恋のさじかげん
れのん



 罪深い自分と、やさしい気持ち

ずいぶんと長い間、私は嘘をついてきた。
不倫を守ろうとした結果、私は数多くのものを失った。
後悔はしない。
でも、虚脱感は抜けない。
彼の信頼を失った。だから、彼自身を失った。
ただ、それだけの単純なことだった。
でも、信じてもらえなかったとしても、
そんな事実は無いといえるし、
確かめるすべがあるのなら、証明したいぐらいだった。
地団太を踏んだ。下唇が切れるほど前歯で噛んだ。
けれど、それは私自身の行いのせいだから、
何も言えなかった。
きっと、誤解してると思った。
誤解を解きたいと、いつも思った。
けれど、もう、それも止めた。
誤解を解きたくて語れば語るほど、疑われて、傷付く自分、
私の言葉を信じきれなくて、自分の嫉妬心に傷付く彼を思うと、
何も言わないことが一番、綺麗に別れられる方法だと思った。
それが、例え、永遠の別れになったとしても。
ずっとずっと好きだったけれど、
好きになることにブレーキを掛けすぎた自分を、
少しだけ、哀れにも思った。
人間はバランスだ。背負える重荷も、耐えられる痛みも、
愛する強さも、限りがある。
私は、自分の限度を超えすぎていた?
頑張った自分を静かに癒したいと思った。
ゆっくり寝ようと思う。
朝が来なければいい。
朝に気づかないぐらい、深酒をした。

2002年09月03日(火)
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