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■ キス
キスが素敵なのは、言葉を交わせないからかもしれない。 キスをしている間、途切れ途切れに言葉を交わせても、 会話をすることはできない。つまり、いっしょにいて、こんなにも密接なのに、 会話をする以上に濃厚なことをすることで、沈黙を保っているということ。 その沈黙はどんな素敵な会話よりも、どんなに楽しい遊びよりも、 幸せの在処を確かに感じさせることができる。 言葉を交わせないままに、固い約束を交わしているようだと、私は思う。 「唇には神聖が宿る」そう信じている私は、キスは好きな人としたい。 キスは精神性が高い行為とも言える。 それはまさに、肉体的快楽とはまったく異なった、陶酔感。 服を脱ぐという手間が省かれ、お互いの体温を感じあえない分、 キスはたやすく許され、どこででもできてしまうお気軽なものになっているようにも思う。 でも、キスほど、分かりやすいものはない。 舌の温度の違い→体温、口臭→食生活、求めあう執拗さ→情熱の濃さ、、、、 セックスは眼を瞑れば、することはほとんど同じ。男の人は愛がなくても勃起はするから。 でも、キスは、そうじゃない。性的欲求をあまり感じないからこそ、 たやすく、そして安易に考えがちになり、ないがしろにしてしまいがちだけれど、 本当に好きな人とは、確かに、愛情を分かり合えるから。 唇は、本当の言葉を告げる部位だから、純粋でいたいと思ってしまう。 唇から発せられる言葉は全てが本当でないとしても、 キスをするときは、好きな人と、誓いをたてるように、ロマンチックに、 二人の未来を描いて、夢を見ていてもいい瞬間でありたい。
2001年04月22日(日)
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