NY州在住 <旧『東京在住』・旧旧『NY在住』>
kiyo



 尻馬に乗る

「あなたのストレス解消法は?」と聞かれたことはあるかと思います。私もこんなページを何年もやってるものですから多々あります。そこで格好良く「ストレス?貯まらんよ、そんなもの」とか、「ストレスなんてあるのは負け組の証拠よ」なんていってみたいものですが、そういうありきたりで、嫌味な肩すかしもどうかと思うので返答に困ります。
 


 ただ、正直な話「ストレスがたまったな〜」という感覚は分かりません。かといって、絶対ないわけじゃないんでしょう。ストレスってなんでしょう。

「ストレスの原因はストレッサーと呼ばれ、その外的刺激の種類から物理的ストレッサー(寒冷、騒音、放射線など)、化学的ストレッサー(酸素、薬物など)、生物的ストレッサー(炎症、感染)、心理的ストレッサー(怒り、不安など)に分類される。ストレッサーが作用した際、生体は刺激の種類に応じた特異的反応と、刺激の種類とは無関係な一連の非特異的生体反応(ストレス反応)を引き起こす」

 とウィキペディア先生はおっしゃっている。つまり、寒いなぁとか、なんかこの部屋臭うわない?とか、のどが痛いとか、明日締め切りじゃん!やばい!とか、感じたり思ったりすればストレスが体に蓄積されているわけですね。


 ところで、ま、多くのストレスは確かにハンドルできると考えられる。暖かくして、換気をして、薬を飲めばいいのだから。心理的ストレスについてはどうだろう?会社やめちゃえ、あの子と別れちゃえ、というのも結構簡単な気がするが、そもそも、そんなブラック会社に何年も勤めてしまったことや、あんなビッチに何十万・何百万も貢いでしまった過去は取り戻せないから、一生心理的ストレッサーからは逃れられない。

 ま、心理的ストレスは自分との戦いということだろう。

 話は急展開しますが、馬はそんな心理的ストレッサーと向き合わざるえないことを教えてくれる。

「ふむ。今日もきたのかね。」
「ええ。このキャンパスからもずっと離れたこの場所にくれば、修論も課題の締め切りも、机の上に5センチになろうかという読まなければいけない資料も、実はなかったんじゃないかと思えるのですから。」
「・・・。」

「じゃ、私のマッサージからはじめてくれ。今日はしっかり頼むよ。私の飯の邪魔をして乗ろうというのだ、それくらいやってもバチはあたるまい」
「はい。がんばります。今日も体が温かいですね」
「うん。今日は沢山たべたからな、これだけ熱を発することが出来るのだよ」

「いいですね。」
「そうかね?ここは馬50頭と猫二匹と少しの人間だけの世界だ。食べるものだって、ほら。干し草ばかりだ」
「でも、ここは全てを忘れさせてくれる。あなたの背中にのっていると世界はあなたと自分だけになった気分ですよ。それは私が未熟故に、ほかに注意を払う余裕がないからに他なりませんが・・・」
「・・・。」

「また、きていいですか?楽しかったです」
「・・・。」

「実は論文が進みません。課題も明日までなのに一文字たりとも書いていません」
「・・・。」

「来週は徹夜が三日になりそうです」
「・・・。」

 なぜか、厩舎にたたずむあの方たちは、私の問題とは向き合ってもらえない。しずかに私を見つめながら、二人の間の関係についてはコミュニケーションを取ってくれるが、厩舎の外の世界について話しても沈黙するばかりだ。心理的ストレッサーの処理はごめん被る、といわれているようだ。全然ストレス解消にはならないが、私はここに足を運び続ける。



 最近日本語を教えていたら、インストラクターの女の子に「日本語教えてないでね。私だって日本語覚えなくちゃいけないでしょ」と言われた。


↑エンピツ投票ボタン
My追加


2008年03月07日(金)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加