unsteady diary
riko



 怒り


毎日、時間の半分くらいを怒って過ごしている気がする。
苛立って、眉間にしわを寄せて。
なんで、こんな風になってしまっているんだろう。
一番なりたくなかった、入社当時の事務リーダーのような自分の姿。

別に怒る必要がないときに怒ってるわけじゃなく、怒る理由は確かにあって、無駄に我慢したってストレスが溜まるだけ。
それでも、怒ることで自分がどんどん嫌いになって。
周りに撒き散らしているであろう負の感情に、自分自身埋まってしまいそうになる。

変わっていく自分。
変わらされる自分。
変わらずにいられない弱さ。
同じ状況にいても、穏やかに過ごせる人もいるのだろう。

息が詰まる。




金曜日も、鬱々と仕事をしていた。
仕事なのに、しゃべるのも嫌になって、
電話は取るけれども、口を開いていることと、自分がしゃべるということが一致せず。
こっちの逼迫感なんてお構い無しでのんびり構えた本社のスタッフとか、家族の付き添いで突然会社を休んだ上司だとか、やけに晴れた空だとか。
そんなことにさえ苛々して。
仕舞いには、受話器に手を伸ばすと無意識に身体が硬くなって、
手が竦んで、うまく取れなくなっていた。

もう嫌だ、と机に埋まりそうになりながらぶつぶつ呟いていた私を、
後輩さんが、遅い夕食に誘ってくれた。
美味しいパスタとケーキ、それでも気持ちは晴れなかった。
ぽつぽつと話す。
彼女のしなやかな強さに、また凹む。


「辞めます」と一言、言えたなら。
今の私のポジションには、別のスタッフが入って、何もなかったかのように続いていくのだろう。
それから。
どうすればいい。
結局私自身、何も変えられないのではないか。


2005年05月29日(日)



 ティルナノグ

「キング・アーサー」をビデオで観た。
予告編CMでけっこう期待していたのだけれども、あまりケルト神話の匂いはせず、その代わり“強いもの大好き”のブラッカイマーのイデオロギー的匂いが強いなあ、という印象が残った。
ところどころぐっとくる台詞もあったのだけれども、アーサー王にいまいち華がないだけでなく、ランスロットやトリスタンの影が薄いのも気になったところ。
アーサー王と円卓の騎士といえば、やっぱり忠誠心と友情だと思うから、もっと精神的な絆を強く描いて欲しかったよ。
「トロイ」もストーリーに納得できなくていまいちだったけれども、少なくともキャラクターの魅力はあったと思う。
イメージが違うんだろうけど、エリック・バナとかがアーサー王だったら個人的には嬉しかったのに。
(「トロイ」観に行って、オーリ(@パリス王子)のファンだったはずが、エリック・バナに転んでしまったのはこの私…。)



それでも、アイルランドの嵐や雪、土の冷たさなどは伝わってきて、ケルト好きにはたまらない。


ケルトを好きになったのは、大学1年の英語(皆受ける必須の英語)の講師がケルト神話を専攻している人だったから。
古語で書かれたケルト神話を教材に、ひたすらよくわからない内容を訳しているうちに、何故か妙に好きになった。
装飾品の描写とかがすごく綺麗だし、妖精やら魔法やら白馬やら、出てくるもの全てが幻想的で、紡がれる愛の詩を訳すのも楽しくて、言葉選びや並べ方にもかなり凝ったりして。


特に印象に残っている神話が、常若の国「ティル・ナ・ノグ」の話。


オシーンというアイルランドの王子が、永遠に命の続く妖精の国「ティア・ナ・ノグ」から来たという姫に出会い、あまりの美しさに恋に落ちる。
二人は姫の乗っていた白馬に乗って、ティル・ナ・ノグへ行き幸せに暮らすのだけれども、数年が過ぎた頃、彼は父王や友人に会いに故郷に帰りたいと言い出した。
実はティル・ナ・ノグで過ごす数年は、故郷では数百年に相当するのだという真実を聞かされてショックを受ける彼。
それでも故郷に帰りたいというオシーンを引き止めきれず、姫は、白馬からけっして地上へ降りないことは条件に故郷へ帰ることを許す。
けれども、変わり果てた故郷に驚き、自分を含め、生きていた時代が今や伝説としてしか知る人がいないという現実に打ちのめされたオシーンは、自分の家があった場所を目指すうちに、落馬してしまう。
一瞬にして魔法が解け、しわだらけの老人と化す我が身。
ティルナノグと彼を結ぶ唯一の存在、白馬も、跡形もなく消えてしまっていた。
年老いたオシーンは、二度と愛する姫に会うこともできず、誰も知る人のいないその時代を、ただ死んでいくの。


永遠の国、それが幸せとは限らないということ。
どんなに愛していていても、捨ててきた全てを忘れ去ることなどできないのだということ。
愛しているからこそ、真実を話せなかった姫の苦悩。
「常若の国」というのは世界中にあふれているストーリーだろうけれども、説教じみたメッセージがこめられているのではなく、ただ切ない愛の物語として語られているところが好きだった。


興味のない学生にはきわめて不評だった授業だけど、ケルト神話を研究していたあの先生、今も変わらず講師をされているのだろうか。

2005年05月15日(日)



 新しい風

昨年の夏以来、久々にネイルカラーを塗った。
夕焼けみたいなオレンジピンク(パール入り)。
左の薬指に一粒、オレンジブラウンのラインストーンも置いてみた。


私は、昔からストレスが溜まると指先の皮膚や爪を剥がしてしまう癖があるので、指先の状態は精神状態を示すバロメーターのようなもの。
今はいい状態とは言えないけれども、体調の悪さとか忙しさとか日々の不満とかを色々振り切りたくて、荒れた指先に塗ってみた。


ぼろぼろの指先にはあまり映えないけれども、これ以上は悪くしないよう努力すればいい。


メイクアップは見られることを意識してするけれども、ネイルは自分でも見て愉しむことの出来る。
欧米では高齢の女性もネイルサロンへ気軽に寄るとか。
しわしわの手に真っ赤なネイルカラー。
なんて粋なお洒落だろう。




FMから流れてくるのは「グランブルー」のテーマ。
この曲、すごく好きだった。
イルカの声がなんとも言えない響きで。
タオルミーナの紺碧の海、いつか実際に見てみたい。
映画自体は暗いけど、救いがないわけじゃないから嫌いじゃない。
喪って、すがって、枯れるほど泣いて、それでも残された者は、その死を負ってなお、前へ踏み出すしかない。
喪うのが怖いけれども、それでも信じているから、愛しているから手を離す、その覚悟とか。




来週は、ようやく決まった派遣さんが来ることになっている。


次から次へと断られたり、辞めていった派遣さんたち。
自分たちが余程厳しいことを要求しているのだろうか、とか。
支社内の人間関係が悪いのだろうかとか、いろんなことを皆で考えて。
考えすぎて訳が分からなくなって。
結局、何をどうしたって、なるようにしかならないわけで。
偽り無しに忙しくて追い詰められている自分たちの今を、そのまま見せて。
それで去っていく人なら、また考えることにする。
無理して、その人の分も余計に背負っても、息切れしちゃうもの。
期待しちゃいけないってわかってる。
それでも、何ヵ月後か分からないけれども、少しでも楽になれるといいな。


2005年05月05日(木)
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