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■ 「食べてしまいたい、それぐらい、好き。」
彼は私の胸に顔を埋めながら、つぶやく。 いっそのこと、食べられてしまいたいって思った。 そうしたら、もう、離れている時間の切なさも、 不倫を犯しているという罪の意識もなくなる。 彼の躰の一部になれたらなら、 ずっと彼の躰の中で生きていられるのなら、 きっと、それが一番幸せだと思った。。。 どうして二人は別々に生まれてしまったのだろうと思う。 気持ちで求めあっても、 お互いを大切に思っても、 一緒に居たいって、二人で思っても、 その引力に歯止めを効かさないと、みんなが不幸になってしまう、 そんな風に生まれついてしまうなんて。 気持ちに線を引くことは、断腸の思い。 いずれ別れるんだって思いながら、抱きしめられる時の腕の確かさは、 残酷なものでしかない。 どうしてこんなにしっくりと、こんなに安心させてくれるのに、 別れることが前提で、そのことを、お互い否定し切れないんだろう。 どんな可能性があって、どんな未来があると言うのだろう、、、。 でも、私は彼に会えたことを喜びに変えたいって思う。 出会いは別れの始まりかもしれない。 不倫はどんな理由を付けても、正しいこととは言えないのかもしれない。 それでも、私は、この出会いを喜びに変えたい。 彼に出会えて、私は恋をして、その恋は辛くて、切なくて、 時に別れを決意するほど、痛みを伴ったけれど、 出会えなかったよりも、幸せで、濃い時間だったと思うから。
2001年07月11日(水)
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