|
|
■■■
■■
■ 鳩居堂の便箋。
高校生の頃、ものすごく手紙を書いている時期があった。数にして、週に3通。下手すれば毎日書いていたときもあるだろう。携帯を手放せない子がいるというけれど、私はそれをあまり笑えない。1993年の私は、携帯の代わりに、便箋と鉛筆と切手を手にしただけにすぎないと思っている。 当時、私が通っていた高校は進学校だった。高1の頃から「勉強」「大学受験」「現役合格」をうるさく言われ、なんだか嫌になっていた。つい先日まで、のほほんと中学生活を送っていたのに、突然にして未来を決めろ、今、決めろ、とせかされる。だけれども、まわりを見渡すと、皆、それを当然であるかのように受け止めている。私とそのまわり。同い年であるはずのまわりに、距離を感じた。 そんなわけで、頼ったのが中学校の頃の友人にあてた手紙だった。主に学校の愚痴が多かったように思う。だけれど、恋愛のことや将来のこと、色々書いたような気がする。そのうちなんとか高校の楽しみ方を覚え、大学にもぐりこんだ頃には手紙を書く習慣もなくなった。 時々、銀座の鳩居堂を通ることがある。ショウウィンドウを眺める人をたくさん見かける。鳩居堂の便箋は憧れだなあ、と思いながら、いまや携帯のメールを知ってしまった私は店に入ることもしない。便箋は、文字をのせてはじめて完成する。ただのコレクションじゃ意味がない。ショウウィンドウを眺める人たちは、一体どんなことを書き綴るのだろう。横目で見ながら、手紙を書いていた頃の真っ直ぐな気持ち、今、私にあるんだろうか、ふとそんなことを思ったりした。
2005年11月13日(日)
|
|
|