恋のさじかげん
れのん



 水底に輝く石

不倫の女の子なんて、水底に輝く石みたいなものね。
拾ったときは、みずみずしく光って、色も形もほかと違って見えて、
宝石みたいに、とってもきれいだけれど、
しばらくポケットの中に入れておいたら、
乾いて表面は傷だらけで、少しもほかと違わない、
きれいでもなんでもない石に過ぎなくなってしまう。
拾ったときは、日差しのきつい真夏の昼間、
暑さと、青空がまぶしいトキ。
気づいたときは、日も落ちて、夕暮れ色が迫っていて、
涼やかな空気になっている。
ねぇ、私は捨てられてしまうの?
何の変哲も無いただの石でも、変わらず宝石のように、
大切に、してもらえるの?
何年もかけて作り上げたプラモデルと、
今日のお昼間に拾った石、
あなたは、どちらを選ぶ?究極の(?)選択。

あなたは、
きっと、家庭を選ぶ。
それは子どものころから、決まっている。

子どもは、見つけたときの輝きを失ってしまった石になんて、
興味を抱かなくなって、「ちえっ、」って舌打ちしたあと、
また、元の川に投げ捨てるのでしょう。

そうして、私はまた、一人ぼっちで涙も水の流れに紛れて、
忘れられたまま、どこかに流れ着くことも出来ず、
大雨で流されてしまうのを、頼りにしたまま、
ずっと、ずっと、同じ水底に留まっているだけ。。。


2001年05月31日(木)
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