恋のさじかげん
れのん



 「初めて」の記憶

私はこれまで、つき合ってきた人には、
アクセサリーをもらわないようにしてきた。
それが高価なものであることもそうだし、
特に指輪は、約束を迫られているようで苦手だったのだ。
西洋の言い伝え、「左手薬指の血管は心臓へと繋がっている」は、
薬指に指輪をはめたものは、一生の約束を交わしたことになる、
ということを意味しているものだった。(ように思う)
私は古い考え方なのかもしれないけれど、
ものをもらうのには、それなりの意味があって、
その意味を汲めない人は、当然の事ながら責任はとれない。
人の真心に答えるというのは、そう言った覚悟すら伴うものだと思ってきたから。
今日、そんな私が「初めてネックレスをもらった」のである。
いつの間にか、一緒に選んでいて、いつの間にか、首に飾られていたそれ。
これまで、全く何ももらったことがなかったわけではないけれど、
もともと、もらうような筋合いにないと思ってきたし、
何より、私の存在自身が重荷になりかねないと、
自分を殺してきたのだから。
彼が「似合うから、買うよ。」と言ってくれたのは初めてだった。
すごく戸惑ったし、でも、すごく嬉しかった。
「大切にする・・・」そう言って受け取ったその瞬間は、
ちょっといいものだった。
「初めて恋愛をしているのだ」と感じた瞬間でもあったから。
不倫だからと、たくさんの枠を設けてきたし、
いろいろな可能性から目を背け、自分の行動を制限してきた。
不倫は、普通の恋愛と違って、「レンタル」してるようなものだとも思ったし。
だけど、人を好きになる事は、決して悪いことではないのだと感じた。
いずれ、別れる人だとしても、
一緒に居られる間は、一生懸命恋愛していてもいいよね?

2001年07月15日(日)
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