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■ 幸せな瞬間
私は後ろから抱きすくめられるのが好きだ。 顔が見えなくても、雰囲気で、彼の暖かさで、 自分がほっこりと幸せを感じることができる瞬間だから。 どんな顔をしているのか、それもまた興味深いのだけれど、 想像力を働かせて、彼の表情を伺うのもまた、一興。 彼の息が髪にかかり、彼の言葉が耳の近くで囁かれる。 その言葉には、どんな苛立ちも、疑念も太刀打ちできないぐらいの説得力があり、 その響きには、言葉そのものが、より確かなラインをもって頭に直接訴えかける。 いとしい人との、幸せな時間。寒い日・冷ややかな夜・明け初めの朝。。。 いろんな時間に、いろんな場所でそうされたことを思い出す。 幸せは時に、息苦しくもあるけれど、やはり、居心地がいい。 長くそこにはとどまれないことを知っているからか、 なおさらいとしさが増す。 背の低い私は、彼の声が頭の上を掠めるのを聞くのが好きだし、 彼のキスを頭のてっぺんで受けることも好き。 「愛されている」という実感を 誰もが、リアルタイムで、感じることができるわけではない。 終わってしまった幸せの背中を見送ったあとで、 不意に、いま過ぎ去ったのが、幸せだったと気づくようなもの。 手から滑り落ちる砂の一粒に、幸せは喩えられるようなもの。 一瞬で指をすり抜け、二度と同じ一粒を見つけることができない。 どんな純愛でも、熱愛でも、終わるときは来る。 雨のやまない日がないのと、同じこと。。。 だからこそ、今、自分が享受している・共有している瞬間の座標を、 心に刻み付けて、過去も、今も、未来も、大切にしないとって思う。 その彼との、その彼女との、今は、一度きりで、限りあるものだから。
2001年04月23日(月)
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