなってしまっていた。
というか、電話を取ることが当たり前の選択で、
それ以外の行動なんて無いぐらいの自然さだった。
「年始、どうしてる?」
いきなりの言葉。「メリークリスマス」ではなく、「年始の予定伺い」。
「年始は、、、特に予定はないよ。(クリスマスだって空けていたのに)」
声には、不満がいっぱいたまっていたと思う。
それを出さないように、声が聞けたうれしさを隠すように、言葉を綴った。
「どっか、行こうか。久々だし。」
その言葉が、あたしを救ったのか、単にその場だけの幸せになったのか、
ともかく、あたしの頭をもたげていた暗雲は晴れたと言うこと。。。
一緒に出かけられる。一日だけでも、独占できる。
そういう思いよりも、とっさによぎった感情は、
「忘れられていなかった」という安堵感だった。
愛されている実感がない時、自分に自信がないとき、
人は誰かにその存在を忘れずに認めていて欲しいと思うのだろう。
ほんの一瞬思いだしてもらえるだけでも、幸せだって思えるぐらいに。。。。
おわらせなきゃいけない。おしまいの音は、もう、聞こえているはずなのに。。。

2000年12月26日(火)



 ひとりきり

クリスチャンじゃないから、クリスマスなんて関係ないのかもしれない。
家族のある人とつきあっているから、連絡がないことにも、
我慢しなきゃいけないのかもしれない。
だけど、あたしはどうしても割り切れなくて、思い切れなくて、
それはそれは切なくて、苦しい。
つきあい始めて、1年と10ヶ月。
二度目のクリスマスも、二度の誕生日も、
電話の一本も無いなんて、ひどくない?
普通の恋人同士なら、誰の目も気にしないで出かけられたり、
プレゼント選びに頭を悩ませたり、
デートの時の洋服選びに精を出したり、、、。
そういった普通のことが普通じゃなくて、
切なさばかり募らせていく恋愛なんて、ちっとも健康的じゃない。
普通の、恋愛がしたい。
あたしだけの恋人が欲しい。
誰にも、とがめられたり、後ろめたい思いをしなくてもいい、
恋愛がしたい。

2000年12月25日(月)
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