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■ この街のくすみは?
少し東京に帰っていた。右車線左ハンドル車になれてしまった私は、自宅の車をびくびくしながら乗ったのだけど、フロントガラス越しに見る東京の町はなんだかひどく貧乏くさく感じられる。 なぜだろう。どうして東京はこんなにも色褪せて見えるのだろうか。
高い位置のネオン看板がサラ金の広告に占領されているからか?建物が狭小で古いからだろうか?新しいビル(ミッドタウンとか、色々)のデザインがどれも見栄えがしないチープさが漂っているかだろうか。 あるいは、そうした事情とは別に、歩いている人々のたたずまいがこの町の印象を暗くしているのだろうか。 理由はともかく、久しぶりに降り立った東京の街の景色から伝わってくるのは、アジアのダメな観光都市にありがちな脂ぎった混沌ばかりだ。ソウルばりといってもいい。
杉並区は素敵なところだと思うけど、それとは別に、私が育った浅草橋の街にしろ、あの押上(しらないでしょう?そんな地名)にしろ、とても人の住む所じゃないけど、もっと輝いて見えたものなのだが、あれは気のせいだったのだろうか。
たとえばの話、地方都市から出てきたヤツが、はじめてアルタ前から紀伊国屋方向を一望してみたとして、彼は目の前の景色から、ときめきを感じるだろうか。 感じないと思う。 「ちぇっ、これが新宿かよ」 「おーヒルズだー。って別に建物も別に使いにくいだけだし、中のラインナップはキャナルとかわらんけんね?」 「っていうか、マニラの方が全然きらびやかだと思うんだけど、これがアジア一の国の首都なのか」 と、そういう感想を抱くのが普通なんではなかろうか。それほどに、東京の風景は魅力を欠いて見える。ただただ荒んでいて、やかましくて、猥雑で、要するに貧乏くさいのだ。東京に憧れてやってくる若者が地方やはたまた外国にいるのだとしても、あんまり楽しい気分になれないと思う。
東京が最先端のでなくなったのは今に始まった話ではない。80年代のバブルの頃はどこかの劣化コピーだったし、その後真の豊かさを求めたかもしれないが、ようするにそれは失敗したと言うことだ。最先端を求めた結果は、色々失っただけかもしれない。
現在田町に自宅のようなものがあるが、目の前のスーパー(大丸ピーコック)で売っている生鮮食品がゴミに高い値札が付いているようにしか見えないので電車に乗って買い物にいったのだが、山手線からの風景をみてもつくづくそう思った。これじゃ、20年前母親に手を引かれて浅草橋のビル群の谷間にある八百屋や魚屋を回っていたときの方が遙かに買い物が楽しかった・・・。
……と、ここまで書いていて思ったのだが、東京がくすんで見えるのは、街のせいというよりも私の側に原因のある話で、つまり、私がトシをとったということなのかもしれない。どうだろう。どれも同じ不細工なビルの中で、慇懃無礼な店員に意味不明な高価なものを買うよりも面白いと思うし、その方が街だって素敵に見えると思うのだけど。
2008年06月17日(火)
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