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2004年12月02日(木)
今日はきっと1枚目です。



焼きそばに入ってる キャベツが嫌い
この世のすべての玉葱が嫌い
太いソーセージが嫌い
でしゃばりが嫌い

わたしの恋はずっと平行線で
交わらないことを
けっして交われないことを
知ってる


あたたかい つま先は戻って来ない


分かれるなら ドアは嫌い



君はときどきカタカナ語をはなす
わたしには分からない言葉が
ときどきうらうらと空を旋回していて
君はそんなカタカナ語が好きみたい




今日
わたしが1枚育つと
数日かけてそれは重なっていき
またどこかで
1枚目からのはじまりになる

だから、薄い日のわたしを触らないでほしい
そんな時は決まって
脳の一番奥の扉まで開いているから
どうか、触らないでほしい



    「わたしの保険金を 受け取ってくれますか?



目には目をという法律が出来たらいい
きっとあの子のちぎられた耳の
傷みを知らしめてあげられる


解決法を
ずっと探してきたの
それは往々にして
わたしたちに都合のいい生き易さ
じんけんほごだんたいがでてきて
掃除機 サイレン カマキリのサイレン

サイレン





    「柿の実をわけてくれませんか ?



死ぬ前に
銃で撃たれる前に
危険分子は
柿の実をたらふく食べて
お山に帰る前に
土に還れない
危険分子は

どうか、どうか


わたしは、
願うことが多すぎる


どうかどうかどうかどうかどうかどうか、どうかどう か


小熊に母熊がいて
かれらはお腹がすいていて
わたしはほんとうに
やられたわたしが悪いと思うから
家族がやられたとしても
それはお山の危険分子たちに
授けたものだから

どうか、声をあげさせてほしい

きいろくて汚い涙でも

あなたを抱けない腕でも


どうか

わたしのいちまいめを

だれもさわれないぐらい沖へ流して



どうか 憎んでほしい
どうか 恨んでほしい


痛かったと、声をあげていいから
怖いと、喉を裂いてもいいから
花を潰すなと、怒っていいから
踏みにじるなと、追い返していいから

あなたの山を
おなじように、わたしは触るべきではない


今日はきっといちまいめで
明日は、にまいめかもしれないし
またずろん、といちまいめになるかもしれない
そうしてハンバーグの玉葱を取り除いてる間に

ひとつ、 歳をとる