恋のさじかげん
れのん



 最悪の事態

結局の所、あたしの精神が、ついていかなかったと言うことかな。
いろんな思いを経験しながら、続けてきた不倫ではあったけれど、
あたしは、何も手にしていないのと同じような虚無感にさいなまれている。
本気になりすぎると、
言いたいことも言えなくなってしまうというのは、本当だった。
あたしは、本気になるべきではない恋愛に、本気になって、
そして、案の定、疲れ果てて、朽ちてしまっただけ。
立場が微妙だったからね、言いたいことも、したいと思うことも、わがままも、
言えなくて、それが募って、募りすぎて、あたしは壊れてしまった。
大切にしたかった。
だけど、その恋愛は、
あたしのキャパシティーの全てをいとも簡単に占めてしまうものでもあった。
壊れ物を大切にかかえて、それでもあたしは一生懸命に走ってきたけれど、
それじゃあ、全然追いつかなかったってことかな、、。
好きになりすぎると、相手の顔色ばかりうかがって、
嫌われないようにばっかり考えて、遠慮しすぎになるね。
その結果がこの最悪な事態ってことなんだろうけど。
疲れた。その一言につきるし、二年近くつきあって、
あたしの手元には、彼を匂わすものは全くといってもよいほど、残らなかった。
プレゼントをされたこともないし、したこともない。
写真一枚残らない関係って、どんなの?
言いたいことも言えないなんて、あたしらしくもなかった。
あたしらしくもない恋愛をして、結局破綻したのだから、当たり前だと言えるし、あきらめもつくだろうって思う。
彼は、あたしが思っていた以上に、優しくも、思慮深くもなくて、
あたしの空回りの愛情ばかりで、重苦しかったのではないかな、、、
って思ったり。
とりあえず、不倫はおしまい。
そして、あたしはフリーなのだけれど、もう、
男の人とつき合うような余力は残っていない。
どうせなら、一生独身でも構わないぐらい。
恋愛は疲れる。そして、不倫は身を滅ぼす。ただそのことが実証できただけ。

2000年01月03日(月)
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