恋のさじかげん
れのん



 今、書けること。

彼との連絡は絶ったままだ。
今度こそ、本当に別れることになりそう。
それでよかった、と思う。
でも、拭い去れないのは、愛されていなかった事実だろう。
彼は私に執着はあっても、
それは愛しているからのそれではなかった。
きっと、離れていこうとする私を、
単純に、モテた歴史しかない彼が、引き止めたかっただけ。
そんな一方的な感情を彼は愛だと言った。
辛い数ヶ月だった。
4月に就職したばかりの仕事を棄てることも考えた。
両親や友達にも、その旨を伝えなければいけない、
不倫の事実を周知のものにするのは辛かった。
けれど、そんな体裁よりも、
私は彼を選ぼうと思ったけれど。。。
彼にはそばに女性が必要だった。
何度も、私を愛していて、将来を考えていて、
妻と別れることを考えていると言ったけれど、
ひとりでなんていられない人だった。
家族と暮らし、安定した状態で無いと、
不倫なんて出来ない人だった。
弱い人だった。脆弱すぎる精神だった。
家族と暮らしている彼と言う存在が、
どれほど独身の私を苦しめたか、
彼は結局、何も理解しなかった。
きっと、親離れできない人だったのだと思う。
誰かに許されること、誰かに受け入れられることを当然と思う人は、
少なくとも、そういう傾向がある。
誰かに許されることも、受け入れられることも、
とても、幸せで、希少なこと。
彼にはそういった気持ちが希薄だったのだと思う。
愛されたら、愛し返さなければいけないなんて思わない。
でも、愛されたら、気持ちをむげには出来なくて、
誠意を持って、接するのが一番。
もちろん、二股はあかんけど(笑)
そして、彼は私の人生に大きな傷跡を残した。
人生を引っ掻き回された。
彼の一挙手一投足が私の心を揺らした。
挙句の果てに、
自分が身軽になってから近づいてきた昔の女友達と、
思いを遂げることになって、
必要なくなった私を紙くずのように捨てた。
私の苦しみぬいた3年半なんて、糞みたいなもん。
家庭を壊さないように、日陰に徹した私のことなんて、
やっぱり、気づかないままに。
彼は、単なる浮気者に過ぎなかった。
でも、そんなこと、もう、どうでもいい。
私は全てを許そうと思った。
ただ、不倫をしてしまった自分の罪は消えないのだけれど。

2002年09月08日(日)
初日 最新 目次 MAIL


My追加