スナックおのれ
毛。



 鳩居堂の便箋。

 高校生の頃、ものすごく手紙を書いている時期があった。数にして、週に3通。下手すれば毎日書いていたときもあるだろう。携帯を手放せない子がいるというけれど、私はそれをあまり笑えない。1993年の私は、携帯の代わりに、便箋と鉛筆と切手を手にしただけにすぎないと思っている。
 当時、私が通っていた高校は進学校だった。高1の頃から「勉強」「大学受験」「現役合格」をうるさく言われ、なんだか嫌になっていた。つい先日まで、のほほんと中学生活を送っていたのに、突然にして未来を決めろ、今、決めろ、とせかされる。だけれども、まわりを見渡すと、皆、それを当然であるかのように受け止めている。私とそのまわり。同い年であるはずのまわりに、距離を感じた。
 そんなわけで、頼ったのが中学校の頃の友人にあてた手紙だった。主に学校の愚痴が多かったように思う。だけれど、恋愛のことや将来のこと、色々書いたような気がする。そのうちなんとか高校の楽しみ方を覚え、大学にもぐりこんだ頃には手紙を書く習慣もなくなった。
 時々、銀座の鳩居堂を通ることがある。ショウウィンドウを眺める人をたくさん見かける。鳩居堂の便箋は憧れだなあ、と思いながら、いまや携帯のメールを知ってしまった私は店に入ることもしない。便箋は、文字をのせてはじめて完成する。ただのコレクションじゃ意味がない。ショウウィンドウを眺める人たちは、一体どんなことを書き綴るのだろう。横目で見ながら、手紙を書いていた頃の真っ直ぐな気持ち、今、私にあるんだろうか、ふとそんなことを思ったりした。

2005年11月13日(日)



 健全になる会社。

 只今、会社が大荒れです。連日連夜の徹夜で、皆の疲労が極限に達し、そういう時に限って、色々な問題やら確執やらが浮上してきます。タイミングとは常に無情で、自体は次々と悪い方向に向かって行くようです。
 とはいえ、こんな状態が珍しくないのが、私の通っている会社です。会社として健全か?不健全か?と言われれば、むしろ不健全な方かもしれない。だけれども、自社の「健全」に胡座をかいている会社より、不健全だと自覚して「健全」をめざす会社の方が、おもしろいのではないか、と思います。
 とはいえ、道のりは険しく、口に出すより難しい。そもそもこんなことを言い出したのは、自分に言い聞かせるためなのかしら、とも思います。あ〜あ、どうなることかなあ。

2005年11月09日(水)



 天才。

 やはり先生です。
 敬愛する三鷹天命反転住宅の荒川修作先生のインタヴューをネットで読みました。どうやら三鷹天命反転住宅の「天命反転」という意味は、「滅び行く人類の宿命を反転する」というものだったらしいです。こ難しいことがたくさん書かれていましたが、つまり、先生の活動は人類の存亡をかけて行われている、ということがわかりました。
 以前、紹介しましたが先生の創造物に「養老天命反転地」という公園あります。どうやらこれ、本来は公園ではなく、街にする予定だったみたいです。依頼した岐阜県知事、最初、びっくりしたでしょうねえ。公園つくって、って言ったのに、街作るって言い出した先生に。しかもオープニングセレモニーではけが人が発生したとか・・・。
 でも、それでもめげないのが先生です。インタヴューにはっきりと書かれています。「実現すべきは“宿命反転都市構想”」。人類の多くがまだ先生の人類危機に気づけていないのにもかかわらず、都市構想。素敵です。いってます。先生の中にははっきりと人類危機が存在しており、先生はそれに向かって戦っています。
 嗚呼、天才とはさもありなん。世にはなくとも、自分の中に確かにある真実、現実を世界に実現化し、放出しつづける。迷いも心配も世界にはなく、自分の中にある。まったく、天才とはさもありなん。
 個人的には、先生の構想のひとつである「天命反転ホテル」にはぜひとも泊まってみたいです。それと、先生、職業は建築家にはなっているものの、なんでも「コーデノロジスト」なんですって。先生の造語?と思いきや、「芸術、哲学、科学の総合に向かい、その実践を推し進める創造家」と言う意味があるらしいです。説明が説明になっていないじゃない・・・と思いながら。

↓気になる身になる荒川先生のインタヴューはこちら
http://www.innovative.jp/2005/0713.html

2005年11月08日(火)



 奇襲ウサギ、高子沼グリーンランドを潰す。

 高子沼グリーンランド。それは福島の子供たちの憧れ。一体、今はどうなっているのか、さっそく検索したところ、すでに廃墟と化している様子。そして、「高子沼グリーンランド廃園の理由は、前時代的だったからでもなく、小規模だったからでもなく、あのウサギのせいに違いない。ウサギによってグリーンランドは蹴散らされ、さび尽くされ、食べ尽くされた!」と思いました。
 ウサギとは、動物とのふれあい広場(山の急斜面)に放し飼いにされていたうさぎです。当初は、数匹単位だったものが、年々、猛烈な繁殖ぶりを見せ、ついには野生化。山の斜面はウサギの巣とおぼしき穴だらけになり、ウサギ自体もまた、白から土よごれた茶へ変貌し、その目には野生の凄みが宿るようになりました。今や、私にとって、使われなくなった遊具を思い浮かべるより、あの斜面に残されているであろうウサギの巣に思いを馳せる方が恐ろしい・・・。
 ところで、未だに県のホームページで高子沼グリーンランドが掲載されている模様。観光でふらっときた人がウサギに奇襲されないことを祈るばかりです。
 
高子沼グリーンランド
http://tenpeste2.fc2web.com/ruins/haikyo/green/green1.html
すべての遊具に20年前のある日、私が乗っていたと思うとなにか不思議な気持ちになります。

2005年11月07日(月)



 すっきり増量中。

 頭から離れない小説があったので、探してみることにしました。題材は、「くだん」。頭が人間で、体は牛。死ぬ間際に予言をするという生き物の話です。変わっているのは、くだんを取り巻く一人が主人公なのではなく、くだん自身が主人公であること。ふと気づいたら、「俺、くだんじゃーん!予言?おもいつかねえよ〜」みたいな感じの話です。
 実際、宿命なんて他人から予言されても、本人さっぱりわからないもんです。結果的にそうなるだけであって、途中の本人にとっては助言にすらなりゃしない。
 あのとき、もやもやしたものを今になってやっとわかったような気がします。時おなじくして、内田百間の全集から「くだん」を発見。二重にすっきり。

2005年11月01日(火)
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